やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

日本人学校で《ホットランチ》〜図書室が “にわか調理室” になった日〜

 ブダペスト日本人学校で年に2回行われる《ホットランチ》

 学校のランチタイムに、いつもとは違う『温かいカレーライス』が食べられる日。

 子どもたちはもちろん、その日はお弁当を作らずに済むお母さんたちにとっても、ありがたーーい日。そして、実は先生方も密かに毎回心待ちにしているらしい日。

 その日子どもたちは、いつものお弁当箱よりも少し大きめの容器にご飯のみを入れて登校します。


 我が家の場合はアイスクリーム容器を使用。みどりのは「らっきょう」(もどき)付き。 中にはご飯の上にカツをのせて行って『カツカレー』にする子も少なくないようで。


 さて、小雨ぱらつく5月21日(木)に行われた今年度最初の《ホットランチ》では、私は初めて「お手伝い係」として、このカレー作りに参加しました。

 いつもの二人分のお弁当を作らなくて済んだ分、実は全校生徒&先生、スタッフたちのためにカレーを作りに学校へ行く・・・という大きな使命がもたらされたわけですが、これがまた意外にもかなり楽しかったのでちょっとご紹介。


 10時半に集合場所の図書室に到着すると

 そこはもう、すっかり「にわか調理室」となっていました。


 そう。ここは、図書室。

 ドアには「期限を守って返しましょう」。

 そこに、こんなふうに大鍋・カセットコンロ・包丁・まな板・・・などの調理道具が運びこまれ、整然と並べられています。

 「お手伝い」の私たちが到着する前に、PTAの役員さんたちがここまでセッティングしてくれていたようです。
 

 お肉は役員さんが手分けして、自宅で小さくカットしビニール袋に入れて持ってきてくれて・・・。

 なので、私たちのここでの作業は「野菜を切る」ところからスタート。

 7つある大鍋をそれぞれ2人で担当し、いよいよカレー作りです。

 まずは、ボールに無造作に入れられていた小ぶりの玉ねぎを12個(だったと思う、たぶん)薄切りに。

 続いて、人参じゃがいも小さめの角切りに。(賽の目切りって言うんだっけ?)

 人参・じゃがいもの大きさについても、「出来上がりに(鍋によって)あまり差が出ないように」ということで一応指示がありましたが、・・・すでに忘れてしまいました。

 確かPTA役員さんが「親指の爪くらいの大きさで〜す。」と言っていたような・・・?
 ま、親指の爪の大きさなんて個人差ありますからね・・・“だいたいこんな感じ”でOKってことなんでしょう。

 
 切っている最中は真剣だったので(「大量の野菜を一気に切る」という作業に妙に萌えてしまった・・・)写真は撮れず。


 そして、 あっという間に煮込み → アク取り。



 ルゥも入って、美味しそう♥

 お隣の鍋を見ると・・・

 ちょっと色が違うのがわかりますか? 
 先生やスタッフ用なので、こちらは中辛
 上の写真の鍋は5年生用中辛と甘口のハーフ&ハーフ

 ちなみに低学年は甘口、中学生は中辛・・・と、鍋ごとに味を調整しているのです。

 ただ、今回、中学生の中でも「甘口しか食べられない」という子がいたらしく、その場合は担当の「お手伝い係」さんが小学1年生教室まで甘口ルゥをもらいに走ったとか。


 あっという間にカレーは出来上がり、子どもたちに配膳に行く前にまずは私たち「お手伝い係」とPTA役員さんたちが一足先に「いただきます!」


 大人の分は、中辛。自分の家で作るのより具が細かくてとっても繊細な感じがしました(笑)

 ここで、ご飯の隅にのっている「らっきょう」もどきはこちら。

 今はじめて調べたけど、これ「エシャロット」だそうです。
 こういう瓶詰めのピクルス系ってピリ辛のものが多いけど、これは辛くないので子どもたちも食べられます。(私にはちょっと物足りない)


 さてさて、いよいよ子どもたちのランチタイム
 3階の調理室図書室から、カレーの入った鍋を持って各教室(ほとんどが1階と2階)に移動です。

 過去の《ホットランチ》で、この階段移動中に何かの事故で転んじゃった人とかいなかったんだろうか・・・と、ついつい考えてしまいます。
 熱いカレー鍋を持ったまま転倒、落下・・・なんて、想像しただけでも恐ろしい。


 無事教室にたどり着くと、子どもたちの待ち構えた顔・顔!!

 みんながご飯の入ったタッパーを手に、我先にと鍋の前に並びます。

 そして満面の笑みで食べてくれる。
 いや、こりゃ嬉しいですね〜。

 配膳担当になった5年生のクラスの鍋は

 キレイに空っぽになりました!

 3年生のクラスも覗きに行くと・・・

 机を丸く並べ、楽しそうに食べていました。

 

 10時半に集合し、途中、二度も(!)コーヒータイムを取りながら、それでもPTA役員さんの指示通りにサクサクと進んでいった今回の《ホットランチ》のカレー調理。2時過ぎには後片付けも無事終了し、笑顔で解散。


 図書室はあっという間に元の姿に戻りました。



 それにしても、調理室もないのにすごいよな〜、この《ホットランチ》、いったいいつごろ、だれのアイディアで始まったんだろう・・・と思っていたら、

 実は、以前はお隣(というか同じ敷地内にある現地校)のヴィラーニョシュ校の調理室を借りてカレーを作っていたそうです。
 今でも日本人学校の家庭科の調理実習の時にはヴィラーニョシュ校の調理室を借りているそうですが・・・。


 調理実習では使わせてもらっている調理室。

 でも《ホットランチ》の時は、なぜ使ってないの?(使わせてもらえないの?)


 やはり、どんなにがんばっても強烈に広がってしまう、あの日本のカレーの独特の
「匂い」
が原因だったようです。

  
 だけど、その後すぐに調理室が使えないのなら日本人学校校舎の図書室でと、頭を切り替え、図書室での調理をスタートさせた先人(たぶん当時のPTA役員)の開拓精神あっぱれ!と思いました。


 その後、少しずつマニュアルが作られ、今ではそれを引き継ぐ形で、本当に手順よくあっという間に全校児童・生徒、そして教員・スタッフ、ボランティア(お手伝い)の分までのカレーが出来上がるようになっている・・・ということに、なんだか妙に感動してしまいました。


 
 今年、開校11年目を迎えるブダペスト日本人学校の歴史の一つを担っているような、そんな気さえする《ホットランチ》


 次回は10月頃に行われる予定のようです。