やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

よいこの春休み@カイロ その3 パパの職場に行く

 
 あれれ?
 まだ「春休み」の話題?

 そうなんです。
 4月、みどりが通う日本人学校で新年度が始まると同時に、今度は草太が通っているCBS(Cairo British School)でTerm Break(2週間の学期休み)がスタート。3月半ばに日本人学校の春休みが始まってから、「二人のうちどちらかが家にいる」という状態が1ヶ月以上続いていた我が家ですが(あ、いやその間にガーナ旅行などもしてますが^^;)昨日からようやく草太のCBSもスタートし、やっと落ち着いて(?)長かった“春休み”について振り返る時間が持てたわけで・・・ って、単に書くつもりの内容をため込んでいただけです、はい。


 さて、4月5日(木)。 
 この日でTerm3が終わるCBS。Term最終日はやはり早めに終了。通常より2時間早く終わるとの連絡が入っていたので、12時過ぎにみどりと一緒に草太を迎えに行き、ランチをしてから3人でパパの職場に遊びに行ってみよう、と計画を立てていました。
 
  “遊びに”と言っても、パパに遊んでもらうわけではありません。
パパの職場【国際交流基金カイロ日本文化センター:The Japan Foundation Cairo Office】http://www.jfcairo.org/home.php)には誰でも自由に利用できる「図書館」があり、その図書館が昨年の秋に大きく改装されて非常に開放的な雰囲気になった・・・と聞いてはいたのですが、我が家から地下鉄で2駅という近さにありながらまだ足を運んだことがなかったのです。

 「バリケードも撤去されて歩きやすくなってるから来てみたら?」
 と、ちょっと前に夫が言っていたこともあり、「それじゃあ、行ってみようか」となったわけです。

 
 その日はCBSがあるモハンディシーン(という地域)から行くことになったので、地下鉄ではなくタクシーを利用。
ランチをしてからタハリール広場方面へ向かいました。

 そう。夫の職場は、去年の革命ですっかり聖地と化してしまった(!?)タハリール広場の直ぐ側。
 ちょっと広場での騒ぎが大きくなると出勤できなくなり“自宅待機”を余儀なくされるという運命を背負っている場所なのです。

※赤い文字で書かれているところが【国際交流基金カイロ日本文化センター】。その少し上にAL-TAHARIR SQ.とあるのが「タハリール広場」です。

 昼過ぎの渋滞の時間にかかってしまったため、タクシーは街の外側を大きく迂回。なんとか車が流れている道を選びながら進み、もう少しで目的地・・・となったところで

あれ?なぜここで左折?

 なんとオフィスのすぐ側が通行止めになっていて、タクシーは、しゅるるる・・・・・と横道へ。その先はなんだかひどく無駄な大回りをしないとオフィス前には辿り着けそうにないことが分かり、見覚えがあるような無いような場所でとりあえずタクシーを降りました。

 そして、たぶんこっちの方向だろう、という方へ進んでいくと、

あら、鉄条網。

 通行止め?

 と思ったら、みなさん画面左側に見える隙間を通って普通に歩いていきます。
近くに警備の人らしき姿もありましたが、別に目を光らせている様子もなく。
みんなのあとについて私たちがそこを通ろうとしても、何を言われるわけでもなく。

 「バリケードは撤去されたけど、鉄条網はまだ残っているのね・・・。」などと思いながら、装甲車(いや警察の警備の車か?)がズラリと並んでいる道を、目的地と思われる方面に歩くこと数分。
 見覚えのある建物「Cairo Center Building」が見えてきました。
 
 さっそく5階へ。

 こちらが図書館の入口 

来訪者を最初に迎えてくれるのは、ガンダム・・・じゃなくて『マジンガーZ』 (誰の趣味?^^)
 


入り口を過ぎてまっすぐ進むと畳のスペース。いいですねー。こういうのはくつろげて。
 


もちろんマンガは山ほど。
 
 今や「マンガ」や「アニメ」なくして日本語教育は語れない時代になってきていますからね・・・。
身近に日本語を話す外国人のお友達がいらっしゃる人は、その人に学習動機を聞いてみてください。
特に若い人の場合9割近くは「マンガ」や「アニメ」、あるいは「ゲーム」と答えることでしょう。


