やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

あれ? 「ト・モ・ダ・チ」は・・・??

 
 映画は好きです。

 小さい頃は親の影響でほとんど洋画ばかり。有名どころの作品はほぼ網羅する感じで観ていました。
『サウンド・オブ・ミュージック』、『風と共に去りぬ』、『荒野の七人』、『大脱走』、『ローマの休日』、『ジョーズ』、『ゴッド・ファーザー』、『ポセイドン・アドベンチャー』、『タワーリング・インフェルノ』、『エアポート』シリーズ・・・


 とは言っても、その頃は映画館で観ることはほとんどなくいつもテレビで。
一昔前は、夜の9時から映画を放送してくれるテレビ番組が週に何度もありましたからね、◯◯ロードショーとか、◯◯洋画劇場とか。

 今思えば、ああいうテレビ放送って日本語吹き替えになっている場合が多かった気もするんですが、当時は今ほどの違和感もなく、いつも楽しみに観ていました。


 高校生、大学生くらいになると一人で札幌の映画館に行ったり、友だちと授業の合間にふらりと何か観に行ったりということも多くなり、古き良き時代の名作」ばかりではなく、「この夏の新作!」とか「今年一番の話題作!」 なんていうのを観る機会も増えました。


 一緒に観ていた友人が隣で「酔った・・・」とげっそりしていた『トップガン』
 観終わったときに体中にどっと疲れを感じていた『オーバー・ザ・トップ』(無意識に全身に力が入っていたらしい)
 どうやらものすごく泣ける映画らしい、とハンカチを握りしめて観に行ったのに、気がついたらエンドロールが流れ始め「え?私、どこで泣くべきだったの?」としばし呆然とした『カラー・パープル』・・・。


 『タイタニック』を観たときは、セリーヌディオンの歌声を全く聞かないまま帰宅。 家に帰って来てからあの有名な♫My Heart Will Go Onを一度も聞いていないことに気づき、頭の中が「??」でいっぱいになり。
 この映画は公開年(1997年)にインドネシアで観たのですが、当時のインドネシアでは映画を“最後まで”観る、という習慣があまりなかったようで(最近はどうなんだろう?)、エンドロールが出始めるとほとんどの客は席を立つのが普通でした。この『タイタニック』に至っては、まだエンドロールも出てないうちから(確かジャックが船内の階段のところでローズに笑顔で手を差し出すシーンのあたり)で館内に電気がつき(当然スクリーンの映像はほとんど見えない)、そして音声も止まり。 なので、エンドロールのときにしか流れないあのテーマソングは館内に響くことなく、観客の多くはたぶん「あの曲を聞いてない」ということに気づくことすらなく映画館を後にしていたわけで。


 などと、あれやこれやありながらもいろいろな映画を観てきましたが、もちろん観そびれたまま今日まで来ている映画もたくさんあります。


 『E.T.』もそのひとつでした。


 1982年公開のこの映画。
 色んな場面で「有名なシーン」は目にしているし、挿入歌が流れれば「あ、『E.T.』の曲だ!」と分かるのに、名作中の名作と言われるこの映画を観ないまま、どんどん月日は流れ。

 結婚してからは「いつか子どもと一緒に見る日」が来るだろうと、子どもと人差し指をピッとくっつけ合って「と・も・だ・ち」・・・などとやってみたりしながら「その日」を待っていました。


 そして、9月のとある金曜日。

 息子(11歳)と一緒についにこの映画を観る日がやってきました。(自宅のAmazonプライムで)


 宇宙人がやってきて、とある少年(草太と同年代の10歳の少年)と心を通わせるお話 ということ以上の予習はせず観始めた私たちだったので、自分たちが知っているあの有名なシーンはいつ、どんなふうに出てくるんだろう、・・・そんな思いで36年前のSFファンタジーの世界に入っていったのですが。


 あ、その「有名なシーン」というのは、もちろん
 ➀自転車で空を飛ぶシーン ➁人差し指をくっつけ合うシーン


 で、すでにこの映画を観たことがある人は、もうお分かりでしょう・・・・。

 最後まで「あのシーン」を期待して、そのシーンになったら「キターーーーー!」と思いながら、横に座っている草太とピッと人差し指くっつけちゃおう、くらいに思いながら観ていたのに。

 
 ないんですね。

 あのシーン。

 E.T.とエリオットの人差し指が触れ合って、

 そして「ト・モ・ダ・チ」・・・・

 これはきっとE.T.がテレパシーかなんかで発するコトバだろうと、そこまで勝手にイメージが出来上がっていたのに。


 もう物語も終盤に差しかかって、E.T.が宇宙船に乗って帰っちゃう・・・という場面になっても差し出された人差し指は

え? 自分の胸に?

え? 自分の唇に??



そして、E.T.とエリオットはお互いに指をくっつけ合うことなく、別れてしまい


草太も私もしばし呆然。


イメージって怖い。

そして、思い込みって時に悲しい。



 っていうか、長い年月をかけて勝手に膨らませてしまったこの想い、一体どうしたらよいのやら。 

 
 我が子と一緒にあのシーンを観ながら、そっと人差し指をくっつけることを楽しみに生きてきた私の夢が虚しく消えた、9月のとある金曜日のお話でした。



 「名作」と言われるものを大切にしすぎるのも考えもの・・・。



 あとほかに観そびれてる映画って何があったかな。


 温めすぎないで、サクサクっと観よーーっと。

 
 


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 『E.T.』のこのシーンについてはやっぱり同じように「??」となる人も多いらしく、その後調べてみたら色々出てきましたので、ご興味ある方はこのあたりを読んで締めくくってみてくださいませ。
👉 E.T.で指を合わせるシーンって