やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

「よさこい・ソーラン」だけじゃない・・・・カイロでは【ニャティティ・ソーラン】

 
 9月に新学期(2学期)が始まって数日経ったころ、学校から帰ってきたみどり(長女・7歳)がこう言いました。

「今度ね、運動会でにゃてぃてぃそーらん踊るんだよ。お母さん、知ってる?」


 「ん?なに? ナテティ??」

 「にゃてぃてぃそーらん。 知ってるでしょ?」


  知ってるでしょ?と言われても、舌っ足らずの彼女の口から発せられた、初めて耳にするその固有名詞らしきものは、二度聞いてもきちんと聞き取れず、


「踊り? よさこい・ソーランじゃなくて・・・?」

   確か去年は日本人学校の運動会で児童・生徒が「よさこい・ソーラン」を踊っていたっけ・・・と思いながら言ってみると、

「ちがうよー。にゃてぃてぃ!ケニアの踊りなんだって。」
 

 ん? なぜカイロでケニア??
ま、近いといえば近いですけど。


 ということで、さっそくYouTubeの映像で見てみることにしました。

「えー・・・っと、なんだっけ? どうやって書くの?」と、その表記をみどりに聞くと

「[に]に小さい[や]、[て]に小さい[い]・・・」
正確に日本語の綴りを聞いて、やっとわかったその名前
ニャティティ・ソーラン
 
 検索してみたら、確かにありました。

 でも、この【ニャティティ・ソーラン】そのものの映像は意外に少なく・・・
というか、まともに載っているのは、このどこぞの小学校の運動会らしき映像くらい。
http://bit.ly/qhtxQv

 映像では少ないけれど、普通にGoogleで検索してみると、
「わが子が運動会で【ニャティティ・ソーラン】を踊ります」というママ・ログ(育児ママのブログ)がちらほら。

 それから、
『すぐにできる!楽しいダンス〈1〉よさこいソーラン・阿波踊り編』(東京教育技術研究所/向山洋一/汐文社)という本の中に[ニャティティソーラン―アフリカの踊りをとりいれて]という章があり、

『楽しい体育の授業』という明治図書の教育雑誌でも [大熱狂の運動会種目]という特集記事の中で“子どもにも保護者にも大人気の踊り ニャティティソーラン人気はすごい!”と、取り上げられているようです。

 やはり、それなりに知られている踊りなのでしょうか?

 
 でも、その割りには今まで全く耳にしたことがなかったよなぁ・・・

と思ってよく見ると、これらの記事や書籍の日付は全て2009年以降。

 この【ニャティティ・ソーラン】って、けっこう最近流行りだしたものかも・・・

そう思ってちょっと調べてみると、この踊りにはなにやら非常におもしろい背景があることがわかりました。



<【ニャティティ・ソーラン】誕生秘話> 

 まず、この“ニャティティ”というのは、ケニアの奥地に住む「ルオ族」の伝統楽器だそうです。 


 で、この楽器は伝統的にこのルオ族の男性のみが演奏するもの・・・とされていたのですが、
 そこにアフリカ音楽に魅せられ、当地のニャティティ名人に弟子入りすべく、たった一人でルオ族の村に入っていった女性がいたそうです。

 その人の名は「向山恵理子」・・・そう。日本人です。

 もちろん外国人である、しかも女性である、ということで最初は断られますが、最後には彼女の熱意が通じ、その演奏技術を伝授してもらい、しかものちにはケニア建国以来初の外国人演奏家として、ケニア国内でこのニャティティのライブ演奏まで行うようになったそうです。 <参考:http://bit.ly/qqvMCJ

 なんというサクセス・ストーリー!!


アニャンゴ(Anyango、本名:向山恵理子、1981年 - )は、東京都出身の女性ヴォーカリスト、東アフリカのルオ族の伝統楽器 "ニャティティ"(写真参照)の世界初の女性演奏家である。http://bit.ly/qqvMCJ


 その後、アニャンゴこと向山さんは、日本各地でも演奏会を行い、また数々のお祭りでその演奏とニャティティに合わせた踊り披露してきているそうです。


 そして2008年6月、札幌。

 そう、みなさんご存知の日本最大級のお祭り「YOSAKOIソーラン祭り」に、この世界初の女性ニャティティ演奏家アニャンゴ率いるダンス・チームが参加。この時に披露された踊りが【ニャティティ・ソーラン】として、その後じわじわと日本全国に浸透しつつある・・・ということのようです。

 残念ながらその時の映像を見つけることが出来ず、本家本元の【ニャティティ・ソーラン】を確認することができないのですが、今や日本の初夏の祭りの代名詞ともなった(?)「YOSAKOIソーラン祭り」と、ケニア伝統芸能「ニャティティ」の音楽とケニアダンスのコラボ・・・さぞ素晴らしかったことでしょう。う〜む。ぜひ見てみたい。


  さてさて、そんなすごい背景を持つなんて知ってか知らずか・・・

「ニャティティ・ソーラン踊りたくないなぁ、あたし下手くそなんだもん」などと、このところ後ろ向きの発言が目立つみどり。 

 たしかに難しそうな踊りではありますが・・・どうやら彼女は踊りがニガテなようです。


 いよいよ今週金曜日に迫ったカイロ日本人学校の運動会

 当日は、どんな【ニャティティ・ソーラン】が見られるか楽しみです。