文庫本ももちろんありましたが、ざっと見て、この写真に写っている書棚3段分くらいだったかと。
 


その一方で、ものすごい気合いが感じられたのがこちらの手塚治虫コーナー どなたか熱烈なファンが関係者の中にいらっしゃるのかも。
ざっと数えただけでも300冊は軽く超えていました。
 


もちろん勉強ができるようなスペースもありましたが、昨年の改修後リニューアル・オープンしたこちらの図書館は“静寂の中で勉強ができる場所”というよりは、“日本を学ぶ人や日本について知りたい人が情報を求めてやってくる場所”“日本人と日本に興味のあるエジプト人(あるいは外国人日本語学習者)が交流できる場所”としての位置づけになっていると聞いています。
 
日本の雑誌や音楽のCD、ドラマのDVDなどもあり、また最新のゲームや音楽情報が視聴できるコーナーもあるとか。
メンバー登録をすればそれらを借りることもできるそうで・・・(http://jfcairo.org/libraryinfo.html#member
 

今回、みどりと草太が借りた本はこちら

 ということで、パパが仕事をしている姿を見ることは出来ませんでしたが(基本的にはこの図書館の横にある別の部屋で仕事をしています)ちょっとだけパパの顔もみることができたので、良しとしましょう。


 さて、帰りは地下鉄で。

 オフィスの建物を出て、さっき来た方向とは反対方向(地下鉄の駅の方面)へ向かおうとすると・・・

 無理やり押しのけたような鉄条網がここにも。
 

 
 大通りの「カスル・アル・アイニ通り」も、こんな感じ。
車なんか全く通れません。
ちょっと物々しいけど、でもみんな平然と歩いています。

そして。

これが、毎朝ここを通って通勤しているはずの夫が言っていた
 「バリケードも撤去されて歩きやすくなった」道???

 
 タハリール広場にある地下鉄サダト駅を目指す人は、当たり前のようにこの大きな石たちを乗り越えて向こう側へ消えていきます。
昨年11月、革命第2弾か?という勢いで私たちをひやりとさせてくれた大きなデモ。
あの時に積まれた石たちのはずなのですが・・・
だいたい、これ、いったいどこから持ってきたんでしょう?
さすが、ピラミッドを作った国に住んでいらっしゃるだけのことはある・・・。


少し進むと、
まだ撤去されていない大きなバリケードがありました。
11月に荒れに荒れた「ムハンマド・マハムード通り」を閉鎖する石の壁です。
 
 芸術的な絵が書かれていて、思わず記念撮影。


 
 でも、こんなところで記念撮影するのは別に外国人ばかりではないのです。
地元の人達にとっても、ここは“あの”タハリール広場“あの”ムハンマド・マハムード通り

 ある種の高揚感をもって写真を撮りたくなってしまう場所なのでしょう。
 

 タハリール広場には、この時にもちらほらとテントが見られました。


 この日は4月5日。5月後半に近づいた大統領選挙の立候補受け付けが行われている最中でした。
中でも、一部で「有力候補」と言われていた候補者が母親の国籍の問題で立候補の資格無しなどと言われ、それを不服とする支援者(もちろん本人も)がじわりじわりと大きな動きを展開しようとしている時期でもありました。
 結局、最近になってこの候補者を含む10人がいろいろな理由で「立候補者としての資格無し」と判断され、これまたあちこちでざわつき始めています。

 先週の金曜日にも、ここタハリール広場には驚くほどの人が集まったようです。

Thousands rallied in Tahrir, calling on the military to hand over power to civilians [Reuters]

 たぶん、これから毎週金曜日の午後(集団礼拝の後)は、みんながこうしてここ(タハリール広場)に集まることになるのでしょう。
 

 私たちも全くいいタイミングで「パパの職場訪問」をしたものです。
 もう少し遅い時期に・・・などと思っていたら、結局この大統領選挙が終わるまでは行けなくなってしまったと思いますし、正直、選挙後もどの程度の混乱があるのか予想がつきません。

 いずれにしても、またしばらくはむやみにはタハリール広場周辺には行かないほうがいいかも。

 と言っているそばで、夫は毎日あそこを通って、あの石を乗り越えて、あの鉄条網の間をてくてく歩いて通勤しているのでした。


 静かなタハリール広場(2012年4月5日午後4時過ぎ)