やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

そして11月20日は過ぎていった・・・・

 
 2012年11月20日は我が家の長男、草太の6歳の誕生日でした。

 そういえば、ベトナムでは11月20日は「先生の日」でしたねー。
 多くの国で3月8日が「女性の日」として祝われているように(←国連で「国際婦人デー」と定められているとは知りませんでしたが。http://bit.ly/TeTdx8)、「先生の日」もいろいろな国でお祝いされているのかと思ったら、どうやら「11月20日が先生(教師)の日」という国はベトナムくらいのようです(http://bit.ly/Ti0j74)。  ま、個人的にはあんまり好きじゃない・・・というかわざわざ制定しなくてもいいような気がしますけど。なんか押し付けがましくないですかぁ?「先生の日」なんて。

 で、今住んでいるエジプトはどうかというと・・・
11月20日は、少なくとも去年からは、残念ながらあまり心安らかに迎えることのできない日となってしまっているような気がします。

 去年の今ごろはタハリール広場を中心にかなり緊張した状態になっており、みどりが通う日本人学校の学習発表会は延期、草太が通うCBS(Cairo British School)のスポーツ・ディは中止となっています。

  そして今年。 去年ほどではないですが、やっぱり荒れています。タハリール。
「去年のあの時期からちょうど1年」という意味が大きいのでしょうか?


・・・という文を書いていたのですが、さきほど11月23日の2:32amにカイロ日本人学校からケイタイへの緊急メッセージが入りました。
《OperaHouse ga Close saretanode honjitu no gakushuuhappyoukai wa enki shimasu》


 ちなみに《Opera House》というのは、日本政府の無償資金協力(援助相手国に返済の義務がない援助の形)により建設され、設計及び建築に携わったのも日本人・・・という我が家から地下鉄で一駅先のところにある《カイロオペラハウス》。日本人が建設に関わったというご縁で、日本人学校の年に一度の大きな学校行事「学習発表会」の際に、その会場として使わせていただいていたそうですが(いつ頃からかはわかりませんが)、去年はそのまた一駅先にある「タハリール広場」での混乱によりオペラハウス自体が閉鎖されてしまって11月25日に予定されていた学習発表会が延期されています。

・・・って、 これって、去年と全く同じパターンじゃないですかっ!!

 なんてこと。


 ってことは、これから書こうとしている11月20日の「学校行事」が予定通り行われたのは、本当にギリギリセーフのタッチの差、って感じだったんでしょうか??
ふぅ。


 さて、ではとりあえず11月20日のスペシャル・行事について。

 そんなわけでこの日、同じカイロ市内の一部では緊張が続いている中、タハリール広場から車を飛ばせば30分ちょっと(1時間弱、かな?)のピラミッドの麓では、カイロ日本人学校の児童・生徒、そしてその保護者たちが貴重な時間を過ごしていました。

 JICA(国際協力機構)エジプト事務所のご協力により、昨年より本格的な発掘作業が開始された『第二の太陽の船』の発掘現場を訪れ、その横の博物館に展示されている『第一の船』を見学したあとに早稲田大学の吉村作治氏より直接お話をうかがう、という機会が得られたのです。

 当初、日本人学校の児童・生徒が対象だったというこの企画。 一部(?)の保護者からは「え?子どもたちだけ?(私たちもお話聞きに行きたい!)」という声がチラホラ出ており・・・結局、関係者の皆さまの温かいご協力により、各家庭から保護者1名(+未就学児も)が参加可能となりました。

 私もこんな機会はめったにない!ということで草太を連れて参加。(草太の学校の帰宅スクールバス到着時までには帰って来られそうになかったので、早退させて連れて行きました^^;)

 一度は見に行かねば、と思いつつまだ行っていなかった『第一の船』の見学もでき、
 http://bit.ly/T7NwRDより

 貴重な『第二の船発掘現場』にも足を踏み入れる機会を得、そこで発掘の準備を整えるまでの苦労話や、今後実際にどんな状況の中で発掘が進められるのか・・・など興味深いお話をうかがいました。
 
この大きな白いドーム型のテントの中が発掘現場。吉村氏の後ろの白い覆いの向こうに『第二の船』が眠っています。

 
 発掘現場を「気温28℃ 湿度25%」に保つために日本の最新鋭の技術で作られた空調機械が使われ、
 そして、重さ10トン以上もある大きな蓋石を動かすためには室町時代から伝わると言われてる「玉掛け」という技術を利用した、というお話・・・日本の「最新技術」「伝統技術」がこの場で活かされている、ということにちょっと感動しました。


