やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

今、ハンガリーで起こっていること、思っていること。

 
 いえ、ハンガリーだけで語れることではない、ということはわかっているつもりなのですが・・・

 それにしてもわからないことが多すぎて、何か書こうにも書けない状態。


 わかっていることは・・・


 ほんのここ数日の間に、ブダペストの、特にヨーロッパへの玄関口となる東駅周辺が「一体何が起こったの?」というくらいの「国外から逃げてきた人たち」で埋め尽くされるようになったということ。

 あまりの人の多さに、ハンガリー政府は9月1日(火)の午前9時から1時間ほど東駅を封鎖。その時は列車の発着もなくなり、駅の中にいた避難民たちも全員駅から締め出されるような形になったということ。
 少し前から東駅では(西駅もかな?)、駅構内に待機する避難民たちが一般の旅行客、通勤客等の妨げとなるのを避けるために、ある程度のスペースが提供されるような形にはなっていたらしいのですが、そこからも追い出された、ということなんでしょうね。(すみません、詳細わかりません)


 追い出された人たちはやはりそれに対して駅周辺で抗議行動を起こし、在ブダペスト日本大使館からは『ブダペスト東駅についての注意喚起』というタイトルで在留法人向けのメールがその日のうちに2回配信されたということ。
 ハンガリーに来てからこのような大使館からの安全情報等に関する注意喚起メールは何度か受信していますが、“一日に2回”というのは私の記憶の中では初めてかと。


 その後、「中に入れろ」「ドイツに行かせろ」という抗議行動を繰り返す人々と、その前に立ちはだかる警官・・・という姿がニュースでも映し出され・・・
 (怒りにまかせた抗議行動ばかりではなく「お願いします、私たちをドイツへ行かせてください」と懇願するような内容の紙を掲げている人たちも見られました)


 そして今日9月3日の朝には、今度は東駅構内への立ち入り禁止規制が解かれたので、とにかく列車に乗って西側諸国へ向かおうとする人たちでプラットホームにも人が溢れ・・・
 という状況であること。

 
 
 シリアやイラク、アフガニスタンなどから逃れてきている彼ら(主に「シリア人」と言われているようですが、彼らの国籍やその比率などについては私には全く分からず。)は、まだ
「難民」と言われる資格を持っていないので、これからそれぞれが目指す国へ行き、そこで「難民」として受け入れてもらおう
、・・・ということで、

 で、多くの人が求める「ドイツ」へ行くための通り道、ヨーロッパ諸国への玄関口となっているのが、どうやらブダペストのこの東駅らしいのですが、

 
 それにしても、なぜここ数日であそこが難民キャンプのようになってしまったのか・・・
正直本当にわからないんです。
(もちろん、わかっている人はわかってると思います(-_-;))
 

 確かに、ハンガリーという国は位置的に中東やアフリカなどの紛争地からヨーロッパへ行くための主要ルートのひとつとなっていて、そのため今年に入ってからの難民申請数がとても増えたり、いわゆる「不法入国」をする人も増えているので、ハンガリー政府が
 隣国セルビアとの国境沿いに鉄条網のフェンスを作っている・・・というニュースは以前から聞いていました。

 このフェンス建設っていったいいつから始まってたんだっけ?と思って調べてみたら、つい最近のことで、

・6月に設置計画を発表
・7月の議会で承認、まもなく建設開始
・8月末をめどに完成予定

 でも、このフェンス、というか鉄条網をくぐって入国する人が後を絶たない・・・というニュースもこれまたよく耳にします。
http://bit.ly/1UoAZ0f 


 フェンス建設前は、ハンガリーへの不法入国者毎日1000人にもなっていた、とのことですが、じゃぁフェンスがほぼ完成しているだろう今は、いったいその数ってどのくらいになっているんでしょう? (フェンスに関しては完成が大幅に遅れているとか、これは簡易的なもので11月めどに本格的なのを作る・・とか色々言われているようです。http://bit.ly/1NZIMw9https://news.nna.jp/free_eu/news/20150818huf001A.html

 でも、こんなフェンスをも乗り越えて(不法)入国してきた人たちが、どんどんと東駅に殺到しているのでしょうか? 
 国境から東駅まで・・・、一体どのくらいの距離があるのかわかりませんが、みんな “歩いて” 移動している姿がテレビでも連日映し出されています。 
 かなりトゲトゲがあって痛そうな鉄条網ですが、でも生きるか死ぬかの場所からやっとここまでたどり着いた人たちにとって、「引っかかったら血が出るかも」くらいの鉄条網なんて屁でもないでしょうね。


 とにかく今年に入ってからじわじわじわじわ増えていたその数(避難民の数)は決して減ることはないけれど、「ハンガリーの鉄条網が」という具体的なことだけでなく色々なところで(周辺国も含めて)少しずつ「何かの制限」〜これ以上避難民たちの数が増えたら困る、ということで〜 をかけ始め、今まで他国へ流れていた彼らの流れが滞ってきてしまい
 ・・・その結果があの、東駅のタハリール化?? と そう考えても、それでもよくわからない。


