やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

行ってみたケニア −2011 Nov.− 雨にも負けず・・・でも、ちょっとだけ夢やぶれ。

 「ケニア旅行は11月の犠牲祭休みの時にしよう。」
 今年の夏休みの旅行地の最有力候補であったにも関わらず、このような結論を出したのは7月上旬。ナイロビにある某旅行会社から届いた見積もりのメールを見たのがきっかけでした。

 もちろん8月のこの時期が最もハイシーズンであることは知っていました。つまり、最も多くの観光客が集まり、サファリも混み合っている時期なのです。
 できればたくさんの人よりもたくさんの動物を見たなあ・・・とは、たぶん誰もが思うことでしょう。

 そんな中、6泊7日のツアーで大人1名US$1,670、子ども1名US$1,160。これにカイロ−ナイロビ間の航空券をプラスすると軽く60万円は超える・・・という我が家の家族旅行史上、間違いなくトップに踊り出てしまうような金額を見た私たちは、

「もうちょっと安い時期にしてみる?」「もうちょっと空いてる時期にする?」と、だんだん消極的になってしまい、
結局夏休みの旅行先には【ラマダン中のドバイ旅行】を選んだのでした。(結果的にはずいぶん楽しめましたが。 http://bit.ly/v7zRXW

 
 それでもすでにケニア旅行を経験した人や、まさに今、旅行を計画している人などと情報交換をしてみると、許可された車のみしか入れない国立公園や保護区に連れて行ってもらい、野生動物たちとの出会いをセッティングしてもらえるようなサファリ・ツアーの場合は、そう簡単に「破格値」や「気ままな観光旅行的な価格」は期待できないことがわかってきました。
 「みんな一生に一度だから・・・という思いで、高額払ってでも行っちゃうんだよね。」・・・ そういえば誰かが言ってたっけ。


 ところが、ところが、夏休みも終わった9月半ばのある日、カイロ在住の友人Fさんが手渡してくれた1枚のチラシを見て、思わず「おぉ!」と声を上げてしまいました。

【大自然ケニアの旅5日間 11/6(日)〜11/10(木) お一人様US$820- お子様一名様US$550-】

 「これはお得!今までこんな金額のケニア・ツアー見たことない。もう行くしかないでしょう!」と自信満々、行く気充分のFさん。

 「なんでこんなに安いの?」と逆に慎重になり、スケジュールや滞在先を注意深くチェックしてしまった私。

 でも結局、これはカイロ市内の旅行会社『TEMO TOURS』さん※の“スペシャル・プロモーション価格”であると聞き、よほど内容に不満がないのであればこのツアーで行ってみよう、と前向きに検討を始めました。

 そして4泊5日という多少短めの日程ではありましたが、
【家族4人で合計US$2,740 + カイロ−ナイロビの往復航空券(4人分)US$2,042 = US$4,782 ≒ 37万円強】という驚きのスペシャル・プライスで、このツアーを紹介してくれた友人Fさん親子と一緒にケニア旅行を楽しむことに決めたのでした。

 なんてラッキーな私たち。
 この金額なら、一人US$400はするという【バルーン・サファリ】(熱気球に乗って空の上から大草原や動物たちを眺めることができる)だって夢じゃなくなるんじゃない? だって最初の見積りよりも20万円近くも安い金額で行けちゃうんだもん!
 写真はこちらのブログから http://bit.ly/uv1HiB

 と、心はすでに映画『愛と哀しみの果て』の世界を漂い始めておりました。

 『Out of Africa:愛と哀しみの果て』(1985年)



さぁ!いよいよケニア旅行!!


<1.マサイ・マラ国立保護区: 11/6〜/8 : Mara Simba Lodge http://www.marasimba.com/page.php?id=3 2泊>
 
 11月6日。ナイロビから西へ約5時間(256km)、マサイ・マラ国立保護区へ。
途中、グレート・リフト・バレー(Great Rift Valley:大地溝帯)をビュー・ポイントから眺め、

 ←アフリカ大陸を南北に貫く巨大な谷。総延長は7,000kmもあるとか。ちなみに日本の本州の長さは1,300kmだそうです。そんなに巨大でも「谷」などと言っていいのだろうか?


