やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

大国カナダでこんなビックリ。

 
 多くの人の想像どおり、今住んでいるカナダという国は、いわゆる「先進国」と言われる国のひとつなので、ある程度の都市部(例えば今住んでいるエドモントン〜一応人口100万人都市〜)で生活をしていると、日本にいるのと変わらない感覚で過ごせます


 例えばそれは、
「車検」などという言葉とは一切縁がないまま走り続けているらしい車が、猛スピードで右に寄っていったと思ったら突然左にウィンカーを出して左折していく・・・なんてのを見かけることはまずない、

 とか
 
 1台のバイクに家族5人が乗っていたり、荷台に人の背丈ほどもある鉢植えやアヒルを何十羽と入れた箱を載せて走っているのを目撃したことは一度もない、とか

 (👆某国ではこんなのは全く普通)


 1年以上住んでいるのに、停電も断水もまだ一度も経験していない! 

 とか
 
 そういう類のことだったりするんですが、


 でもだからと言って、驚くようなことが何もない というわけでは決してありません。

 やっぱりここも異国。

 ここならではの新鮮な驚きも、実は結構あるもので。


 例えば、


 ほとんどの車は後ろにしかナンバープレートがついていない とか

(全然気にならない人もいるようですが・・・、 これ、もうだいぶ慣れたけど、最初に見た時の違和感はなぜか半端なかった。)



 日中の気温28℃でカナダ環境省が「高温警報」を発令する とか

(“警報”ですよ、“警報”。“注意報”じゃなく! まあ、「5月に28℃」ということで“警報”、なの・・・かも?)



 家の周りで一番良く見かける動物はスズメでもカラスでもネコでもなくリス とか


(あ、飼い主さんと一緒にお散歩してる犬は別。ここもハンガリーに負けず劣らずdog lover多し)



 ほとんど(全て?)の家に、当たり前のように「地下スペース」がある とか


(これって未だに理由がよくわかってないけど、どうやらやはり「竜巻対策」ということらしいです)



大して大騒ぎするほどのことではないけど、でも私にとっては新鮮な「プチ・びっくり」


しかし、

この度、個人的にはしっかり「大騒ぎ」に値するほどのビックリを体験してしまいました。


 場所はバンクーバー国際空港。 

 
 エドモントンからの1時間半ほどのフライトは非常に快適。

 なんたって、たった一人で飛行機に乗るのはたぶん14年ぶり

   ✈ エドモントン ➡ バンクーバー

   ✈ バンクーバー ➡ 成田

   ✈ 成田 ➡ 札幌(千歳空港)


 すべてネットで窓際の席を予約しておいたし、

 ひたすら窓の外を眺めていようが
 映画を観まくろうが、
 爆睡しようが、

 もうなんでもOKの一人旅。

 
 最近は子どもたちも大きくなっているから、あれやこれや世話をする必要もほとんどなくなってきているんだけど・・・でも、やっぱり「全くひとり」というのは、なんといいますか、もうなんとも言えず
FREEeeeeeeeee!!!!!


 自分のことしか考えなくていいって、なんかえらく楽じゃない??

 なーんて思っていたら、

 バンクーバーでの乗り換えで

 気がついたら

 成田行きの飛行機(つまり国際線)を待つための「出発ゲート」まで行ってしまいました。

 ん?

 このまま飛行機に乗ったら「出国」じゃん!


 私、まだ出国審査受けてないけど・・・?

 制服着た審査官にパスポート見せて、顔写真を確認されて、適当な場所に無造作にスタンプ押される、あれ。


 おや〜?? 

 どこで素通りしちゃったんだろう??

