やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

世界は広いが、日本も広い・・・。

 <退避帰国日記>がなぜか(?)1月30日で止まっていますが、どうもうまく写真がアップできずにあーだこーだとぐだぐだやっているのでして・・・。一応下書きは結構書いていたりするのですが、どうも作業が一気に「えいや!」と進まないと気抜けしてしまってダメですね。
  エジプトもだんだんと落ち着いてきているようですが、とりあえず<退避帰国日記>は、自分の記録のためにもまとめておこうとは思っています。カイロに帰るまでには書いておかないと・・・ ※注:帰国日はまだ決まっておりません。


 で、今日は今回の<退避帰国>を振り返って、「勉強になったこと」があったので、それをちょっとご紹介させていただこうかと。

  それは「日本は広い」ということです。
  そして、その広い日本に、「いろんな人が住んでいる」ということです。
 
 いろんな考え、いろんな興味、いろんな生活、いろんな毎日・・・・

 そんなことわかっているつもりでしたが、今回は「がつん」とそれを実感させられました。



  先日のニュージーランドでの大地震のニュースで、人々のエジプトへの関心は日に日に薄れてきている、というのは事実だと思います。でも、少なくとも私たちが退避帰国をしてきた2月の初めごろは新聞でもエジプト情勢についての記事が1面に載っていることも多かったと思いますし、テレビのニュースなどでもカイロのデモのようすが流れたりしていた・・と家族や友人から聞いていたので、例えば今回の大地震のニュースをほとんどの人が知っているように、少なくとも一時期は「エジプトが危険な状態にあった」という事実をほとんどの人が知っている・・・と思っていました。

  でも、そうじゃないんですね。

  多くの日本の人にとっては、ムバラク政権を崩壊に追い込んだエジプトのあの大きなドラマは、ただの遠い異国の出来事でしかなく・・・いや、それはそれでいいんです。確かに「異国の出来事」なのですから。どこぞの解説員さんや中東情勢の専門家さんたちが「いや、中東の国々の出来事は私たちの生活に密接に関わってくるんです。」などと言っても、正直、毎日自分の仕事のノルマと戦っている人や、一日も早く一人前の美容師になるべく修行をしているような人にとっては、かなり「やっぱりあんまりかんけーない」出来事でしかないんだ・・・と、私ははっきり悟りました。

 

  今日、2月24日は美容院に行って来ました。
池袋にある初めて行った美容院。担当してくれたのは30代前半と思われる男性。

−−−ここでちょっと話は逸れますが、美容院といえば「世間話」(違う?)
   ただ黙々と髪を切ってくれる美容師さんって少ないですよね。で、私の場合、よっぽど作り話でもしない限り「今も数年前も海外生活・海外歴長し」ということは話の流れでばれてしまいます。でも、あまりリアルに珍しがられたり、「すごいですねー」と連呼されたり「英語ペラペラなんですねー」などと言われたりすると正直ウザイので、適当に「日本でずっと生活をしている人」を装っていた時期もありました。が、なんだか嘘の上塗りだらけになるし、やっぱり「嘘」ついているのは心苦しくて、結果、非常に疲れてしまうということも学んだので、最近は適度に普通に、嘘はつかずに話をするようにしています。

   で、今日も“今はエジプトに住んでいる”ということを試しに言ってみました。
   試しに・・・というのは、これまでの数日間の私の“学習”の結果です。

   「たぶん、この人も知らないだろうな・・・」
   「でも、そんなにものすごく若いって感じでもないから、もしかしたら知ってるかな」



   結果は前者でした。


  美容師さん(以下《美》)「じゃ、今回のご帰国は冬休みですか?・・・あ、春休みかな?今の時期・・・」
  私「いえ、今エジプトはちょっと治安が悪くて。」
  美「あ、そうなんですか?」
  私「反政府デモが結構長い間続いて、危なくなってきたので帰ってきてるんです。退避帰国。」
  美「そんな危ないことがあったんですか。じゃ、帰れないじゃないですか。」
  私「でも大統領は退陣しましたし、だんだん落ち着いてきてるんですけどね。今はちょっと無政府状態というか・・・」
  美「新しい大統領とか決めなきゃならないんですね。そういうデモみたいのが4年に1回くらいあるんですか?怖いですねー。大丈夫なんですか?」


