やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

61時間カナダ鉄道の旅

 
 カナダに来て最初の夏休み

 ここはどどーーんと「ナイアガラの滝」を見に行こう! ということで

 まずはそこに一番近い街オンタリオ州の州都であり、カナダ最大の都市でもあるトロントを目指すことにしました。

 列車で


 これだけ広いカナダですから、横断鉄道なるものがあり、
 そういうのがあるのなら、ぜひ乗ってみたい。

 乗って、「カナダの広さ」を実感したい

 ただ、それだけの想いでした。


 ただ、我が家は4人家族。

 4人が4人みんなが同じ想いであったかは・・・・想像に難くなく。

 でも、今回は(いや、年末のバルセロナまでの列車の旅に引き続き、今回結局、押し切ってしまいました。(私が)

 が、しかし。

 結果的には、60時間超というすごい旅になってしまったこともあり、子どもたちには
かなり不評だったので、こういう時間を贅沢に使いまくった旅はしばらくは封印せねば・・・という状況の我が家です。


 で、その61時間

サクッとご紹介したいのですが、
 ・・・と言っても長くなることは否めませんので、

お暇な方、あるいは実はこういう旅って好きなのよね、という方はお付き合いください。



 エドモントンからトロントまでは、直線距離だと2700Kmくらい。
でも線路は地形に従ってあっちこっちに走っているので、列車での走行距離は3500Kmほどになるらしいです。


左側(西側)の青丸がエドモントン。右下に下がっていったところにある赤い印がトロント


3500Kmって言っても、全くピンときませんが、
東京からベトナムのハノイくらいまでが直線で結んで3700Km

日本の全長もざっくりと「3000Km」ってよく言われているようですが、
北海道から石垣島までを国土に沿って弓なりに測った距離が3500Kmくらいという記述もどこかで見たので、日本の端から端まで行くくらい?と思ってもそう大きな間違いはなさそうです。

 カナダの地図だけ見ていたら、ここがどんなに広いのか全く分からなくなってしまうのですが、つまりかなり広い



【8月5日 23:59 エドモントン発・・・?】
 8月6日に日付が変わる頃に発車するようなので(どうして0:00発にしないんだ?)

 明らかに辺鄙なところにあるエドモントンの鉄道駅にて11:30pmごろから待機。

 西海岸のバンクーバーを前日の夜8:30に出ているはずのカナディアン号は、丸一日頑張って走っても定刻には到着できないことが多いらしく、ほどなく「列車到着は0:45頃の予定」とのアナウンス。

 そして、その後は・・・・・

ひたすら待つのみ。


 列車に乗り込み、それが動き出したのが午前3時

 出発時点で3時間の遅れ。

 
 乗ったら即寝。

 朝になったら外には美しい景色が。

時々、

ん? 北海道??
あれ? ハンガリー?? などと思ったりもしながら、

こんなナイスな展望デッキからの眺めを楽しむことができる列車の旅。

やっぱりこれは素晴らしい!!
(・・・と、まだ感動に浸れる余裕あり?)


 車両は20両くらいあって、前の5両目くらいまでが「エコノミー」

 その後ろは「Sleeper」と呼ばれる寝台車両
Sleeper」のほうがもちろん快適だけど、
・夜になると座席部分がベッドになる だけではなく


・座席がベッドになってからもゆっくり座ってくつろげるラウンジあり
・食堂車での食事(朝・昼・晩)つき
・コーヒー、紅茶、フルーツなどのサービスあり
・車両内のシャワーや洗面台利用可(クラスによって個室トイレだったり共同シャワーだったり様々)


・・・と、リクライニングシートで寝るエコノミーとは、あらゆる面でかなりの格差が。



こちら、エコノミーの車両。

エコノミーの乗客は、食事も自力でなんとかします。

寝台クラスの食堂車に余裕があればそちらの予約もできるそうですが、基本的に寝台クラスの乗客が優先。だからそれを当てにしてはいけない、と言うのをどこかで読み、実際の旅行中は我が家は利用できることすら忘れていました。
でも、季節(旅行時期)によっては「たいてい食べられる」という経験者談もあるので、そのへんは臨機応変なる心の余裕が大切かと。

車内販売が各車両にまわってくることはなく、食堂車に行って注文。

コーヒーやスナック、ミニカップ麺などが買えます。

となりの厨房では狭いスペースながら、パンケーキなどの朝食やチキン、サーモンなどの夕食も調理してくれます。


ここで食べたり、座席に持っていったり、眺めのいい展望デッキで食べたり。

そして、このエコノミーの食堂車よりも後方の車両は、「Sleeper」車両なので

下々の者は立入禁止


 で、大切なお値段の違いですが、

エドモントンからトロントまでの場合
・エコノミークラス:$291(≒¥25,000)〜
・Sleeper(寝台)クラス:$791(≒¥68,000)〜
・Sleeperの2人用キャビン:$1191(≒¥103,000)〜
(※大人1名分の料金、$:カナダドル)

