やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

【オペラ座の怪人】

 ほんの少し前までは

「名前は知ってる。有名な映画だよね。あ、ミュージカルもあったよね。」

 というレベルでしか知らなかったこの作品。


 

 そう。

 ちょっと前に住んでいたブダペストでは

【キャッツ】を観て(本場ロンドンからの大迫力の舞台でした)

【レ・ミゼラブル】を観て、・・・(これはハンガリー語だったけどがっしり心を掴まれました。やっぱり素晴らしいものは素晴らしいっ!)

【カルメン】を観て   

 ん? これはミュージカルじゃなくてオペラか・・・


 と、まぁ、にわかファンとでも言いますか・・・。

 基本、機会があれば、観れる時になんでも観ておきましょ! というスタンスで、オペラでもバレエでもミュージカルでも、有名どころの作品の舞台情報をGETすると、まずチケットを買って、それからネットやYoutubeでストーリーの予習をして気分を盛り上げてさぁ劇場へ!

 こんな感じで、カイロに住んでいた頃から、これまで“文化的なもの”にもそれなりに触れてきたつもりでしたが。


 
 【オペラ座の怪人】
 

 カナダに来て、ここ、エドモントンで初めて観ました。


 テレビの宣伝で、この夏休み中にうちから歩いて行けるところにある劇場で上映されることを知って早速チケット購入。


 最近は色々なところへ誘っても「行きたくない率」が高くなっている我が家の長男(10歳)も、前に観てすっかり心奪われた【レ・ミゼラブル】と同じ「ミュージカル」で、しかもこの【オペラ座の怪人】というのも、かなり有名な作品らしい・・・ということで今回は迷いながらも同行。


 7月30日(日)の午後7時半からの公演を、家族4人で観に行きました。


 あ、でも実は、前日の土曜日に大人二人は映画で予習
 子どもが寝てから、日本語字幕付きで観て、ストーリーをしっかりとおさえ・・・・
 (一応、昼間に一緒に見ようと誘ったんですけどね。子どもたちはそれぞれ色々やりたいこともあったらしく「観なくていい」と(笑))


 いや、正直驚きました。

 こんなストーリーだったとは・・・・・。


 泣くに泣けない、というか。

「怪人、全然悪くないじゃん!!!」という想いに、どうしても行き着いてしまい・・・


 そして、あの曲のインパクト。

 あれはすごい。



 そして、思いました。



 これは(ブダペストの)オペラ座で観るべきだった・・・



 【オペラ座の怪人】が上演されていた時期が確かにあったのに(※)

 その時期、忙しかったんだっけ?


 いや、どんなに忙しくても、こういう作品だって知ってたら、絶対なんとしてでもがんばって観に行ってたのに!!!

 と、今頃になって悔しさじわじわ。

 
 そういえば、ブダペストを去る前に「このブダペストで【オペラ座の怪人】を観ることができたのが本当に良い思い出になりました」と言っていた人が、確かいたような・・・。



 でも、過ぎたことをあれこれ言っても仕方がない。

 とにかく、明日はその生の舞台が観られるんだから。

 なんたって本場、ブロードウェイのミュージカルなんだからっ!




 そして、翌日、昨夜聞いた音楽が頭の中をぐるぐるしている状態で会場へ。


 

あ、シャンデリア・・・・。



 
しかし。


あの映画を観た後のインパクトを思いっきり引きずったままだった私には


正直、目の前で繰り広げられる生の舞台が物足りなく感じてしまいました。


確かに、席が後ろの方だったので、役者さんたちの表情まではほとんど見えなかった、というのもあったかと思います。

でも、


 「過ぎたことをあれこれ言っても仕方がない。」

などと言っておきながら、


これを、あそこで観ることができたら・・・・


という想いが、もう、どうにもこうにも拭い去れなくて。

だって、これですよ・・・。

ブダペストのオペラ座。
これは「桟敷席(さじきせき)」と言われる、上階の(正面の入口ではなく裏口から入る)格安席で【カルメン】を観たときに座席から撮ったものなんですが、


もう、ここで観ないでどこで観る?

というか


ここで【オペラ座の怪人】を観ずして何を観る!?(※)

 

いや、ほかにもウィーンとか、もちろんパリのオペラ座とか
ふさわしい場所はたくさんあると思いますけど、

とにかく、今回ほど「失敗したーーーー・・・・」という気持ちになったのは珍しいかもしれません。


それから、会場の雰囲気だけではなく、舞台の終わり方も。


 舞台にせよ、映画にせよ、この【オペラ座の怪人】という作品はそれぞれにふさわしく創作された部分も多くあり、オリジナルの小説はあくまでも「ベース」になっている、ということのようですが、映画を先に観てしまった私には、舞台のあの終わり方では、どうしてもストーリーとして完結していないように思えてなりませんでした。


 あぁ・・・でも、それにしても、あの音楽のインパクト。


 【レ・ミゼラブル】のように、心の底からじわじわ、ぐわーーーーーっとまっすぐに湧き上がってくるものとはまた別の、


 苦しみとか悲しみとか、いろんな(怪人の)“抑えきれない想い”が、ぐぐぐぐーーーーーっと迫ってきて、覆いかぶさってくるようなあのギラギラした、それでいて切ない旋律。
 
 ほかにも、何度も耳を通り抜けるたびに確実に心に染み込んでいく挿入歌の数々。


いや、すごいです。




 そして、翌日、月曜日。


「結局、どういうことだったの?」

「ぜんっぜん、(話の展開が)わかんなかった。」
という子どもたちと一緒に(いきなり英語であの舞台を見たら、私だって全く分からなかったよ・・・)、また映画を観た私。


 結局3日連続であのインパクトのある曲たちを浴びまくってしまい、本当に頭の中はそれ一色、という数日間を過ごしてしまいました。


 昨日あたりからやっと、ほかの曲も頭の中に入り込む余地ができてきている感じですが(笑)



 いやーーーーー、こんなふうに強烈なパンチを浴びせてくれる作品が、まだまだたくさんあるんでしょうねえ。


 とりあえず、「家から歩いていける劇場」での上演作品のチェックは怠らないようにしよう・・・と思う、涼しいエドモントンの夏の夜でした。


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(※)後日、訂正

 ブダペストで【オペラ座の怪人】を上演していたのは、ここに写真を載せた「オペラ座」ではなく、「マダーチ劇場(Madách Színház)」というところでした。
 でも、マダーチ劇場もオペラ座よりは小規模ですが、こんな感じのところなので、

ここでも雰囲気はバッチリだったと思います。(ただし英語じゃなくてハンガリー語、というのがちょっとネックに・・・(TдT))