   ・・・・あんなのがオリンピックみたいに4年ごとに繰り返されていたら大変だわ・・・・


   大統領の任期が4年で新大統領を選ぶたびに混乱があるのか、ということが言いたかったのだと思いますが、さすがに答えに窮してしまいました。

   それでもこういう会話も3度目となると、私の心は大きく動揺したりはしませんでした。

   4度目となったのはヘッドスパ(クリームバス)をしてくれた女の子(明らかに20代前半)でしたが、もやは私の心はぴくりとも驚きませんでした。



   その前は川越のクレアモールを夫と歩いていた時。一昨日の2月23日でした。ケイタイとかパソコンとかの販売店だったかと思うんですけど、その店先で「お客さんにこの商品の説明をするのが新人の自分の仕事だ」と彼は言っていましたが、
   「え?エジプトって、何かあったんですか?」
   「え?知らない?結構たいへんなことがあったんですよ」と苦笑いの夫。
   「新聞の一面くらい読みましょうよー。」とわざと明るく言う私。
   「あ、いや〜・・・ボク、ここの仕事、忙しくって・・・。あはは・・・」


   ホント、あはは・・・ですわ。


   これが2度目の「全然知らなかった人発見」でした。
   2度目でしたから「そんなもんか・・・?」くらいに思えたのですが、最初に「知らない人」に遭遇したときは、正直、かなりのショックでした。



   それは2月10日。ムバラク退陣の前日でしたから、かなりまだニュースでもエジプト情勢が報道されていた時期だった・・・と思うのですが、同じく川越のMデパートの化粧品売り場の美容部員さん。

    美「今はどちらにお住まいなんでしたっけ?」(以前から通っているところなので、個人カルテに“海外在住”とか書かれているらしい)
    私「エジプトです。例のあれで、退避帰国で・・・」

    「え!? あのカイロから帰っていらしたんですか?大変でしたねぇ〜!!」と、大袈裟に驚かれたりしても恥ずかしい(?)ので、なんとなく語尾の方は控えめに答えたところ、どうもその部分は彼女の耳には入っていなかったようで、
    美「そうですかー。」
    私 (へ?それだけ?もしかして聞こえてなかった?エジプトって言ったの・・・・^^;)


   そして、またしばらくしてから
   
    美「それで今回のご帰国は、何かこちらでご用事があってですか?」
    私「あ、いえ、退避帰国なんです。今、エジプトのカイロに住んでいるので。」
    
   このときの奇麗な美容部員さんの明らかに「??」な態度に、私はかなり動揺してしまいました。
   そして、このとき自分がどう答えたか(反応したか)、あまり覚えていません。
   「新聞ご覧になってないんですか?」というようなことを真顔で言ってしまったかもしれません。


   今回のチュニジアから始まって、エジプト、そして中東の国々へと広がっている独裁政権への反発・政情不安などについて、私はなんとなく、  
  《日本で普通に生活している人は、みんなそれなりに知ってる》と思い込んでいたようでした。

   
   そんなことないんですよね。


 新聞の1面の記事なんて、気になる文字が大見出しになっていないと気にも留めない人が大勢いるということや、 
 職場から家の往復だけで毎日が終わり、テレビのニュースを見る時間もほとんど無い人が大勢いるということを
 私は今回、はっきりと知りました。


    でも、こういうのって、「そういうもんなんだ」で片づけていいのかな?
   「そういう事実を私は学びました」で締めくくっていいのかな?


  やっぱり「エジプト」という国まで認識できなくても「あ、あのデモで混乱しているらしいあの国?」くらいの反応がひとつくらいあっても良かったのに・・・と私は思います。


 たまたま私が話をする機会のあった比較的若い人たち4名だけを捕まえて、あーだこーだ言うのもよくないかもしれませんが。


 そして、そういう私も、お恥ずかしながらリビアのカダフィ政権が41年も続いていたことを今回初めて知ったりしているわけで・・・。


 う〜〜〜ん・・・そんなものなんでしょうかねえ・・・・。