 でも話の内容もさることながら、私は吉村氏の「話の上手さ」が非常に印象に残りました。

《日本の考古学者。 早稲田大学人間科学部教授、国際教養学部教授、サイバー大学学長(任期満了に伴う退任。2011年4月1日付で同客員教授に就任)を経て、早稲田大学名誉教授、工学博士。http://bit.ly/QyhDFLより》

 こんな肩書きを持つ人(いわゆる「研究者」,「大学教授」)の場合、大学の講義などでも常に“自分の世界”にいて独り言のようにしか話してくれない人や、とにかく小難しい言葉をどうしても使ってしまう人(全くの素人相手にごく簡単な言葉を使って話す、ということが極めて苦手な人)も多いと思いますが、吉村氏の場合はマスコミ等への露出も多いせいか、「聞いている人にアピールしながら話す」技に長けていると思いました。

 児童生徒30数名、それに教師ら学校関係者と保護者たちという大人が50名近くがお話を聞いていたと思うのですが、聞いている最中に「え?今、私の方を見て私のために話してくれた?」と思うことが少なくとも3回はありました。
 聞いている人、一人一人をしっかり意識しながらお話されていたから・・・だと私には思えたのですが、他の人はどのように感じたのでしょう?

 途中「・・・・え??(-_-;)」と思いたくなるようなダジャレをさらりと口にしてみたり、というのも一応聴衆を退屈させないように、という配慮だったのでしょう。たぶん。


 この日6歳になった草太もそれなりにお話を聞いていたようで、最後に学校の先生が児童・生徒に
「今日のお話、楽しかった人・・・!」と聞いた場面では「は〜〜い!」と元気に手を挙げていました。

 そして、吉村氏が日本人学校の児童生徒たちのために色紙にサインをして下さった後に、

 過去に培った私の中のミーハー魂が・・・
「今日、この子の誕生日なので記念に一枚お願いします!」と。

 たぶん「で、このおじさん、誰だっけ?」と思いながらも笑顔で写真に収まった草太。大きくなってからこの写真を見せたらそれなりに驚くだろうなあ・・・。

 
 
 家に帰ってきてからは、前日からみどりが草太のために作っておいたケーキを美味しくいただきました。
お友だちのお母さんから教えてもらった「ビスケット・ケーキ」

なんとクリームで文字まで書いてある大作!
よくよく考えると私が手伝ったのは電動ミキサーでクリームを作るところだけだったので、けっこうやるな、という感じです。


 ママ(私)からのプレゼントは、少し前に近所のお店で「これ、ほしい!!」と叫んでいた『ANGRY BIRD』のトレーナー。

 そして、パパからのプレゼントは

 Wiiリモコンと『スーパーマリオブラザーズ』のソフト。

 草太とってはこれが一番嬉しかったご様子ですが、50L.E.(50エジプト・ポンド≒約700円)という安さのこのソフトは「コピー物」だったらしく、我が家のハードでは読み込むことができず・・。
 結局、高価なオリジナルを購入しなければならないとかで、念願のゲームを楽しむにはまだあと数日待たねば、です。

 
 こんなふうに、母子3人で仲良くケーキを食べたりしながら過ごしていた20日の夕刻。
パパは実は、職場で催涙ガスと戦っていました。
普段なら「これから帰ります」というSMSが入るはずのケイタイ電話に
「下手したら泊まりかも。ちょっとガスが濃すぎて出られない。中は安全なのでご心配なく」とのメッセージ。

 なんとか9:30pm過ぎには帰宅できましたが、1年前もこの日辺りからなーんかやばくなってきたんだよねー・・・という記憶がはっきりと残っていて、なんとなくいや〜〜〜な予感。

 それでも、翌日も出勤時間を遅らせはしたものの「自宅待機」までにはならず、子どもたちの学校も平常通りだったので、それほど大きな事にはならないだろうと思っていたのですが。


 ここにきて、今日の「日本人学校 学習発表会 延期」


 11月20日。
来年はここにはいないはず。
どこで何をしているのかな、とふと思ってしまいます。