いかにも「アフリカ〜〜!」という印象の景色を眺めつつ、西へ西へと移動するうちに・・・

 
雨。
そう。11月のケニアは、ガイドブックによると「小雨期」
一日中降り続くことはないにしても、時には「スコール」に遭うこともあるとか。
いずれにしても、カイロではほとんど雨に降られることのない私たち。
窓にポツポツと落ちてくる雨も、ワイパーをひっきりなしに動かさなければならないような雨も、なんだか新鮮。
特にスコール的なのが来たときには「うわぁ〜〜!!これが雨だよねえ〜〜」となんとなく心が弾んでしまったりもしました。
  ←つい、こんな写真まで撮ってしまったり。車の窓を打つ雨とその向こうの景色。

 そのまま午後2:30に宿泊予定のロッジに到着した時も土砂降り状態。子どもを抱っこしたりおんぶしたりの状態で傘をさし、なんとか部屋に到着。
「やっぱり雨のある生活って大変。」としみじみ。

 そんな雨も、夕方からの初めての「ゲーム・ドライブ」(←サファリ・カーで動物に会いに行くことをこう呼ぶようです)の時にはきれいに上がってくれた・・・というありがたさ。
 
 それでは、これからこの車で国立保護区へ・・・
 いってきま〜す!


 では、マサイ・マラで私たちが出会った動物たち(の一部)をご紹介しましょう。
 キリンやシマウマ
 ゾウ
 あくびをするライオン 
 トボトボ歩くライオン
 なんだか知らないけどひたすら走っていたヌー
 頭の大きさ(角の立派さ)が印象的だったバッファロー
 お互いの背に首を預けて休憩中(?)のシマウマ
 ゾウはとにかくたくさんいて、車のこんな近くまでものっしのっし歩いて来ました。
 草原のアイドル イボイノシシ
 木陰で休憩中のハイエナ
 トムソンガゼルの親子(この時ふらふらと立ち上がった赤ちゃんは生まれてまだ1時間も経っていないかも・・・と名ガイドのニコラスさん)
 えーっと・・・これはなんだったっけ?
 死肉に群がるハゲワシたち・・・(臭いがすごかった)
 ハゲワシにこんな姿にされてしまったヌー


 肉食動物の捕食シーンこそ見られませんでしたが(小さい子供もいるので無理のないスケジュールをお願いし、最もチャンスがあると言われている早朝のゲーム・ドライブはパスした、というのも一因かもしれませんが)、ヌーの死肉に群がる鳥たちの凄まじいシーンをすぐ近くで見たときには、そのなんとも言えない臭いと不気味な声、鳥たちのぶつかり合う音と目の前にまで飛んでくる羽に圧倒されました。子どもたちも固まった状態で凝視していました。

 そして、名ガイドニコラスさんが何度となく言っていた言葉・・・
「この時期のマサイ・マラは本当にきれいです。」
 雨期に入っているため草原の緑が生き生きとしており、数ヶ月前とは比べものにならないくらい色鮮やかなサファリの風景を楽しむことができる、と言っていました。
 
 その季節ごとに、違った顔の草原とそこにいる動物を楽しむことができるというケニア。
本当にその通りなのかもしれません。

 夕日も見事でした。


 
 私の10年以上前に購入したごく普通のデジカメでもこれだけの写真がガッパガッパ撮れました。
 自然の姿って、本当にすごいですよね・・・。

 と、かなり満足度の高い「マサイ・マラ」での、2日間、3回のゲームドライブだったのですが・・・・・・・。


 あれ??
気球は??


 熱気球に乗ってどこまでも続く草原の上を漂い、そこを駆ける動物たちを空から追いかける、という夢のようにスペシャルな私のオプション企画は、
実は、儚く「夢」と消えてしまったのです。


 ルクソールでの気球・ツアー(熱気球に乗って上空から遺跡群を眺める)に、二度もフラれている私たち。
 またしても、夢破れました。
 


 理由はこちら。

これが、熱気球の下に取り付けられているカゴ。人が乗る部分の「実物」だそうです。

 あまりに大きい。


 子どもたちはこの中にすっぽり入ってしまい、ここから外の風景を見ることなんてできやしません。
「一緒に空から動物サンたち、見ようね!!」と、夫がそれほど興味がない(あるいはUS$400を出してでも見たい!!というレベルのものではない)ということを知ってからは、子どもたちをこちらに引き寄せる感じで勝手に気分を盛り上げてきていました。


 しかし・・・。
ホテルのロビーでバルーン・サファリを申し込もうとした瞬間に、乗るのは誰?と聞かれ、
ほぼ即答状態で「無理です」と言われてしまった私たち。
いや、私はかろうじて(?)OKでした。
でもここで、「じゃ、ごめんね。ママだけ行ってくるから。」・・・・・とは、さすがの私も言えませんでした。


