やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

みどりが選んだ「カイロ日本人学校」

  初めて「カイロ日本人学校」に行ったのは、昨年(2010年)の9月24日(金)。夫の赴任に伴って家族で初めてカイロの地を踏んだ5日後でした。その日は日本人学校のグラウンドで日本人会主催の“夏祭り”が行われていたのです。

 「行く途中でピラミッドが見えると思うよ。」と聞いたときのあの興奮・・・。やはりエジプトに“来たて”の人間にとって「ピラミッドが見える」というのは一種の魔法の言葉にも近いような、不思議な力を秘めた一言だったように思います。


 そして、確かに見えた初めてのピラミッド。

 話には聞いていましたが、本当に、普通に車に乗って道路を走っていると突如(・・・というわけでもないのでしょうが)向こう側に
『私がピラミッドですが?』
という感じで姿を現す3つの三角錐。「うわっ!本当にあった!見えた!」という感じで、やはりカメラを構えてしまいました。













 


 そんなピラミッドを間近に見ながらたどり着いた「カイロ日本人学校」は、とてもこぢんまりとしていて、でもしっかりとした清潔な感じの建物、という印象の学校でした。
カイロ日本人学校
カイロ日本人学校 posted by (C)Makie


 


 その日本人学校に、この4月から娘のみどりが通っています。
昨年から通っていたCBS(Cairo British School)からの「転校」のような形での入学です。


そのままCBSで勉強を続けるも良し、4月の入学の時期になったら日本人学校に移っても良し。

 年が明けた頃からみどりにはそう話していました。
 夫の相談して、みどり本人に選択権を与えようと決めていたのです。

 もちろん、それぞれの環境の違い、勉強の仕方の違い、それぞれの場所で勉強をすることがこの先の生活にどういう影響を与えるのか・・・など、まだ6歳の子どもには難しいことかとも思いましたが、少しずつ、できるだけ分かりやすく話して聞かせました。
 また、「今ここで日本人学校に通うことができても、このあと必ず同じような環境の国に住めるとは限らない。その時に困らないように少なくとも今の英語力を維持するような努力はしていかないとあとで苦労をすることになるかもしれない」ということも。



 そして、彼女が選んだのは「日本人学校」。

入学式前日の4月11日までCBSに通い、翌12日からは「カイロ日本人学校」の生徒(児童)となりました。



 4月12日の入学式からすでにまる一週間が過ぎていますが、おかげさまでみどりは毎日がとても楽しいようです。毎日学校から帰ってくると、その日会ったことをそれはそれは丁寧に話して聞かせてくれます。


「2年生の○○ちゃんにフラフープを教えてもらった」
「2年生と“氷鬼”(こおりおに・・・知っていますか?)をした」
「2年生と3年生と一緒に“線鬼”(せんおに・・・知ってますか?)をした」
「2年生に案内してもらって学校探検をした」

・・・やたらと「2年生」などと出てくるのは、小規模校のため学校活動のほとんどは上級生のお兄さん・お姉さんと一緒に行っているから。お弁当を食べるときも教室の外で2年生や3年生と一緒に食べることが多いそうです。



 「カイロ日本人学校」は、小学部29名・中学部2名の決して大きくはない学校です。
そんな中でこの4月に入学した小学1年生は8名と、学校内で一番の大所帯。しかも男の子4人、女の子4人とちょうどよいバランス。担任の先生も“若さ度(熱さ度)”と“ベテラン度”のバランスがちょうどよい感じの(個人の勝手な印象です)男性の先生。

 そんな新しい環境の中で始まったみどりの「小学校生活」。
なんと言っても彼女にとっては、家庭を離れた場所でも「自分を取り囲んでいる言葉がすべて日本語」という久しぶりの環境が何よりも新鮮で、そしてその事実が彼女自身の日々の生活をより豊かにしてくれているように思えます。
   

 今、自分の周りでは何が起こっているのか
 その中で今、自分は何をすべきなのか


 それらがわかる自分
 その中で動ける自分

 それがとても嬉しいのではないか・・・と、私の目には映っています。


 もちろん、いいことずくめではないこともわかっているつもりです。

英語力の低下、言語的環境を含めいろいろな場面における“サバイバル能力”の低下、「日本人社会」という狭い環境での生活、長くなった通学時間(片道1時間近くスクールバスに揺られます)・・・・


 でも、「英語力」に関してはこれからいくらでも挽回することができると思いますし、少なくとも言語的環境におけるサバイバル能力の種は、これまでのハノイの2年間とカイロでの数ヶ月で彼女の中にはしっかりと蒔かれているはずなので、これからしばらくはしっかり「母語環境」での生活を充実させることができれば今後の彼女に必ずプラスになるに違いないと思っています。

 
 スクールバスから降りて家に向かう途中の道で
「今日はどうだった?楽しかった?」と聞くと、はっきりと自信を持って「うん!」と答え、
「どんなことしたの?」と聞くとすらすらとその日の出来事を教えてくれるその姿に、何か“自信”のようなものがうかがえるというのが、今までの彼女とは違う点です。

 「今日の自分はこれを吸収した」というものが毎日あるように見えるのです。

 これってすごいことだと思います。

 
 まだ始まったばかりの「日本人学校生活」。
 自分の意志で選んだこの新しい環境での生活が、これからのみどりにとって間違いなくプラスになることを信じながら、見守っていきたいと思っています。