 空港内の案内表示に従って、何も考えずに歩いていたようで、どこで「出国審査」の場所をすっ飛ばしてしまったのか、全く分からず。

 とりあえず、戻らねば。 と、一気に逆走。


 ところが、あるところから先は、もう外へは出られなくなっていて、

 このあたりで、なんかやばーーーーーい雰囲気が自分にまとわりついてきているのを感じる。


 なんとか「案内所」を探して尋ねるも

「え? 大丈夫よ。そのまま搭乗口へ行ってください。」


 いやいや。

 出国スタンプ無しで国外に出ちゃったら、着いた先で「あなたどこから来たの?」ってなるでしょうが!!



 別の「案内所」で、再度聞く。


「エドモントンからの乗り継ぎで、そのままこっちまで来ちゃったんですけど・・・・」

「大丈夫ですよ。 え? 出国審査? 要らないでしょう?」


はぁぁぁ??
 と、思いつつも、一応「そうですか、ありがとう。」と言って(でも、全然信用していない)、別のちゃんと事情が分かっていそうな人を必死で探す。


 が、時間はどんどん過ぎる。


 ヤバイ。
 
 
 出国審査の場所が、実はすごく遠いところだったらどうしよう・・・今からそっちへ行って、

 そういう時に限って列にずらーーーっと人が並んでいたりして・・・

 で、パスポート見せてる間に搭乗時間が来ちゃったら・・・

 こんなところで、乗り遅れ!???

 
 
 早くも「優雅な一人旅」が一転。


 いや、でも、そういえばひとりであちこち行ってた頃も、あれこれ色々あったような・・・


 そんな記憶がふっと蘇り、

 「そういえば一人旅って優雅なだけじゃなかったっけ」と、焦りながらもじわりと思い出す。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 それにしても、

 カナダが「出国審査不要の国」だ ってこと、

 たったこれだけのことを知らなかっただけで、本当に焦ってしまい、

 この出来事(=出国審査不要)がカナダに来てからの最大の驚きになってしまった、という笑うに笑えない話。



 が、

 後から知ったんですけど、アメリカも出国審査がないらしいですね。

 行ったことあるんだけどなーーー・・・あまりにも昔過ぎて記憶にない。
 
 



 まあ、でもとりあえず、無事出国もできたし、機内ではエドモントンで見逃してしまった『グレイテスト・ショーマン』(The Greatest Showman)も観ることができたし、母の術後の経過も非常に良く、今日にも退院との連絡も入っているので、めでたし・めでたし。ありがたや・ありがたや。


 更に今回の「14年ぶりの一人旅」という名の「お忍び一時帰国」が、次回子どもたちと一緒に一時帰国する際の素晴らしい予行練習(!)になった、というこの事実。 
 これこそ本当にありがたや・ありがたや。

 

湖の噴水と新しいベンチと・・・

 
 さわやかで気持ちのよい毎日が続いていますね・・・

 いや、続いています。ここ、カナダのエドモントン。

 5月の終わりに日中の最高気温が30℃に届くか? という日が続いていたのに(4月半ばにはしっかりが降っていたのに)
 6月に入ってからは最高気温も20℃そこそこ
 あ、今日(7日)は28℃くらいまで上がっていたようですが、湿度は30%以下。ありがたい・・・。

 明け方の気温はたいてい10℃以下で、朝に出かける時は長袖を1枚羽織ろうかな?という感じ。


 青い空に真っ白な雲がぽっかり浮かんでいる日なんて本当に気持ちが良くて、昨日(6月5日(火))は約1ヵ月ぶりに「我が家の裏の公園」ではなくて、「ちょっと離れたもっと大きな公園」まで行ってきました。

 家からこのあたりまでは約2キロ。ゆっくり走っても20分かからないくらいのお手頃な距離なので、お昼ちょっと前におにぎり持ってここまで走ってきてサクッと食べて家に帰る、というコース。

 
 それにしても、ここ、3か月前はガッチンガッチンに凍っていて、その上でスケートしていたところですからね。

3月上旬は大スケートリンク場。
うーーーん。同じ場所には見えない。撮影の角度がぜんぜん違うせいもあるんですが。


 さすがに4月になると周りの雪が解け始め・・・。

でも、湖だけはまだ青白い氷がぐるっと残っていて。(4月24日)


 そのわずか2週間後は、しっかり春🌸

(5月8日)



この看板はいつ撤去されるんだろう?



