やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

Rock of Asia コンサート @The Japan Foundation Cairo Office   そして、その後・・・

 
 「あれ?まだ一週間ちょっとしか経ってないの?」という感じなのですが(なんだか毎日いろんなことがてんこ盛りで、ほんの10日前のことがけっこう前のことに感じたりもする今日この頃・・・)、先週の土曜日(11月10日)に夫の職場、国際交流基金カイロ日本文化センター(公式サイト:http://www.jfcairo.org/home.php、公式ブログ:http://jfcairo.wordpress.com/で行われたRock of Asiaという日本のロック(?)グループのミニ・コンサートに行って来ました。尺八や和太鼓などの和の楽器と、ギター・バイオリンなどの洋の楽器のコラボが楽しめそうな、かなり私好みのバンドらしいということで、子どもたちを連れていそいそと出かけた休日の午後。

 この数日前には日本大使館の広報文化センターやカイロオペラハウスの小ホールなどでも彼らのコンサートが開かれており、この日がカイロでの最後の公演となったようでした。

 小さな会場(普段は同センターが運営している日本語クラスの教室として使用されている部屋)に入ると、そこにはそれぞれの楽器を携えて立つ【Rock of Asia】のメンバーが。 正直「日本のミュージシャン参上!」というようなオーラなどは感じられず、あまりにも自然体で、そのへんの路地からふらりと現れたような、たぶんここまでは地下鉄で来たんだろうな・・・と思わせられるような、そんな雰囲気の男性たち5人がそこにいました。

 会場の準備など今回のこのコンサートのためにいろいろ動いてくれていた「JEN YOUTH」(Japan Egypt Network for Youth:日本・エジプト相互の文化的な交流会を主催しているボランティアグループ)のメンバーとはもうすっかり親しくなったようすで、終始和やかな雰囲気の中でコンサートが進んでいたのが印象的でした。

 「ソーラン節」「月の砂漠」「島唄」など、耳に馴染んだ曲を客席からのリクエストに応えながらどんどんと演奏していく彼ら。エジプト人の若者のために最近のアニメソングも演奏していました(何の曲だったかは忘れましたが)。 ゲームの「スーパーマリオ」のテーマソングが何の脈絡もなく流れてきた時に真っ先に反応し、「あ!これ!!」と私の方を見て目を輝かせていたのは我が息子。しかしサビの部分になってその曲がなんであるか分かるまで、隣に座っている草太の目の輝きと興奮ぶりに全く「???」の私でした。

 普通のTシャツとジーンズでさりげな〜〜くなんでも演奏してしまうRock of Asiaの皆さん


 演奏の合い間には、太鼓を叩かせてくれたり
 太鼓を叩く草太

 尺八を吹かせてくれたり・・・というコーナーもあり、
 尺八を吹いてみる草太
 尺八を吹いてみるみどり

 最後には「JEN YOUTH」の皆さんや、その仲間たち(?)もみんな前に出て大合唱。

あっという間の1時間でした。(もう少し長かったかな?)


 その後、ちょっとしたお茶の時間がありメンバーの皆さんと少しお話することもできました。

 一見、バイオリニストには見えない多治見さん(失礼!)は、4歳の頃からバイオリンを弾いているそうなのですが、でも本当は『セロ弾きのゴーシュ』の絵本を見てどうしてもセロが弾きたくて親に懇願したけれど、「どうせすぐやめてしまうんだろうから。」ということで、とりあえず子供サイズのあるバイオリンをあてがわれ・・・でもそれがきっかけで結局今日まで・・・という話が印象的でした。
 
 リーダーのニッキー・マツモトさんは、なんとなく昔はバックパッカーだったのかなぁ?と思わせる雰囲気を持った方でしたが(あくまでも個人的な勝手な印象です)、実はいろ〜んなものを背負ってここまでやってきた人なんだ、ということをあとで知り・・・。


 
  子どもたち2人は、このミニ・コンサートを聞きに来たたくさんのエジプト人(ほとんどが日本語学習者)のお兄さんお姉さんたちに毎度のごとく色々かまってもらって遊んでもらって・・・

 気がつくと外はもう薄暗くなっていました。

 これから家に帰った夕飯の準備、というのは非常に面倒くさかったのでそのままどこかで晩ご飯を食べて帰ろう・・・ということで入ったのがタハリール広場に面した『ハーディーズ』(マックやロッテリアのようなファーストフード店ですが、これって日本にもありましたっけ??)


 会場となったセンターからハーディーズまで歩いて行く途中、風にはためく大きな旗と、その周りに群がる大勢の人が見えました。これから行こうとしているハーディーズのまさに目の前。殺気立った雰囲気はないけれど、なぜそんなに人が集まっている? という感じ。

 近づいてみると、大きな2本の旗にはそれぞれ人の顔のようなものが書かれていました。
そして、その横の壁にも誰かの似顔絵や何やらメッセージらしいものを描いている人たちが。


 
 旗に書かれている顔には見覚えがありました。
 確か、去年の今ごろ・・・エジプト(カイロ中心?)で『革命第2章』か!?と思えるような激しいデモが再び起こったのですが、〜〜去年の11月のブログにこんなことを書いていました:ホントに【革命第2章】!??〜〜http://bit.ly/T66QyE
その時に命を落とした人たちです。

「そうか・・・ちょうど今ごろが一周忌なんだ。遺族にとってはどんな一年だったんだろうね。」と夫。



 外務省の渡航情報(危険情報)も引き下げられ、観光客が戻りつつあるエジプト。
 休日(金曜日)も、最近はデモの心配などせず出かけられるようになってきているカイロでの日常。
 この日のミニ・コンサートのように、海外との文化芸術面での交流も復活してきているこの国ですが、まだまだあの頃の記憶は街のあちこちと、そして人々の心に深く刻まれているんだよなー・・・と思った瞬間でした。




<おまけ>

【Rock of Asia】
 Nikki Matsumoto's Rock of Asia 軌跡(HOME) http://www.rockofasia.com/j_index.html
 自身が1年以上も前に書いた曲『Ocean』が収録されているアルバムの発売日が2011年3月11日。
 手元に届いたその出来立てほやほやのCDを聞いている最中に起こった巨大地震。
 改めて『Ocean』の歌詞を読んでみて愕然とする自分・・・。
 高校時代の苦しい経験。

 そうかー・・・こういうものを背負っていた人だったんだ・・・と今になって知りました。