「OK。わかりました。来年、また来ます。」と動揺を隠しつつ、笑顔で(?)答えた私。
 横からは「いや、来年でもまだ無理だと思うけど・・・」とつぶやく夫の声。


いいんです。
夢は叶えるために存在するもの。

もしかしたら、こんな感じだったらルクソールでのバルーン・ツアーも無理かもしれないけど
でも、いつか、きっと・・・・。
 
そんな思いを抱きつつ、2泊3日の「マサイ・マラ国立保護区」を後にしたのでした。




<2.ナイバシャ湖: 11/8〜/9 : Lake Naivasha Country Club 1泊>

 11月8日。今度は「ナイバシャ湖」という湖に向かいました。
ここでのメインは『ボート・サファリ』と『ウォーキング・サファリ』

 そう。動物たちが普通に草を食んでいるエリアを、自分たちの足で歩くことができるのです。
もちろんここ、ウォーキング・サファリができる三日月島と呼ばれるエリアにはキリンやヌーなどの草食動物しかいません。(「肉食サン」たちがいたら歩けないし・・・)
草地を散歩していると、向こうでキリンがアカシアの葉を食べていたり、ヌーがこちらを見ていたり(気のせい?)します。
 かなり間近で見られます。
 実は後ろにキリンが写っている・・・
 ヌーも、ヌーっと現れて・・・(すみません)

 ↑この三日月島に到着するまでは、ボートで1時間弱、湖の上を散歩しました。
 鳥だらけの島
 まだ元気な素振りの草太 
 あっさり眠ってしまった草太(なので、この後のカバたちは一切見ることが出来ず)

 カバさん発見!
 カバさんたっぷり。その昼寝風景はあまりにも無防備。

 実はずっとこんなにすごい雲が垂れこめていたのに、結局雨は一度も降りませんでした。これはかなりラッキーだったと言うべきでしょう。

 尚、ナイバシャ湖滞在で忘れてはならないのが、宿泊したロッジの庭の素晴らしさでした。

 『レイク・ナイバシャ・カントリー・ロッジ』
まあ、古き良き時代の英国の忘れ物ですか??
という感じの、それはそれは広くて綺麗な庭が広がっていました。

子どもたちはこれでもか!というくらい走りまわることができ、
母たちはパラソルの下で優雅に午後のお茶を楽しむことができ・・・

ここはもう1泊くらいしても良かったなあ・・・という感じでした。
 到着後、すぐのランチタイムに1枚。

あ、そうそう。
なぜかここで、ラクダを見かけました。
緑豊かな英国風ガーデンの中を歩く2頭のラクダ。
 

カイロで見慣れているはずのラクダなのに、なぜかひどく妙な違和感。

そう。
やっぱりラクダには砂漠が似合うのです。
殺風景な茶色い風景ではなく鮮やかなグリーンを背景に歩く姿は、なんだかとても居心地が悪そうに見えたのは私だけでしょうか?

でもやっぱり、なんか変な感じですよねえ?





<3.ボゴリア湖:11/9〜/10: Lake Bringo Club 1泊>

 11/9 「ナイバシャ湖」を出て今度は「バリンゴ湖」へ向かいました。ナイバシャ湖から約4時間。ちょうどお昼ごろにバリンゴ湖畔の『レイク・バリンゴ・クラブ』というロッジ到着。ここは宿泊客数よりも美しい野鳥の数の方が明らかに多い・・・という感じのロッジ。昨日泊まった『レイク・ナイバシャ・カントリー・ロッジ』と同系列のホテルだったらしく、庭の美しさもみごとでした。宿泊ロッジすぐそばの湖からは、時々何とも表現の仕様のないカバの雄叫びのようなものも聞こえてきました。


 この鳥たち、ホンモノです
 
 「部屋はこっちだ!!」とロッジの庭を駆ける子どもたち


 さて、今回のケニア・ツアーでの最後の滞在地となるここ、バリンゴ湖での最大の目玉は「フラミンゴ」!! 

 と言っても、ロッジ近くのバリンゴ湖で見られるわけではなく、そこから車で1時間ほどのところにある「ボゴリア湖」へフラミンゴの群れを見に行きました。
 ケニア・ツアーでの「フラミンゴ」と言えば、有名なのが「ナクル湖」。日本からのツアーなどでも「マサイ・マラ(国立保護区)」、「アンボセリ(国立公園)」と並んで「ナクル湖(国立公園)」はよく見かける名前ですが、私たちがケニアを訪れたこの時期はナクル湖にはほとんどフラミンゴはいない、ということでこちらの「ボゴリア湖国立保護区」が選ばれたそうです。この保護区も実は世界最大のフラミンゴの生息地のひとつとして有名だそうです。また間欠泉と熱水泉でも有名で、フラミンゴを堪能した後にはちょっとした「お楽しみ」も待っていました。


 さて、琵琶湖よりも大きなボゴリア湖を回りこんで行くと・・・

湖の一部がピンク色になっているところが、じわりじわりと見えてきます。
「フラミンゴの群れに感動した!!」という話はよく聞きますし、その美しさが歌に登場することも多いことは皆さんご存知のところだとは思いますが・・・