そんな湖の中に、今回は噴水がお目見えしていました。

 少なくとも2箇所、湖から顔を出していた噴水は、突然ぴゅーっと空高く水を吹き上げたり・・・なんてこともなく、いい感じの素朴さで水をぱしゃぱしゃと出していました。

 これから暑い季節になったら訪れる人に涼しさを感じさせてくれることでしょう。

(この日は全く暑くなかったので、存在を確認するもありがたさまでは感じなかったな、そういえば)


 そして、その湖のほとりにあった
一見、場の雰囲気にあってないんじゃない? という色合いのベンチ

 こちらも最近登場した模様。

 思った通り、鳥の糞もまだほとんどなかったのでここでおにぎりを食べることにしたのですが、


驚きのハイテク(?)ベンチでしたよ。

 写真ではよく見えませんが、この黒い丸のところにはUSBの差込口があります。
 

 ここで自然を愛でながら、すかさずインスタどうぞ!

 とか、そんな感じですかね。



 そのベンチの後ろには今日もたくさんの水鳥たち。

 そしてこの日は、この1カ月の間に生まれたヒナたちもたくさん。

 本当にここは水鳥の楽園
(だから糞もすごいけど・・・・)


 こんな環境の中にさり気なく置かれていたあのベンチ。
 街のあちこちで見かける素朴な木のベンチじゃなくて、こういう「ここでチャージOK!無料WIFI!」のベンチを置いておくことのメリットって・・・ と、今頃になってふと考えてしまったんですけど。

 結局、「企業広告」ってことなんですかねー?


 緑に囲まれた公園の中に登場した紫色のベンチを見て、街のあちこちで見かける、いろいろな人の想いがこめられた『メモリアル・ベンチ』を思い出しました。


 カナダの人にとって『ベンチ』って何か大切な意味を持っているの? とつい思ってしまう『メモリアル・ベンチ』
 これも素敵な文化だと思います。





 
 
 

季節、一巡(ひとめぐり)

 私たち(子どもたちと私)がここ、カナダのエドモントンに来たのは2017年5月9日
(夫は諸事情により一足早く4月末に着任)

 なので、ふと気づくと、あっという間に「エドモントン生活」も1年が過ぎています

 今、エドモントンは春真っ盛り🌸

ちょうどひと月前に雪が降って辺り一面真っ白になっていたのに、

※4月17日。前日降った雪でみごとに雪野原が復活・・・

 その3日後には雪もじわじわ(と言うか急激なスピードで)消えていき、

 一週間後にはこんな感じ。⬇

 
 ここまで勢い良く雪が消えていくなんてちょっと想像していなかったので、あまりの速さにびっくり。

 水気をあまり含まないサラサラの雪がふんわりと積もっていただけ、ということなのでしょう。雪解けの時期のあのどろどろぐちゃぐちゃのどうしようもない時期が、思っていたよりもずっと短かったのは嬉しかったですが、ちょっとあっけなさすぎ、という感じも・・・。
 ま、いいんですけどね。 カレンダーを見るとすでに「4月」になってたわけだから、雪が全くなくても全然問題なし。


 ということで4月の後半にはついに長い冬も終わるのか」いきなり実感できたのですが、でも実は
ここ(エドモントン)の冬は、寒さこそ厳しかったものの雪の量はそれほど多くはありませんでした。

 故郷の北海道に比べれば、という意味ですけど。
 もちろん北海道と言ってもそれなりに広いので、場所によって雪の量もかなり違いますが、私の実家(札幌と千歳の間の恵庭市)周辺は、人力では全く間に合わず冬の間は何度も除雪車が登場。路肩に寄せられた雪は小学生くらいならすっかり隠れてしまうほどの高さになるので、特に運転する人は交差点では要注意・・・という感じだったと記憶しています。 
 が、なんせ真冬の北海道にはもう何年も帰っていないので最近は多少変わってきてるのかもしれませんけど。


