やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

言葉によって変わる印象〜今日覚えた単語【ごきぶり】〜

 
 今朝、子どもたちのお弁当を作るべく5:30ごろ台所に行ったら・・・

出会ってしまいました。小さなゴキブリ君に。

 本当に小指の先ほどの小さいゴキちゃんだったのですが、それでもゴキブリはゴキブリ。
まずは退治せねば、と思ったら、あっという間に壁にかけてある額の後ろに隠れるゴキ。
それでもやっぱり退治せねばとその額を睨んでいたのに、ほんのちょっと目を離した隙にどうやらほかの額の裏に移動するという小技を使われたらしく、その後なぜか不覚にも見失ってしまいました。


 まあ、6時に子どもを起こすまでにお弁当を作って朝ごはんの準備をしなくてはならない、というゴキとじっくり対戦するにはあまりにも不利な時間帯であった、と言わざるをえないのも事実ですが、それでも負けは負け。

 今でもあのゴキが、あの台所の何処かに潜んでいるのかと思うと本当にしょんぼりなのですが、あとは今、掃除に来てくれているお手伝いさんのホダに任せるしかない・・・と、さっき彼女が出勤してきた時に今朝のゴキとの遭遇について話しました。

 と言っても、彼女との会話はカタコトアラビア語のみなので、なにか新しいことを話す際にはそれなりの事前準備が必要です。

 【今朝】・・・は、ムズカシイから(というか個人的に未習なので)自信を持って言える【今日】でOK。
 【いた・見た】・・・これもOK
 【もし、またいたら】・・・これも、なんとか言えそう。
 【このスプレーでシューッ!して】・・・ここは実物を持ってきてゼスチャーで問題なし。


 さて、本日の新出単語は【ごきぶり】
 こういうインパクトの強いものの名前は意外と覚えやすいものです。
 それを「使う機会」があった時、その時は既にいろいろな意味で気持ちが高揚していますから・・・。

 『指さし会話帳』で見ると【ごきぶり】は【ソルサール】
別の『日本語アラビア語辞書』を見ても同じ綴りが書いてあります。
【ソルサール】

・・・・ う〜〜〜〜ん。
なんか「爽やか」じゃないですか?

 アラビア語の「S」には軽い音と思い音があり(←あまりにも大雑把な説明)、この【ソルサール】の「S」は2つともどうやら重いほうを使っているようですが、それでもうっかり「そよ風」かなんかをイメージしてしまいそうな「軽さ」と「爽快さ」を秘めた音に私には感じられました。

 が、とりあえずホダを台所に連れて行って、
「今日、ソルサールがいた。」
「またいたら、これ、シュー!!」。


 明らかに“不快なもの”という表情で「え?ソルサール?」と反応してくれたホダを見て、
やっと 「ふーん、やっぱ【ソルサール】でいいんだぁ・・・」とちょっと納得できた私でした。
 確かにカサカサ・・・サササー・・・というあの身のこなしを連想する音とも言えそうですしね。


 さて、この【ごきぶり】
日本語だと、ホント苦々しい、というか憎々しい、というかそういう響きを感じます。もちろん、あくまでも個人の感覚ですが、それでも濁音がつく音は一般的に「重い」とか「濁っている」とかのイメージを伴う場合が多いですから少なくとも「清潔さ」や「可愛らしさ」を連想する音ではないと言えると思います。


 じゃ、英語は?
【コックローチ】、でしたっけ?
 そういえば、初めてゴキブリを英語で【cockroach】ということを知ったときも、非常に違和感があったのを覚えています。
 確か、“英語を話す人たちの間ではニワトリの鳴き声は【クックー・ドゥードゥルドゥ】と認識されている”ということを知った時期と重なっていたからだと思うのですが、「なんかニワトリみたいじゃん」と思った記憶が。
あと「時計(clock)みたい」とも思いました。
とにかく、あの風貌(・・・というか当時は北海道在住者だったので生のゴキブリはほとんど見たことがなかったのですが)は想像できないなあ・・・と思ったのを覚えています。



 そして、次に出会ったのがマレイシア【ごきぶり】
  これもある日、一発で覚えたのを覚えています。
しかし、その音は・・・【リパス】(lipas)

 これまた全然【ごきぶり】っぽくない。
日本のごきぶりよりももっと大きくて脂ぎっていて、そのくせ大胆な動きをするくせに、なんだか軽やかな響き。可愛らしい感じさえもします(音だけを聞いていると)。 意外性も加わって逆に覚えやすかった単語と言えるかもしれません。

 
  次はインドネシア【ごきぶり】
 こちらはなんとも「憎たらしいもの」って感じがしますよ・・・
【ケチョァ/クチョァ】(kecoa:kecoak/kecuakという綴りもちらほら)
 いかがでしょうか? 
 んん・・・でも今、改めて音を聞くとちょっと「可愛らしい感じ」もするかも。愛嬌があるというか。



  モンゴル語【ごきぶり】は・・・・・
覚えていない。いなかったっけ?いや、そんなことはないと思うんだけど。
と思ってちょっと調べたら【ジョーム】
(そうだ、そうだ、そうだった・・・と見れば思い出すレベル)
これも濁った感じがあり、かつモジャモジャ動く足を連想させるので【ごきぶり】っぽいかも。



  ベトナム語でもやっぱり思い出せませんので、辞書をチェック。
【コン・ザン】(Con gian)
(あぁ!そうだ、そうだった・・・と見たらやっと思い出すレベル。ちなみにザンの部分は尻上がりに発音するらしいです。これまたあまりにも大雑把な説明ですが。)
この【コン・ザン】も、あんまりきれいな響きじゃないので【ごきぶり】を表す語としては合格ラインかも。(と全く覚えていなかったくせに言ってみたりする・・・)


 ということで、今朝の出来事からの思いつきで、各国の「ごきぶり事情」(違うか・・)をたらたらと書いてきましたが・・・
さきほどホダは約3時間の仕事を終えて、帰っていきました。
台所、その他の場所で【ソルサール】は見かけなかったそうです。

 う〜〜〜ん。

 もう出てきてほしくないけど、ずっと潜んでいられるのももっとイヤ。
 ひとつの単語を覚えるのにこんな精神的苦痛を味わうのもとってもイヤ。

 でも、おかげさまで(?)【ソルサール】は完璧に覚えました!
 

 ※尚、ご存じの通りマレイシア語とインドネシア語は文法的にもよく似ていて、全く同じ単語を使う場合もとても多いです。念のため手元の辞書やオンラインの《Google翻訳》http://bit.ly/iTizeLで調べてみたところ、マレイシア語としても【Kecoa】が、インドネシア語としても【Lipas】が確認できました。
 


<おまけ:日本語の【ごきぶり】の語源>
 驚いたことに100年以上前の「誤記(ごき)」から転じた名前らしいです。ご存じでした??
もともと『御器(ごき)かぶり』(食べ物を入れる器にまでもかぶりつく)という名前だったんだけど、その振り仮名を付けるときに間違えちゃった人がいて、そのまま『ごきぶり』になったとか・・・。
詳しくはこちらをどうぞ:http://gogen-allguide.com/ko/gokiburi.html