と、ものすごく違います。

 いくら3泊分のホテル代が含まれた料金だと考えても「家族4人でSleeper」という訳にはいかず。


 ここで嬉しいことに、夏休み時期のキャンペーンだったのか、あるいは「カナダ建国150周年特別プライス」だったのか、エコノミークラスに限り【2~11歳の子ども $15】となっていて、なんと我が家も1名分が $15(≒¥1,300)に。

 ありがたや・ありがたや・・・・



さてさて、

出発時の遅れを取り戻そうなどという雰囲気は全く感じさせないまま、

いや、むしろ
なぜ貨物列車とすれ違うたびにこっちの列車がばかりが停車して待つ??
という状態で、果てしない距離を走り続けるカナディアン号


やっと停まった最初の駅が、ここSaskatoon(サスカトゥーン)13:15

あとから時刻表を見て知ったけど、Saskatoonの到着予定時間は8:07
ここで、さらに遅れは5時間超
これだけの遅れがあるのに、この駅舎しかないような場所でなぜか45分停車


ゆっくりと走り出した後も、貨物列車とすれ違うときはやっぱり停車して待つカナディアン号


小麦畑を見て


遠くに降る雨を見て


3つ目の駅に停まったのが18:45

まるで村の郵便局のような駅舎の壁には
西のバンクーバー行きと東のトロント行きの、長距離列車2本の発着時間が。

(この駅に停車するのはこの2本の列車だけなのか?)


美しい夕陽。




明日の朝、目を覚ました時は、私たちは一体どのくらい東に進んでいるんだろう・・・ と思いながら、就寝。




【8月7日 6:00 ついに中間地点??】

朝6時に目を覚まし、現在の位置確認。

なんとか中間あたりまでは来ているらしい。

その後、駅でもないこの場所で、このまま貨物列車との待ち合わせで40分以上停車。


鉄橋を渡り・・・



その後、40分間停車したこの駅は・・・

おぉ!
すでにオンタリオ州に入っている!!


夕方は雨。

昨日、夕陽が見れてよかった。


そして、日が暮れた後にもまた貨物列車との待ち合わせで数十分停車。



トロント到着予定時間は明朝9:30

でも、誰もそんな時間に到着するなんて思っちゃいない。

でも、できればこれまでの6時間超の遅れを少しでも取り戻してほしい。

昼前の到着は無理だろうけど・・・夕方、日が沈む前にはトロントの街の中を歩いていたい


夜9時。


夜11時。


ほとんど進んでない・・・・。
(ようにしか見えない)




【8月8日 トロント到着!!】

朝6時。

昨夜の11時から7時間が経っているとは思えないこの位置に、しばしボーゼン。


でも、朝日がきれいそうなので、展望デッキへ。



朝ごはんも昼ごはんも済んで午後2時


限りなくトロントに近づいてはいるようだけど、


その後、1時間以上走っても、窓の外の景色は大都会トロントに近づいているようには見えず。

そして、
日も傾き始めた午後5時ごろから、じわじわと「街」を感じさせる景色が見え始め、


たぶん・・・・もうすこし。




あ!
 あれはCNタワー!!



午後6時、トロントのユニオン駅到着



お疲れさまでした〜〜〜!!!

ここで笑顔の写真が撮れたのはありがたいことである。



【で、何食べてた? 何してた??】

 だらだらと書いてきましたが、結局⬆こういうことが知りたかったのよ、という方は以下もどうぞ・・・

・・・食事・・・

 上にも書いたとおり「エコノミー」には食事は付いていないので、基本的には車内での数日間の食事は以下のようになります。

1.食堂車に行って、セットメニューの中から注文する。
 厨房の横に貼ってあったメニュー表の写真を撮り忘れたのですが(長時間の旅だと、いつでも撮れると思っていて結局撮りそびれるということが多々あり) 
 朝食$8(≒¥700)、昼食と夕食$10(≒¥850)程度のセットメニューがそれぞれ4種類くらいずつありました。



夕食で、もっとしっかり肉の入った食事やサーモンの食事もあったのですが、
残念ながら写真、撮っておらず。


2.売店でスナック類を買う(食事の代わりになりそうなのはあまり無い)


3.持参する
 小さい子どもと一緒に一族大移動的な旅行をしているような人たちの中には「持参組」もちらほら。大きなタッパーにいろいろ作って持ってきていました。お母さん、偉すぎ・・。


4.Sleeper(寝台)クラスの食堂車の予約にトライしてみる
 我が家はトライしませんでしたが・・・1回くらいしてみても良かったかも。もっとも夏のこの時期は難しそうな気もするけど。



★ランチの無料サービス★
 8月8日、予定としてはこの日の午前中(9:30!)にトロントに着いているはずなので、ランチの注文はできず。その代わりに午後1時前にサンドイッチとジュース、コーヒー・紅茶が無料で配られました

でもこれ、乗客全員分となるとかなりの量のはず。(「Sleeperクラス」のことはわかりませんが)

 この食材はどこでどうやって調達したんだろう? さっき長々と停まっていたあの駅でサンドイッチの搬入作業をやっていたんだろうか?などと考えたり。

 そして万が一、さらに到着が遅れて夕方6時、7時を過ぎても車内生活が続いていた場合・・・同じようなサンドイッチが、あるいは別の何かが「Dinner」として配られたんでしょうかね??