 エドモントンでも除雪車の出動は何度か目にしましたが、私にはなんとなく余裕というか、ゆとりが感じられる働きぶりに見えました。うまく表現できないんですが、
「ここで我々が働かなければ人々の生活に支障をきたす。頑張らねば・・・」という強い使命感よりは「皆さんの居住エリアをより快適にしてあげますからね〜。」という感じのオーラというか。

 って、なんかよく分かんないですよね〜・・・。

 つい、初めてのカナダでの越冬を一人で振り返ってしまいました。



 それにしても
 5月になってからのいきなりの「春」🌷🌷

 というか、春爛漫の心地よさの中にぽつりぽつりとせっかちな夏が顔を出すような日もあり、長い冬の間にすっかり「寒さ」への耐性が強化されてしまった私たちの体は、気温が25℃を超えると「あつい・・・・💦」


 この気温は去年の同じ時期より若干高めだったようで、去年の今日(5月16日)この家に入居した日に家の前に咲いていたこの花たちは


今年は5月7日に開花。
(前日までは確かに蕾だった・・・)

5月11日には枝が一気に花でいっぱいになって

そして今日5月16日はこんな姿になってしまいました。⬇


ちょっと桜に似ているような気もするけど(開花の時期の短さも・・・)
でも桜じゃないこの花。

また今年も7月頃にはこんな赤い実をつけるんだろうな。

みどりが「今年はこの実でジャムを作ってみたい。」なんて言ってます。



 今までの写真をあれこれ見ていてつくづく思うこと。

四季があるって素晴らしい・・・

9月後半の紅葉はみごとだった・・・


冬が過ぎて



これは昨日(5月15日)。


 ほとんど我が家の庭と化しているこの公園ばかりでなく、
自分の周りの景色全てが、こうしてふと気がつくと全く違う色合いになっていて、それがいつまでもいつまでも当たり前のように繰り返されるというこの環境。

 これはとても「贅沢」なことに、私には思えるのですが、

 でも、ここで生まれ育った人たちは、それを「当たり前」としか捉えていないのかもしれなくて、

 そういう事自体がもう「贅沢」・・・というか、とても恵まれていることなんじゃないか、などとつい考えてしまう今日このごろです。



 さて、二巡目がスタートしているエドモントン生活。


地域のコミュニティでヨガを始めて、
地元のコーラスサークルにも入ってみて、
今日はRunning Room というスポーツショップのRun Club(誰でも参加できる無料の「走る会」)に初参加。

 1年経って、やっと少しずつ色々なことが動き出しています。

4月のホワイト・バースディ❄

  
 4月16日。
 夫がカナダで迎える初めての誕生日・・・・・ん? いや、30年前にも1年間この国に住んでいたってことは、その時もここで誕生日を迎えていたんじゃない??

 でも、4月に入ってちょっと経った頃のある日、確かに言ってたんですよね〜。
「雪がある誕生日って初めてかも・・・」


 その時私は「雪があるって言っても、誕生日までにはほとんど解けてるだろうけどね〜。」と答えたものです・・・・。


 で、当日、こんな感じになってしまったので、これはもう本当に記念すべき
「ハッピー・ホワイト・バースディ」



 この日4月16日は、数日前から天気予報ではっきりと雪が降るだろうと言っていたので、とりあえず朝、外の様子を写真に撮っておきました。

そして、6時間ほど経ったらこんな感じ。




 前日まではかなりいい感じで雪解けが進んでいたんですけどねぇ。

※前日(4月15日)の夕方。地面のアスファルトも見え、公園脇の雪が解けて大きな水たまりに。
 
 
 そして、雪が降ったといっても気温はそれなりに高くなってきているので

積もった雪はすぐに解けるのでしょう・・・
ぐちゃぐちゃになりながら。



 とりあえず、窓の外の雪景色と一緒に記念撮影。


おまけのケーキ。(けっこう頑張って作ったので。)


