やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

【いる】と【ある】

 《本日11月20日は息子、草太の5回目の誕生日ですが・・・書きかけていたみどり関連の話題をひとつ。またちょっとタハリール広場がきな臭くなってきてしまい、久々に夫(職場がタハリール広場の目と鼻の先)が自宅待機になっている2011年11月20日です》



 先週のある日、カイロ日本人学校に通う娘(みどり・小学1年生)が持ち帰った『えがおがいちばん』(※担任の先生が入学以来毎日(!!)保護者向けに書いてくださっている貴重な学級通信)に、こんなことが書かれていました。


 【国語の「ことばであそぼう」の学習の中で、「いる」「ある」の違いについてみんなで考えました。】


 ここで、ちょっと「新鮮な驚き」。


【いる】と【ある】

 例えば、「女の子がいる」「車がある」、「カバがいる」「カバンがある」、「池の中に魚がいる」「冷蔵庫の中に魚がある」・・・


 日本語を「外国語」として学ぶ場合には比較的早い段階で教えられるようなこの項目。

 「日本語の環境」で6年も7年も生きてきている小学生にとっては、もうすでに日頃から普通に使い分けができているはずです。
 それを敢えて1年生の後半に差し掛かったこの時期に学ぶということは、日頃自分たちが使っている言葉を客観的にとらえること〜何気なく使っている言葉を「確認」し、その言語使用について「再認識」すること〜を目的としている、ということなのかもしれません。



 で、ちょっとみどりに聞いてみました。

 私 「へぇー、【ある】と【いる】とかって、やったんだ。でもみんなちゃんとわかってたでしょ?」
 み 「うん。」
 私 「車が・・・」
 み 「ある」
 私 「犬が・・・」
 み 「いる」
 私 (先月末の「日本人会秋祭り」以来我が家の仲間に加わった金魚を指さし)「魚が・・・」
 み 「いる」
 私 「冷凍庫に魚が・・・」
 み 「ある」
 私 「オモシロイよね。同じ【魚】なのに。」
 み 「だって生きてるもん。生きてるのは【いる】だから・・・あ、でも花は違うんだよね。花とか木は自分で動かないから。」


 ま、やはりこのへんはしっかり理解できるようで・・・。


 となると、やはり聞いてみたくなるのが親心。

私「じゃ、【うさぎ】は?」
 ※このときの【うさぎ】とは、彼女が生まれた時から一緒にいる、この【しろいうさぎ】(本人の命名)のこと。
直径20cm弱の丸くて小さいウサギです。

全くひるみもせず、あまりにも普通に

「【いる】。」 と答えるみどり。

ま、そりゃそうだろうな・・・と思う母。

でも、一応聞いてみました。
「え?でも、だって・・・」と私が言いかけるのと、ほぼ同時に


「だって、しゃべるもん。」


「お母さんとか草太には聞こえないかもしれないけど、あたしにはちゃんと聞こえるから。ホントにしゃべるんだよ。」


このまっすぐな瞳。

そして、さっき「生きてるのは【いる】だから」と答えたのと全く同じ口調。
いや、もしかしたら、あの時よりも自信に満ちた口調??


う〜〜〜〜ん。
どこまで本気なのか・・・・

いや、わざと言っているのか??


とても、そこまでは追求する気になれず、
「小学1年生」って意外と奥が深い。

と、心のなかでつぶやきつつ


「そうだよね、【うさぎ】は【いる】だよね。」



 でも、考えてみたら確かにそうなんです。
 【うさぎ】だけではなく、
 【ピンクのキティちゃん】(のぬいぐるみ)にも
 【赤くまちゃん】にも
 【パオちゃん】にも
 そして
 【タウー】(私のオランウータンのぬいぐるみ)にも、
 私たちは、今までほとんど
 「ある」なんて使ったことがないかもしれません。
 

 大切なぬいぐるみたちには
  「いる」
  「いない」
  「連れて行く」
  「連れて来る」


こういうカテゴリーって、どうやって学ぶんでしょう?

【生きておらず、自分で動くことができなくとも、擬人化され、生きているものと同等レベルとして考えられるもの(例えば人形やぬいぐるみなど)には普通「いる」が使用される】


 誰が教えたか・・・というと、これは明らかに母親を中心とした親や周りの大人たち。
子どもは間違いなく、この「子どもを世話する周りの大人たち」から学んでいるはず。



 とすると、別の形で言葉を学んだ人たちは・・・?

 大人になってから日本語を学び、例えば日本人と結婚して子どもが生まれ母となり、カタコトの日本語を混じえながら子育てをしているお母さんは

「ホラ、ねんねの時間よ。え? うさぎちゃん? ここにあるよ。はい、だっこしてねんね、ね。」

って、言うのかなあ?
それとも、自然と「うさぎちゃん? ここにいるよ。」になるのかなあ?


 そんなことを、ぼんやりと考えてしまったのでした。


 別にどっちでもいいんですけどね。
 意味(心)は十分通じていますし。

 

 ただ、今後、アシモ君みたいのが一般家庭でも普及し始めたら
子どもは間違いなく

【私の家には「アシモ」がいます。】と作文に書くだろうし・・・

ん??
ロボットは昔から【いる】、でしたっけ?
まぁ「アトム」や「ドラえもん」は明らかに「人」としての扱いですからね。


なんだか頭が混乱してきました。


小学1年生も奥が深いけれど
日本語も本当に奥が深い・・・・・。




 ってか、こんなこと書いてる時間があったらケニア旅行のことでもまとめてみろよ・・・
と、自分で突っ込んでみました。








<おまけ:【いる】と【ある】を扱っている単元の1ページ>
 こういう言葉遊びは面白そう。