 確かにすごいです。
 きれいです。
 感動します

ぶわーーーーっと数羽が固まって飛んでいく姿は、人の手では到底創り出すことのできない生命力を持った美しさでこちらに迫ってきます。

 
 
  

 このくらいの数でも目一杯感動してしまったので、
もし、本当に♫百万羽のフラミンゴが一斉に飛び立つ時、暗くなる空・・・♪ などというものが目の前に広がったりしたら、ちょっとヤバいかも・・・と本気で思ってしまいました。


 フラミンゴに感動したあとは、温泉タイム。(と言っても眺めるだけ)
湖の脇で明らかにお湯がボコボコと湧き出ているところへ行き、
 向こうの湖の水辺にはフラミンゴが見えます。
そこで、私たちが立ち上る湯気と戯れている間にもう一台の車のドライバー・ガイド、パトリックさんが「温泉卵」を作ってくれました。
 もうすぐできるぞ、温泉卵
 できたてゆで卵は、もちろんおいしくいただきました。



 名残惜しい気持ちでボゴリア湖を後にし、

 途中、こんな真っ赤な川のようになった道をザバザバと進みながらロッジに向かいました。
 赤土(あかつち)の道路に雨水が流れると、すぐにこんなすごい状態になるようです・・・


 すると・・・・!!
 
 
 結局、ツアー最初のゲームドライブでも、ボート・サファリやウォーキング・サファリでも、そして今日のボゴリア湖でも一度も雨に降られなかった運の良い私たち。(長距離の移動中には何度も降られましたが・・・)

 さらに、カイロではまず見られないであろう「虹」という素敵なプレゼントまで見せてもらえたのでした。

 


<あっという間に最終日。バリンゴ湖⇒ナイロビへ>
11/10 最終日の朝。
 夜中に降っていた雨も上がり、爽やかな朝日が部屋に入り込みます。
 澄んだ空気に誘われて、湖の方へ歩いて行くと・・・
 朝日に輝くカバさん
実はこの湖にはかなりの数のカバが生息しているようでした。
 
久しぶりに一眼レフを携えてケニアにやってきたパパは、最後に思う存分写真を撮ろう・・・という意気込み。
それを肩の上で見守る(?)息子。
 

でも、そろそろチェックアウトの時間です。


バリンゴ湖からナイロビまでは5時間弱。
あっという間の道のりでした。



 ナイロビ市内のレストランには、今回の旅行でお世話になったケニア現地手配会社「オリエンタル・ディスティネーションズ」のミータさん、サガさん親子も駆けつけてくれてみんなでランチ。
 ミータさん(後列右)、サガさん(後列左)、ドライバー・ガイドのニコラスさん(前列右)とパトリックさん(前列左)

 さらに、この日はツアー・リーダーの中川さんのお誕生日ということで大きなケーキが登場したり・・・非常にアットホームな雰囲気で4泊5日のツアーは締めくくられました。


 今、私たちが住んでいるカイロからは、多くの人が休暇を利用して訪れているケニア。
それぞれの時期/季節にそれぞれの見所がある、とガイドブックにも書かれていましたが、確かにその通りだと思いました。
ただ、本当の雨期(大雨期)となる4〜6月頃は雨のためあちこちで通行止めとなったり、宿泊施設が営業をストップすることがあったり、ゲームドライブそのものもできなくなることがある、とも聞いています。

 自然と向き合うツアーですから、何が起こるかわからない、というのもある意味楽しいことなのかもしれませんが、やはりせっかくのケニア、いい思い出がたくさんできるに超したことはないですよね。


 これからケニアを訪れる皆さんが、素敵な思い出をたくさん作ることができますように・・・・。



 今回のケニア・ツアーをより充実したものにしてくれた名ガイドニコラスさんと。私がかぶっている帽子は、今回のツアー参加の記念として(?)ツアー会社さんよりいただいたものです。(帽子についているあご紐は、風が強い季節にはマストだそうですよ。)




※TEMO TOURS(ティモツアーズ) 
Japanese Department Manager:Hiromi Nakagawa
20 Zamzam st.Mohandessin Giza Cairo - Egypt
Tel: +20 (02) 3762 7251/ 3335 1690/ 3335 0625
Fax: +20 (02) 3335 1620
http://www.temotours.com/




<おまけ>
今でもとっても不思議なこと。
在住日本人も少なく、(カイロに比べると)そんなに需要は高くないと思われるのに、
どうしてナイロビ市内のスーパーで売られていた醤油はこんなに安かったのだ??

※量販店でコーラと一緒に無造作に並べられていたキッコーマンの醤油・・・約250円という驚きの安さ!! ちなみにカイロではこの3倍ほどの値段で売られています。