 翌日は家の前にこんもり積もった雪にしっかり足跡を残し、夫は出勤していきましたとさ。


そんな景色がもう長いこと続いているせいか、

その日はインスタ(Instagram)に投稿されてた友人たちのこんな写真も、
地面に残っている雪にしか見えず。



👆これなんて・・・・これなんて完全にピンクなのに、
それなのに一瞬、ホントに雪に見えた・・・






そして
本日、4月18日

 二日前とは打って変わってこの気温。快晴!


 明日以降はもう最高気温も2桁の日が続くので、


たぶん、きっとこれからは迷うことなく「春」へ向かっていくものと、一応期待しています。

その時の合言葉は「サムに会いに行こう❣」

 さて、2018年のイースター休みにカナディアンロッキーの山間にある『バンフ・スプリングス・ホテル』での滞在を実現させた我が家ですが、この時の私たちの合言葉は、実は

「パパの夢を叶えに行こう!」

 ではなくて


「サムに会いに行こう!」でした。



『バンフ・スプリングス・ホテル』のサム


 知ってる人は知っている・・・かも、ですが、

 30年前にここで働いていた夫も、結局はついに出会うチャンスはなかったそうです。

 

 とても仕事熱心なホテルマンだったサム

 いつもお客様がこのホテルで快適に過ごせるよう、一生懸命働いていたのでしょう。


 不慮の事故で亡くなってからも、何か手伝いを必要としているようなお客様 〜例えば部屋の鍵が開かなくて困っているとか〜 を見かけると、どこからともなくやってきて、サッとそのトラブルに対処してくれるそうです。

 そして、なんともありがたいタイミングで助けてくれたサムにお客様がチップを渡そうとすると


 サムは、スーーーーっと消えてしまうのだそうです。


 あまりにも自然な対応をしてくれるため、チップを渡そうと思った時に消えてしまうまでは、お客様も全く気づかない・・・サムが実はもう何年も前に亡くなっている人だということに・・・という、この話。

 実はかなり有名なようで、ネットでホテル名を検索しただけでこの手の話にももれなくヒットします。
確かにこのホテルには、そういう話がとっても似合いそうな場所が驚くほどあちこちにありました・・・



 もちろん我が家のメンバー(私と子どもたち)にとっては
「昔、パパが働いていたことのあるホテルでのお話」という形で耳にしていたことなので、サムがこんなにも“有名人”だなんて、全く知らなかったのですが。


 ネット情報をあれこれ見てしまうとなんとなく引いてしまう、というか、そういうミーハー・・・いや、芸能ゴシップ的な・・? 空気に包まれてしまいますが、そこからのスタートではなかった私は、

「せっかくスプリングス・ホテルに行くのなら、ぜひサムにも会ってみたい。」と、かなり本気で思っていました。

 だって、なんというか

“怖い” とか、そういうふうに思う以前に、“ホテル愛”・・??

決して「うらめしや〜」とか「怨念」とか、

サムは、そういうものとは無縁の存在にしか私には思えなかったので。


なので、

 「もしかしたら、普通のホテルマンに混じっているかもしれないから、スタッフが名札つけていたら一応ちゃんと名前のチェックをしなきゃね。」

などと、自分でもどこまで本気かわからないことを子どもたちに言ったりしていました。


 
 そして、2泊の滞在。


 最初の夜に食事をしたドイツ系のレストランでは、かなり年配の男性がウェイターをしていました。私たちのテーブルのオーダーを取り、食事を運んできてくれたその男性。仕事自体にはとても慣れているのが分かりましたが、もしかしたら80歳は超えている?というふうにも見えました。

