やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

最近、草太がやたらと絵を描きまくっているわけ

日本からカイロに戻ってきて1ヵ月が過ぎました。

2週間ほど前からでしょうか。
草太がいきなり「お絵かき」に目覚めました。
あ、いえ「お絵かき」そのものは退避帰国中のじぃじ・ばぁばの家でも結構熱心にしていました。
突然思い立ったように始めたその行動は


描いた絵を壁に貼っていくこと


最初は虎の絵、次は犬、ゾウ、熊・・・と動物が続き、

そのあとは、火事、船、パパとママ、「ドキンちゃん」と「はぶらしマン」、怪獣・・・・となんの脈絡もなく、とにかくいろいろな物を描いては貼り、描いては貼り・・を繰り返しています。


そしてある日、絵を貼りながら、唐突に言いました。


「草太がどうして絵を描いているかって言うとね・・・日本を助けたいから。」


はい・・・??
なんでキミが絵を描いてここに貼ることが日本を助けることになるわけですかい?


そんな母の心の声が聞こえたのか、彼は続けます。

「草太ね、いっぱい絵を描いて、いっぱい貼って、日本を助けるんだ。」

やっぱり、わからん。



・・・・・と、思ったのですが、
でも、なんとなくわかってしまいました。
この4歳児の気持ち、考えが。



 カイロに戻ってきて数日後に行ったインターナショナルスクールの日本のブースでは、『鶴を折って日本を支援しよう』というコーナーがありました。日本人スタッフに鶴の折り方を教えてもらって鶴を折り、それにメッセージを書いたものをまとめて吊し、千羽鶴(のような大きな折り鶴の束)を作っていくのです。鶴を折る際に参加者は「募金」をする、という仕組み。その後ろには、日本の被災地のようすを紹介した大きなポスターが貼られていました。(※2011-04-17の記事“カイロでの「チャリティーバザー」から「チャリティーコンサート」へ”http://bit.ly/riOpKX でご紹介したゲン君とお母さんの作品です)

 4月9日に行われたチャリティーバザー:Open Dayでは、多くの人がおにぎりやらお菓子やらを作ってきてくださり、それを販売しました。その売り上げ金を日本に送る・・・と、子どもたちにも説明しました。

 そして、今度は22日のチャリティーコンサートを控えており、私も子どもたちもそれぞれ歌で参加するため、「みんなに聞いてもらうんだから一生懸命練習しないと。」などと言っていた時期でもありました。「歌を聞きに来てくれた人が払ってくれたお金が日本に行くんだよ。」そんなことも私が言っていたのでしょう。


 そういうことが日常繰り返される中での、彼なりの解釈・・・それが

「何かをする人」と「その受け手(それを見る人・聞く人)」がいる関係が成り立ったとき、それは「日本を助けることになる」



ちょっと(いや実はかなり)飛躍しているけれど、これが子どもなりの、4歳児なりの考え。



だから彼はひたすら絵を描き、それを黙々と壁に貼り続けています。

「にっぽん、がんばれ!」などと言いながら。
「草太ね、もっともっといっぱい描いてね、日本を元気にするの。」などと言いながら。


これっていったいなんなのでしょう?

一種の「洗脳」・・・???などと、自分の日頃の言動を思わず振り返ってしまいました。


でも、私は、毎日毎日「日本を応援しよう」とか「お金を送ってあげないと」とか、そんなことを言っているわけではありません。
まだいろんなことがよく理解できていない子どもに「復興支援とは・・・」などと説教したりもしていません。
今の日本の状況を、詳しく説明したりもしていません。


日本のテレビ番組などほとんど見ていない環境。
時々かけているラジオ(日本の某FM局の放送が聴けるので・・・)から曲の合間に震災に関する話題が流れることがあったり、ネットのニュースで震災関係の話題をチェックしているところをのぞき見されることはありますが・・・。


結局、そういう自分の周りにちりばめられているいろんな情報のかけらをつなぎ合わせた結果が、
ここまで自信に満ちたひとつの行動につながっている、ということに、正直驚いています。


きっと、小さい頭の中で(・・・・・あ、草太の頭は実際はかなり大きいですが。物理的に^^;)
私たちが想像している以上にいろんなことを考えているんだろうな・・・などとぼんやり思った出来事でした。


と、同時に「にっぽん、がんばれ!」と、ただ素直にストレートに言えるその気持ちが、ちょっと羨ましかったりもした母でした。