 あ、思わず「タハリール化」という言葉を使ってしまいましたが、
正確には「タハリール広場化」というべきでしょうか。
 エジプトで2011年に始まった政変時に抗議行動の中心地となり、今では「革命の聖地」という雰囲気にもなっている(らしい)カイロのタハリール広場

 あの頃テレビでよく目にした光景〜簡易テントを張って座り込みの抗議行動を続ける人たち〜 と、なんだかよく似た光景を、まさかついこの間も楽しい旅行で利用したあの東駅に見ることになろうとは。

 東駅周辺の様子テレビニュースの画面。

 こちら、今年の5月の東駅。

 5月1日(金)朝8時の東駅。エゲル地方(国内)の温泉旅行に行くところ。 

 連休初日だったけど、この時間帯はホームに向かう人もスカスカ。

 そしてこちらは今日9月3日(木)のテレビニュースの画面。東駅構内。

  

 今年に入ってからハンガリーへの難民申請は10万人近くになっていたそうです。
実際にどのくらいの人の申請が通ったのかまではわからないのですが・・・
(それともハンガリーって、もしかしてはっきり受け入れ拒否とかしてる??)

 そういえば、日本の去年の難民認定数って確か11人・・・って聞いたんですけど。

http://newsphere.jp/politics/20150313-1/
なんと、申請5000人中の11人。

一方、ドイツ10万人の受け入れ。・・・そういう情報があるから、ここに流れ着いた人たちも声をそろえて「ドイツへ行きたい」って言っている、ということなんでしょうか。

  
 今でも毎日何千人という単位で、西側諸国を目指す人たちが移動をしているヨーロッパ。

 いったいこれからどうなっていくんでしょう?

 ハンガリーにもあるという難民キャンプ(実は国内に4つもあるそうです。一番古いのは1989年一番新しいところは2013年8月から機能しているようです)は、今はいったいどんな状況になっているのでしょう? 
 このうちのひとつの難民キャンプで、昨年1ヶ月ちょっとインターンとして仕事をしていたという人のブログを見つけたのですが・・・ここに書かれている状況と今の状況っていったいどれくらい違っているのでしょう? 
Aki's Photo Blog:ハンガリーの難民キャンプってどんなところ!? http://bit.ly/1ijS1LC
 

 この国を通過点としか捉えていない彼ら避難民は、わざわざこの国で問題を起こそうとかこの国を困らせてやろうとか、そういうことは考えていないと思いますし(そんなことをしたらそれこそどこへもいけなくなる)

 大使館が注意を呼びかけている「東駅」があるのはブダペストの「ペスト側」(ドナウ川の東側)のエリア。

 我が家のある「ブダ側」は川の反対側(西側)なので、子どもたちや夫が通勤・通学でその近くを通ることもありません。夫の職場はペスト側にあってブダペストのもう一つの大きな駅「西駅」のそばを通って通勤していますが、ほんの数年前は時には催涙ガスを浴びながらタハリール広場に隣接する職場に通っていた彼にとっては、今の状況は「全く平常通り」のレベルだし。
 

 日本人学校もブダ側にあり、子どもが日本人学校に通っている家庭の住居はほとんど(いや、全部)ブダ側。
 なので、日常生活のレベルでは特に治安等について心配することもないし、子どもたちは普通通り学校に通っています


 もちろんペスト側にも日本人は住んでいますが、街中が不穏な雰囲気に包まれているわけでもありません。


 と、ハンガリーのブダペストが珍しく日本のニュースなどで流れているので、もしかしたら心配している人がいるかも・・・と思ってちょっと書いてみました。




 ただこれからこの先、東駅中心に自国から逃げ延びてくる人の数がどんどん増え続けると、それによって必要以上に治安等について不安を持つ人が増えてこないとも限らず、

 特に「イスラム教」という宗教にあまり免疫のない社会・文化で育った人たちの集団からは、偏った情報間違った思い込みで彼らをただただ排除しようとする動きが出てくる心配もあります。

 いまだに、「イスラム教=テロリスト」という考えが頭の中に入り込んでしまっている人も残念ながら少なからずいるようで・・・・


 今は、それが心配。

 もちろん、いわゆる「難民問題」も深刻になっており、これから先、これが良い方向に向かっていく見通しは立っていない、というのが現実でしょう。

 でも、ただ相手を怖がったり、非難したり、憎んだり・・・最初にそういう感情ありきでは解決の糸口なんて見つけられない。



 戦争はいやだなぁ・・・

 強い者が力づくで弱い者を抑えつける世の中っていやだなぁ・・・

 みんながお互いをふつうに思いやったりしながら生きていける世の中って、そんなに難しいのかなぁ・・・

 
 ここ数日、なにも変わらない日常の中で、そんなことを考えてしまいます。

 
※ハンガリー:独目指す数千人 首都の駅「難民キャンプ」(9月1日毎日新聞)
http://bit.ly/1NKmuzu