え?
ポッキーの日でしょ?
と、その時までの私は即答していましたが・・・。
「ここ(カナダ)に住んでいて、そういう答えをする人はいないんじゃない?」ということを学んだお話。
ことの始まりは水曜日(11月8日)の午後、学校から帰ってきたみどりが
「ねぇ、今日って戦争関係の日とか、何かの追悼の日とか、・・・なんか、そういう日だったりする? 今日じゃなくてこの連休の中のいつか、かもしれないけど。」
今週は木曜・金曜が学校の休みの日になっていて(年間予定表を見ると「Board approved non-instructional day」と書いてあるけど、結局“秋休み”とか、そういう感じの位置づけ?・・・いや、もう全く“秋”じゃないけど。)、さらに週明けの月曜日も休みで、なんと5連休。
その5連休に入る前の日、水曜日に学校で集会のようなものがあったそうで、でもその「集会のようなもの」が普段の集会とは明らかに違う雰囲気だったらしいのです。
「詩の朗読があったり、歌うたったり、花輪みたいののそばに赤い花を置いたり、兵士とかが出てくる映像とか見たり、・・・なんか泣いてる子もいたんだよね。女の人がトランペット吹いたりもしてた。」
恥ずかしながら、私はすぐにグーグル(Geogle)先生に助けを求めました。
そして、『カナダ』『祝祭日』で検索すると・・・
あった。
11月11日 英霊記念日
でも、これを見てもいったいどういう記念日なのか具体的には分からず、今度は『英霊記念日』を検索。
なんと、11月11日は〈第一次世界大戦が終わった日〉、つまり「終戦記念日」。。。。
正直、びっくり。
「終戦記念日」という言葉からは、自分は「8月15日」という日付以外全く頭に浮かんでこない、ということ、
そして、
「世界大戦」と言われるものはふたつあって、だから「第二次世界大戦」というものがあるのに、自分は今日まで、その二つ目の方の終戦記念日しか知らなかった、ということに、いきなり気づかされて。
そして、ここカナダでは、「第一次世界大戦」が終わった11月11日が【Remembrance Day】(英霊記念日)として国民の休日となり、今日までずっと語り継がれてきている・・・
もちろん、この【Remembrance Day】はカナダだけの記念日ではなく、ウィキペディアには
『イギリス連邦諸国では、毎年この日に戦没者追悼行事が行われている。また第一次世界大戦に参戦したフランスやドイツでも同様の式典が行われる。』。
(でもマレーシア(一応「イギリス連邦」の仲間)ではこの日を意識することはなかった気がする・・・)
日本でも11月11日は、一応は「世界平和記念日」と呼ばれてはいるようですが、休日もなっていませんし、そもそも知らない人のほうが多い・・・ですよね? だって「ポッキーの日」とか「きりたんぽの日」とか言ってるくらいですから。ま、私も人のこと言えませんが。
そんな【Remembrance Day】と切っても切り離せないものが「赤いポピー」。このポピーは日本語では「ひなげし」と訳されているようです。
【Remembrance Day】が近づくと、胸に赤いポピーを付けて歩く人を見かけるようになる
日本語でも英語でも、その気になって探してみると、【Remembrance Day】も「赤いポピー」も、このキーワードだけで山ほどの記事がみつかります。
でも、最近は人が多く集まるようなところに行っていないせいか、「胸にポピーを付けて歩く人」を見かけた記憶は全くなし。
いや・・・こういう事情があることを知らないから、単に目に入らなかっただけ?
などと思っていたのですが・・・
あっ!!
そういえば、その日の午前中にfacebookで見たあのスポーツ用品店のカバー写真…「店休日のお知らせ」が大きく書かれていたけど、
これって「赤いポピー」じゃん!!
っていうか、ちゃんと『REMEMBRANCE』って書いてあるのに、そこは勝手にスルーしてた・・・。この日のことを何も知らなかったから。
テレビのキャスターも胸に「赤いポピー」をつけたり・・・
5人くらいの女性が話をしていましたが、たぶん、全員胸には「赤いポピー」が。
こちらはフランス語局のニュース番組でしたが、
よく見ると手前のキャスターの女性も、コメンテイターの3人も胸には「赤いポピー」。
さっきスマホに入ってきたスーパーのお買い得情報のメールにも。
と、ふと気づけば、周りは「赤いポピー」だらけだったのですが、でもそれはもちろんここ(カナダ)だけではなく、イギリスでも同様に、いえ、もしかしたらここ以上に「赤いポピー」で埋め尽くされているのかも・・・と、いろいろな記事を読んでいて思いました。
が、
なぜ「赤いポピー」??
という話になると、そこにカナダ人が登場するようです。
大戦中に外科医として従軍していたカナダ人のジョン・マックレー(John McCrae:彼は詩人でもあった、という記述も見られました)が、戦場で書いたという一篇の詩
《フランデールの野に(In Flanders Fields)》。
その情景としてうたわれた野に咲き乱れる真っ赤なひなげしの花が、今、人々の胸に付けられている「赤いポピー」の始まりのようです。
その詩について興味のある方はこちらをどうぞ。
マックレー本人の直筆(詩の走り書き)の写真と、この詩が世に出るようになった経緯などが書かれています。
この詩にはその後、曲もつけられたようで、それもYoutubeでいろいろと見つけることができます。
みどりの学校での「集会のようなもの」で朗読されていた詩は、間違いなく《フランデールの野に(In Flanders Fields)》だったのでしょう。そして歌われていたのもこの歌だったのかもしれません。
あれこれ見ていたらこんな映像も発見。
ここの子どもたちは、こういうのを見て小さい頃から【Remembrance Day】というものを学んでいるわけですねえ。
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さて、【Remembrance Day】前日の11月10日。
昼間、子どもたちと市中心部のショッピングセンターに行ったのですが、
確かにいました。
胸に「赤いポピー」をつけている人。
なんとなく、ハンガリーでの3月15日(革命記念日)の頃を思い出しました。
「赤いポピー」を胸につけることについては、今では色々な考えがあり、その解釈もたくさんあるようです。
また過去の事実として消し去ることのできない「戦争」というものへの考え方も、国によって、人によって様々で・・・「悪」とか「善」とか、「賛成」とか「反対」とか、そういう一言では語れないものが根深いところに潜んでいるような・・・これまでほとんど触れることのなかった「第一次世界大戦」と言うものに関わったカナダ・イギリスなどの記述を見ながら、そんなふうに思いました。
★日本語訳をしてくれている人がいました★
ジョン・マクレー 「フランダースの野に」(フランドルの野に)<ポルフィの日記>