やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

よいこの春休み@カイロ その5 文化・芸術に触れる<1>

 Swan Lake(白鳥の湖)

 いい加減、
 「いつまで続く春休みの話題?」という感じですが(日本はすでにGWらしいし)、最後にひとつ。(あ・・・2つです。すみません)


見てきました。

カイロのオペラハウスで、バレエの王道『白鳥の湖』を。


 で、まずバレエの話の前にちょっとこのオペラハウスの話題を。

 このカイロ・オペラハウスは1988年3月(今から24年前!)に日本政府の無償資金協力(援助相手国に返済の義務がない援助の形)で建てられたもので、設計及び建築に携わったのは日本人。
 完成した当時しばらくは、『タクシーの運転手でもこのオペラハウスが日本人の援助によって建てられたことを知っていた』そうなのですが・・・
 
 NIKKEN SEKKEI Ltd.(http://bit.ly/JE1Mwx)より

 私はつい最近までその事実を知らず、当時の建設事業→公式オープンまでに関わった方に非常に悲しい思いをさせてしまいました。


 ということで、みなさん!
 このなんとも素敵なデザインのカイロオペラハウスには、「日本」そして「日本人」が大きく関わっているそうですよーー!! 

 そういえば、「カイロ日本人学校の『学習発表会』の会場にオペラハウスの小ホール(あそこって「野外ホール」でしたっけ?)を使わせてもらっているのも、そういう経緯(日本人が建設に携わった)と関係あるのかもね。」と、夫が言っていました。

※「関係あるかも」じゃなくて、“日本の援助で建てられたから”だそうです。(5月2日追記)
 

※カイロ・オペラハウスについて、詳しくはこちら・・・
  ・NIKKEN SEKKEI:http://bit.ly/JE1Mwx
  ・egipt(エジプト観光公式サイト):http://bit.ly/JS0BP7
  ・公式ホームページ:http://www.cairoopera.org/





 話はバレエに戻ります。


 このカイロ・オペラハウスでは日頃から魅力的なコンサートや公演が行われているのですが、ほとんどが夜の時間帯。午後8時開場、8時半開演・・・・子どもの時間ではありません。

 今回のこの『白鳥の湖』も同じような時間帯でしたが、時は春休み。こういうチャンスを逃す手はない! ということで、
 4月5日(木)、いつもどおりの時間に夕飯を済ませ、パパの帰りを待ってからみどりと二人いそいそと出かけて行きました。

 そうです。 
 パパと草太はお留守番。 オペラハウスに入場できるのは7歳(8歳だったかな?)以上というキビシイ決まりがあるので、実年齢5歳、見た目もっと若め(^^;)の草太には涙をのんでいただくしかないのです。というか、別に草太はバレエなどには興味ないとは思うんですけどね。 ただ、夜にママとみどリだけがお出かけをし、自分はパパとお留守番。ふたりが帰ってくる前に寝る時間になる・・・というのが、彼にとっては大きな試練だったかと。

 
 さて、私たちにとって2度目のカイロ・オペラハウス大ホール。(1度目は2月25日、日本人指揮者吉田裕史氏とピアニスト末永匡氏を迎えてのコンサートでした)
 
 今日は、当たり前ですが前方ステージが「バレエ仕様」になっており、客席最前列から見下ろす位置にオーケストラの皆さんが沈み込むような形でスタンバっています。
 その構図が非常に新鮮だったらしく、みどりは開演時間直前まで最前列まで行ったり来たり。下をのぞいては「バイオリンはこっち側にいた」「あっちの奥にハープがあった!」とすでにかなり楽しんでいる様子。

 

 開演予定時間を少し過ぎて、いよいよバレエ『白鳥の湖』が始まりました。


 そして、スタートしてまもなく、急に不安になりました。

 そういえば、バレエってセリフがないんだった・・・。

 事前にみどりに、少しでも物語のあらすじを教えておいてあげればよかった。
 初めて見るバレエ・・・体の動きや表情のみで全てを表現するという高度な芸術を前に、事前知識が全くなし、というのでは途中で退屈してしまうのではなかろうか・・・?

 
 そう思いながら第1幕を見ていた自分・・・

 あれ? 
 これって何の場面??

 このピエロみたいな人は、誰??

 そう。
 私自身も実は『白鳥の湖』のストーリーをしっかり把握してはいないことに、その時気づいたのです。


 あまりにも有名な『白鳥の湖』というタイトルに騙された!
 
 いや、あまりにも有名なあの曲・・・♪白鳥の湖♪ を知っているばっかりに、物語まですっかり知っている気になっていたようだ・・・。「せめてみどりにあらすじを・・・」なんて言ってる場合じゃない! そうだ、確かさっきもらったパンフレットにストーリーの流れくらいは書かれているはず・・・


 あわてて1幕終了後にパンフレットに目を走らせましたが、短いインターバル。細かい文字で書かれた英文。


 あっという間に2幕が始まってしまいました。

 みどりー、ごめんねー。
 お互い最後までがんばって見ようね! 
 でも、寝ちゃうかな? 
 