このくらいの年齢でレストランのウェイターなんて珍しいんじゃない? と思えるくらい。


 でしたが、もちろん(?)胸にある名前は「サム」ではなく。

 でも夫はちゃっかり聞いていました。その年配のウェイターさんに。


「・・・・ところで、サムってご存知ですか?」

 
 さすが年配の従業員だけあって、ちゃんと「サム」のことは知っていました。

 ただし、彼もまだ「サム」には会ったことがないそうです。

 やはり、そう簡単に会えるわけではなさそう・・・・

 っていうか、そこまで本気で会えるとは、やっぱり思ってはいなかったわけだし。


 
 翌日。

 午後からは少し雪の予報が出ていましたが、気温も低すぎず(マイナス1桁)良い天気。

 まさか一日ずっとホテルの中で「サム探し」・・・と、そこまで気合いは入っていなかったので、ホテルから一番近い山にスキーをしに行くことにしました。

 と、その前にスキーをレンタルせねば。

 カナダに来てスケートは買ったけど(私とみどりだけだけど)、スキーまではまだ揃えていなかったので、朝食後、ホテルに併設されているレンタルショップへ。


 4人分の一式をサイズチェックしながら揃えていくにはそれなりに時間がかかりましたが、スタッフさんが手際よくいろいろ出してきてくれて・・・・


 と、夫が小声で

「名前、見た?」

 
 履き慣れないスキー靴のサイズ合わせに苦戦していた私は、その時、初めて目の前にいる若いスタッフさんの名札を見ました。

なんと・・・・


[SAM]



 まさか、レンタルショップで出会えるとは!

 と、[SAM]
という名前を見ただけで急にテンションが上ってしまった自分が妙に可笑しかった・・・。


 そして、

 とりあえず[SAM]
という名前の人には会えたぞ、ということで、何か一つ大きな達成感すら得られた気もしました。


 でも実は、その彼は例の“サム”のことを知らなかったそうです。

 「まだ新しい人みたい」と、夫は言っていました。


 最近は、働き始めて間もない若い人たちの間では、むかーしむかしから伝わるお話はあまり浸透しなくなっているのかもしれません。

 あるいは本人が[SAM]という名前なだけに、周りの人も敢えてあれこれ教えたりはしないのかも・・・とも思ったり。


 そんなこんなで無事スキー一式を[SAM]の助けを得ながらレンタルした私たちは、その日はホテルから車で20分ほどのところにある標高2514mのマウント・ノーケイ(Mount Norquay)で、この冬初めてのスキーを楽しんだのでした。

 

 スキーもできたし、[SAM]にも会えたし・・・ま、「サム違い」ではあったけど、
このくらいがちょうど良かったかも(笑)


 こうして無事『バンフ・スプリングス・ホテル』の宿泊客を経験した私たちは、あとは確実に近づいている春を待つばかり・・・

 と思いながらエドモントンに戻ってきました。


そして、その数日後に再び−20℃まで気温が下がるという驚きの体験をしながら、


それでも、確実に、絶対に近づいているはずの春を、今日もちょっとずつ感じながら過ごしています。

 

春待つカナダで夢をかなえる・・・?

 
 むかしむかし・・・・と言っても、ほんの30年ほど前ですが、

 とある青年(都内の大学に通う大学生)がカナダにやってきました。

 彼が持っていたのは「ワーキングホリデー・ビザ」

 オーストラリアニュージーランドに続いて、カナダが日本とワーキングホリデー制度の取り決めを交わしたのが1986年なので、まだ「カナダへのワーキングホリデー」というものが始まったばかりの時期でした。

 そして彼が目指したのは、日本人によく知られているバンクーバーでもトロントでもなく、ロッキー山脈に広がるバンフ国立公園内の小さな街「バンフ」
 👉・・・と聞いて「あぁ、あのドラマ『ライスカレー』の舞台の?」と思ったアナタ。ほぼ同世代ですねww