 

・・・何をしていたっけ?・・・
 61時間かけて移動をしていたと言っても、寝る時間もあれば食事をする時間もあります。

 とは言え、「朝から晩まで列車の中」という日がまるまる2日間はあるので、それなりの時間はあるわけで。

 ということは、まずは普段なんだかんだでまとめて確保できない「読書タイム」、いただきます!! と、最初からかなりワクワクしていたのですが。


 持参した上下巻の文庫本・・・読破できず。

 これを読み切ってしまったときのために、別の本も電子書籍に入れて持っていったのに・・・。


 寝ている時間と食事の時間を除くと、フリータイム(?)約40時間くらい。

 でも、そのうち
・食堂車に行って食事の注文をし、出来上がるのをそこで待つ:合計2〜3時間?
・この列車で、このルートをもう20回は移動しているという年配の女性から沿線の街の見どころについてレクチャーを受ける(別にこちらから頼んだわけではない):1〜2時間
・展望デッキでカメラ(スマホ)片手にナイスな景色を眺める:・・・かなりの時間
・座席から窓の外の景色をぼーーーっと眺める:・・・エンドレス?
・いつの間にか寝てしまう・・・・

こんな感じで、持て余してしまうのでは、とも思えた時間をほとんど有効に使うことなく

でもそのわりには「退屈して死にそう」などと思うことも全くなく過ごしてしまいました。


 旅行後まもなく出張を控えていた夫は、列車の遅れのおかげで、「帰ったら超特急でせねば」と思っていた発表準備が予想以上に進んだようで(しかも眺めの良い展望デッキで)、こちらは時間を非常に有効に使っていた好例

 一方、子どもたちは、
長女(13歳):パソコンで作業(作業内容は内緒)、読書、車窓からの景色を写真に撮る。
長男(10歳):「うーーーん、基本的に、“待機”。」 だったそうです。「電子書籍の本はもう全部読んじゃってたし〜。パソコンもオンラインでは使えなかったし〜・・・」

 長い道中、常にインターネットが使える環境ではなかったので(陸の上での移動をしているはずなのに「電波の届かない場所」をひた走る時間が意外と長く、思わず「ここはナセル湖か・・・」とつぶやきたくなったり。) 時間を持て余しそうな子どもがいる場合は、お気に入りの映画をオフラインでも観られる形で持参、という準備が必要だったと今になって思います。

 食料をたくさん持ち込んでいた大家族御一行は、そう言えば子ども用のアニメもしっかり持ってきており、子どもたちを一箇所に集めてパソコンで見せ、できるだけ騒がないように・・・といろいろ考えているようでした。・・・それでもこの御一行様周辺は子どもの数が多すぎてカオスになっていましたが。

 そういえばこの御一行様は、一人一つずつも持参していました。


 エコノミークラスでは、枕、毛布の持参もポイントです。

 思いの外冷房が効いていてびっくりだったけど、毛布は「販売商品」乗客全員へのサービス(無料貸し出し)はありません。

 $15ドル(≒¥1,300)で、毛布・アイマスク・携帯用枕・耳栓の4点セット

車内の寒さに耐えかねて買ってしまいました。

「VIA Rail Canada」(カナダ鉄道)のロゴ入りw
長さ30cmほどのバックにコンパクトにまとまっているので、今後の旅にも使わせていただきます。




 以上、エコノミークラスの車内生活の一部をご紹介しましたが、

なんと、思いっきり日本語でのウェブページ(日本公式サイト)があることを、旅行後に知りました。

 こちらでは、優雅なイメージしか浮かんでこない「Sleeper」(寝台)クラスのようすをたっぷりご覧になれます。

 もちろん、「時には到着が8時間以上遅れることがあります」なんてことは間違っても書かれていません。



 チケットには、実はしっかり書かれていましたけどね。

(この記述に気づいたのも旅行後でしたが)



 では、今後、カナダ横断鉄道の旅を(エコノミークラスで)計画する場合は・・・

1.到着予定日の予定は空けておく。
2.夏でも冷房対策を忘れない。
3.荷物に余裕があれば枕などの快眠グッズを持参する。
4.陸上の移動だけれど、ネット環境はクルーズ船での移動とほぼ同じとみなす。
そして
5.窓の外の美しい景色をひたすら楽しむ。

 以上、

「これを先に書けよ!!!!!」と言われそう。

 本当に長々とすみませんでした。



 さらに、感動を味わいたい方はこちらをどうぞ。

【感動のカナダ横断旅行】実録!VIA鉄道でカナダ大陸を横断してきました!