 頼りにならない母の横にちんまり座り、それでも真剣に舞台を見つめるみどり。


 ストーリーはどんどん進みます。

 
 ところが、舞台が進むにつれ“予備知識無し”で見ていたはずの私の頭に、なんだか無理なく次の場面が浮かんでくるようになっているではありませんか。

 
 「あ、このへんで“コクチョウ”が出てくるんだったんじゃ・・・?」
 「で、コクチョウは、白鳥(オデット)ととっても容姿は似ているけど、もっとダイナミックで挑戦的な踊りをして・・・・」


  私の頭の中には妙に頭が小さく目が大きくて、足がなが〜〜〜〜いキャラクターが浮かんでは消え。
  
  
 はるか昔、貪るように読んでいた少女漫画。
 その中の・・・たぶん有吉京子の『SWAN(スワン)白鳥』を中心とした数々のバレエ漫画から得た知識が、意識の底から目を覚まし、ふと気づくと私をバレエ『白鳥の湖』へといざなってくれているではありませんか!
 〓 バレエ漫画『SWAN(スワン)白鳥』の世界http://www.balletballet.net/swan/


 そのうち、あるメロディが頭に浮かんできて・・・

 「あれ?そういえば『白鳥の湖』って、“4羽のの白鳥”の踊りってのが、あったよね? 4人並んで、手を交差してつないで・・・で、その時流れる音楽がこれで。」


 なぜ、そんなことがわかる・・・?

 
 さっきのは少女漫画から。
 今度のは・・・う〜〜〜〜〜ん、ドリフかぁ?

 お写真は【はたらく名刺のブログ】http://bit.ly/IlMocw より拝借しました。
いや、この写真は“4羽の白鳥”じゃないですよねー。

でも、ありませんでしたっけ?
『8時だよ!全員集合!』の中に、4羽の白鳥のコント。



 いずれにしても、そのうちほどなく予想通りに(?)きちんと横並びで手を交差させたまま踊る“4羽の白鳥”が登場!

 うわっ! 来た! これこれ、この音楽、この踊り!!

 自然と高鳴る胸。 
 初めてのはずなのに、どこか懐かしいものに出会ったような不思議な感覚。 
 
 その頃には物語の結末までしっかり目に浮かぶようになってきており・・。

 その情報ソースは明らかではないものの、子どもの頃、無意識に目にしていたものの記憶の鮮明さと奥の深さに、自分でもいたく感動したオペラハウスでの夜でした。


 あ、「結末が目に浮かんだ」と書きましたが、この『白鳥の湖』、原作は王子もオデットもともに死んでしまうという悲劇のストーリーで、その後ハッピーエンドのものも新たに作られてソ連(っていうか今のロシアですね)を中心に広まったそうです。 (Wikipedia白鳥の湖 http://bit.ly/KlIbVHより)
 となると、私の頭に浮かんだハッピーエンドのストーリーはいったいどこからの影響だったのでしょう?
 ちなみに、私たちが今回見たものはハッピーエンドでした。

  白鳥たちにかけられていた魔法が解け、彼女たちの羽の部分が少しずつ「腕」に変わっていく・・・それを大きな喜びで受け入れる・・・そのようすがバレリーナたちの表情と体の動きではっきりわかった時の感動は非常に大きかったです。


  言葉なくして、あれだけのストーリーを語る・・・バレエって本当に奥が深いですね。


  さて、本格的なバレエ鑑賞初体験のみどリ
 いつもならとっくに夢の世界・・・という時間帯まで長時間続いた『白鳥の湖』でしたが、「全然眠くならなかったよ。」と(ホントかどうかはわかりませんが)終了後に一言。

 ただ、やはり予備知識がなかったために、“最後に悪魔と王子が戦って王子が勝ったからオデットたちみんなが人間に戻ることができた”という最後のシーンについては

 「え?そうだったの??」と、素直に驚いておりました。

 
 まぁ、ストーリーが分からなくとも、しなやかなで優雅な体の動きを見ているだけで十分面白かった・・・ということなのでしょう。ドラマティックな音楽も常に流れていたわけですし。

 
 でも、しつこいようですが、「セリフがない」「人の声が全く聞こえない」というバレエの特殊性(?)に改めて気付かされ、その深い芸術性に驚かされたカイロでのとある春休みの一夜でした。




<追記>
 実は、この日の公演には日本人バレリーナの落合リザさんも第1幕に思いっきりソロで出演しておりました。この落合リザさん、なんと5年前、18歳の時にカイロ国立バレエ団に入団!21歳の時に同バレエ団でアジア人としては初めての主役を演じた、という大注目のバレリーナさん。みどりのお友達の中にも、このリザ先生に直接バレエを習っている子が数人います。
 ハノイではバレエをちょっとかじっていたみどり。でも今は「ピアノがあるから・・・」と、あちこち手は広げず堅実な姿勢を見せており・・・。(母はちょっと見習ったほうがいいかも^^;)
 
 この落合リザさんの、この日、私たちが『白鳥の湖』を楽しませていただいた4月5日のブログを見つけました。
ご興味のある方はどうぞ。
【カイロ国立バレエ団 Liza Ochiai 白鳥になりたい】http://amba.to/Jk9mdU