 ここで大胆にも、その当時で創業100年を迎えていたバンフ・スプリングス・ホテルで働く、という1年間のワーキングホリデー生活をスタートさせたのです。


 最初はレストランの厨房での皿洗い
 その後は、ホテル内のいくつかのレストランでウェイター


 大自然の中にたたずむ高級ホテルで優雅なひとときを過ごす人たちを接客しながら、その青年は思ったそうです。

「いつかこのホテルに客として泊まりに来てやる!」


 **********
 
 
 ということで、

 春まだ遠い3月の終わり。

 たぶん、村上家史上 “最も高級なホテル” への滞在が実現しました。



 実は、ハンガリーの次の赴任地としてカナダのエドモントンへの内定通知が届いた直後にも私は『バンフ・スプリングス・ホテル』の空き状況をチェックしていました。


 今まで何度か夫から聞いていたカナダの高級ホテル。

 ワーキングホリデーで働いたホテルにいつか家族で泊まりに行こう!
 そう話していたホテルがある国に、もしかしたらこれから住むことになるかもしれないなんて・・・

 いや、もしそうなったら絶対に任期中に行くべきでしょ。
 それも、「任期最後のクリスマスに・・・」とか、そういうもったいぶった計画の立て方はダメ。
 人生いつどこで何があるかわからないんだから。
 最後のお楽しみに・・・なんて取っておいたら(例えば突然の退避帰国とかで)結局行けなくなっちゃうかもしれないし。

 などと考え(「退避帰国」はあくまでも例です)、とりあえず予定通りであれば「カナダのエドモントン」に赴任しているであろう2017年のクリスマス〜年末にかけての時期をチェック!

 
 が、 あっさり満室

 さすが老舗高級ホテル
 
「一生に一度のことになるだろうから、この際思いっきり贅沢に」などと思ったのですが、クリスマス少し前の時期から年明けまでは1年以上先の時期でも空室ゼロでした。
 

 と、こんなこともあったので、時期には特にはこだわらず、とにかくチャンスがあったら予約を試みよう、と心に決めて昨年5月エドモントンへ。

 
 そして昨年末に
『アルバータ州在住者限定40%ディスカウント』というのを見つけて予約。

 このイースター休みに、夫の若き日の夢がついに実現したのでした。



 エドモントンからバンフに向かったのは3月31日

日本ではあちこちで桜の花が咲き乱れていた頃のようですが、こちらはまだ雪深く・・・

去年の10月に行ったときとはまた違う美しい「冬景色」を眺めながらバスに揺られること6時間。



 ああ、またこの素晴らしい景色と再会できた!


 バスステーションからホテルまでは徒歩で。 

 思い出を辿りながら(笑)ゆっくりと歩いていくと・・・


 ホテルというより、古城?という建物が登場。



 今年で開業130年というこのホテルは、さすがに歴史が感じられる作りでした。


 この日の日没は8時過ぎでしたが、日が暮れるとこのライトアップ。

 3月末でもクリスマスの雰囲気が味わえるお得な雪国。



 朝食用ホール。

 真ん中に写っている「元青年」は、この場所でもウェイターとして働いたことがある(気がする)・・・と言っていました。


 とにかく広くて大きくて、そして作りが古くて迷路のようなホテル。
 歴史がある分、いろいろな「ウワサ」もあるうようですが、それはまた次回、ということにして・・・。

 今回は、カナダにおける村上家のタスクその1 無事完了! で、めでたし・めでたし。



【記念&証拠の写真】

 きちんと“滞在客”になった元青年の姿。


 

アルバータ・バレエ団の【シンデレラ】

 
 エドモントンに来てから、すでに4〜5回足を運んでいる『Jubilee Auditorium』(Northern Alberta Jubilee Auditorium)に、先週は【シンデレラ】を見に行きました。
ミュージカルや映画ではなく、バレエの【シンデレラ】

 バレエって、ちょっと高尚な感じがする・・・というか、私にとっては実はあまり身近には感じられない舞台芸術のひとつなんですが、でも【シンデレラ】という間違いなくよく知っているストーリー、ということで今回チケットを買ってみました。

 今まで見たことのあるバレエは【くるみ割り人形】【白鳥の湖】のふたつ(たぶん)。
 いわゆる「クラシック三大バレエ」と言われる由緒正しい(?)初級者コースのバレエを2つを見たことになるかと思います。


 そして、今回の【シンデレラ】

 子どもたちにとっても親しみのあるストーリーだからでしょう。
 会場には12月の【くるみ割り人形】に負けないくらい小さな観客が多かったです。


 今回の公演も【くるみ割り人形】のときと同じ、地元アルバータ州のアルバータ・バレエ団Alberta Ballet』によるものでしたが、

 そういえば、前回【くるみ割り人形】を見たときは、日本人のダンサーもかなりいて驚いたことを思い出し、開演前にパンフレットをしっかり見てみると・・・。

やっぱり。

 今回も「シンデレラ」や「王子さま」などのメインキャストのところに日本人の名前が。

 しかも、『YOSHIYA SAKURAI』さんは、公演日によって2つの別の役もやるみたい。

 今日、3月23日は・・・

 ん?
  
 『Little Sister』

 シスターってことはお姉さん?

 シンデレラの継母の連れ子の意地悪な2人のお姉さんのうちのひとり・・・・。

 女の人、足りなかったの・・? と一瞬混乱する私と娘(13歳)。

 いや、そんなはずはないでしょう。

 「男性不足」ならまだしも、バレエの世界で女性が足りなくて男性が女性役を演じるなんて。


 もしかして今日のこの舞台ってコメディだったの❓

 それとも、男性が真面目に女性役を演じることも・・・実はバレエの世界ではありだったりするんだろうか・・・



 と、バレエ鑑賞歴の浅い私たちはあれこれ考えてしまいましたが、

 ステージが始まってすぐにあっという間に納得

 
 だって、シンデレラのお姉さんって、ガサツで図々しくて・・・

 繊細なイメージの強いバレリーナさんたちが演じるにはちょっと無理があるってことで、あえて男性が演じて、それでちょうどいい感じ。

 最後のガラスの靴が小さくて足に入らないところも、そのままで十分リアルww


 そして、意地悪なお姉さんたちを男性が演じている、という設定だからか、この2人のやり取りが実にコミカルに面白く表現されていて、そのあたりは完全に観客の笑いを誘うような演出になっていて・・・

 ここで「海外で楽しむバレエ」の良さを実感し、めちゃくちゃ幸せな気分になってしまいました。


 周りの観客と一緒に笑える。

 これは、かなり嬉しかった。

 バレエはセリフがないですからね。

 なーーんのハンデもなく、周りの人と全く同じタイミングで笑えるわけですよ。

 これは、いい。

 今回コメディ要素の多いステージを見て、思いっきり実感しました。

 これで、自分がちょっとバレエをかじったことがあったりすると、ステージ上の人たちのすごさが実感できたりして更に深く楽しむことができるのかもしれませんが。


 ということで、この日、みんなが知ってる夢のストーリー【シンデレラ】は、観客としてのハンデキャップのない」バレエへの好感度をぐっとアップさせてくれたのでした。<<後日談>>
◉パンフレットの中の登場人物紹介ページ。

「二人のお姉さん」は、よく見ると完全に男性w
ここに写っているのは『YOSHIYA SAKURAI』さんではないようですが。


◉アルバータバレエ団の所属ダンサーとして紹介されている28人のうち7人は日本人でした。これにもびっくり。


◉この日『Little Sister』を演じていた櫻井芳哉(さくらいよしや)さんのインタビュー記事を発見❗;http://torja.ca/hiro-room1703/