〜ブダペストの映画館で初めて見た映画は、日本やらアメリカやら中国っぽいのやらハンガリーやら・・・が入り乱れていました〜
昨日は初めて映画館で映画を見ました。
1月13日(月)
日本では「成人の日」だった昨日、子どもたちはもちろん普段通り学校に行きましたが、なんと夫の職場(国際交流基金ブダペスト日本文化センター)は「休館日」、つまりお休み。
ということで、二人で映画を見に行くことに。
もちろん映画館で映画を見るのはハンガリーに来て初めてでしたが、ほとんどのショッピングモールには映画館(シネコン)が入っていることが確認できていたので、とりあえず家から近い『Mammut shopping center』に入っているシネコンあたりに見に行ってみよう、ということになりました。
前日の夜、「さて何を見ようか」と上映映画をネットで検索。 http://www.cinemacity.hu/en/Mammut
すぐに映画館と上映作品情報はGETできたのですが・・・
当然のことながらここはハンガリー。
ハリウッド映画があっても、そこに付く字幕はハンガリー語。
こういう状況では“セリフに頼るストーリー”の映画はちょっとキケン。
そう。
言葉(セリフ)がしっかりわからないと内容が「??」となるものは避けたほうが無難、ということ。
(・・・あ、いや、夫は大丈夫なようですが、と念のため書いておこう。)
つまり
恋愛ものやヒューマンドラマよりはアクションもの。
心理戦を含んだサスペンスものよりは勧善懲悪的な水戸黄門的なストーリー。
そう思って探すと、意外に「これ!」と言ったものが見つからず。
そのうち、「よくわからない映画を見るんだったら、家でDVDやiTunesでダウンロードした映画を見たりした方がいいかも・・・」などとチラリと思い始めたその時、
さっきあっさり却下したはずの【47RONIN】を指さしながら
「じゃ、やっぱりこれじゃない?」と予告編をクリックした夫。
・・・このようなポスターを見ても、「なんじゃ、このオカルト的な作品は」という印象しか持てなかったわけですが、
並んでいる他の映画の中に心ときめくものがなさそうだ、という状況になってから改めてその予告編を見てみると、
あ、そうか、真田広之が出てるんだっけ。
へー、菊地凛子と柴咲コウかぁ。
お!浅野忠信も?
この辺りでキアヌ・リーブス以外、主な出演者はみんな日本人ということを初めて認識し、そして
・でもこれは完全なハリウッド映画である⇒つまりセリフは全部英語だけど、ほとんど日本人の英語を聞く、という状況になる。
・タイトルから察するに、これって『赤穂浪士(四十七士)』に関係あったりする?
と、なんだか急に親近感(実は赤穂浪士好き)と安心感(日本人の英語なら聞き取りやすいはず)を与えてくれる作品に思えてきたから、あら不思議。
予告編を見終わった時には、すっかり
「今のコンディションで見るに相応しいのはこの【47RONIN】しかない」
と思っていた自分にも、あらびっくり。
さて、当日。
上映時間10時からの3D上映を見ることにしました。
チケットは一人2040フォリント(1000円弱)。
平日のこんな時間とはいえ、あまりにもスカスカな感じ。
チケット購入時に見せられた座席表では、「一番後ろの席がひとつ色、変わってた(購入済みだった)よ」と夫。つまり私達とその人の3人しかいないかも・・・?
そんなことを考えながら係員にチケットを見せると、チケットをチェックし鑑賞用の3Dメガネを私達に手渡しながら、その人ははっきりとした英語で言いました。
「えーっと、ちょっと問題があるんですが。」
「これはハンガリー語です。」
ええ、そりゃ字幕はハンガリー語でしょう。
もちろんハンガリー語で解説してもらっても私たちにはほとんど何の助けにもなりませんが・・・でも大丈夫。
その辺のことは理解した上で買ってますから。
え?
そういう意味じゃない??
え?
ハンガリー語って、音声が??
えぇ??
吹き替え版なの??
「じゃ、All speak・・・ Hungarian ?? ALL?」
「吹き替え」という英語がわからずそう聞くと
(「俳優たちはみんなハンガリー語を話しちゃう、というわけ?」という質問のつもりです。念のため。)
「Yes. ・・・No subtitle(字幕もないよ)」と申し訳なそうに言う彼。
たぶん私たちが鑑賞可能なものに変更してもらえるだろうとのことで再度チケットカウンターに行くも、今、上映されている【47RONIN】はどの時間帯もハンガリー語吹き替えのみとのこと。
全部まるっきりハンガリー語じゃ、いくらなんでも・・・・ねえ。
と、思ったものの、もう心は真田広之と柴咲コウ、そしてキアヌに決まってしまっている状況で他の映画を選ぶくらいなら、・・・そうだ!ここは冒険だ!!
ハンガリー語で見てしまおう!!
ということで、
「ほんとにいいの??」という表情のチケットカウンターの人の視線を背中に感じながら、いざ、冒険の海へ・・・!
結果。
あちこちの口コミで、かなり叩かれているらしいことを承知のうえで、あえて言わせていただきます。
面白かった!!
いや、“映画そのものが”とか、“ストーリーの出来が”とか、“撮影技術が・・”とか、そういう意味ではなくて、
こんなにもセリフがわからないのに、こんなにも見事にストーリーが分かるなんて!!、
という素直な感動。
基本が【忠臣蔵】で、役者名もそのまま「Oishi(大石)」とか「Kira(吉良)」とか・・・みんなそのまんまだったのが幸いしました。(もちろんキアヌ演じる外国人サムライ等、架空の人物も登場しますが)
いきなり怪獣みたいのが出てきたり、
武士がその怪獣と戦ったり、
その武士の中でも、キアヌ・リーブスが妙に強かったり、
衣装が「これ、どこの国のどの時代のお召し物??」って感じだったり、
西部劇ばりの荒野を馬で走って行くと、小高い山に掘られたような(?)奈良の大仏もどきがどどーんと見えてきたり、
あのお坊さんって・・・日本のお坊さんじゃないよね?
あのお城って、日本のお城・・・・じゃないよね?
昔の日本人はこんなふうに妖怪と共存していたわけじゃ・・・ないよね?
という、突っ込みどころは満載の娯楽映画でしたが、
もう「娯楽映画」と割りきって、
外国人が心のおもむくまま自由奔放にちょっと昔の日本を描いてみたらこんなになりましたー。
という世界をのぞいて見るのも楽しい・・・・
と思える方は、どうぞご覧ください。
とにかくハンガリー語だけで見たとは思えない「内容理解度」に、映画の奥の深さまで感じたりもして・・・
(決して語学力の問題ではなく、むちゃくちゃわかりやすい映像と多少の歴史的知識のみで何が起こっているのかがわかる、というストーリー展開ゆえ、です)
なかなか面白い体験をすることが出来ました。
そうそう。
メインキャストはほとんど日本人だったけど、スタッフはほんと「普通のハリウッド映画」って感じで外国人の名前ばっかりだわー・・・などと思いながらエンドロールを眺めていたら
Budapest Unit1
という文字が上がってきて・・・・
ん?
なんでここにハンガリーが出てくる??
と思っていたら
Budapest Unit 2
というのも下から上がってきて・・・・
あとから知ったのですが、この【47RONIN】、最初の撮影が行われたのはなんとブダペストだったそうです。(撮影開始日:2011年3月14日。http://ja.wikipedia.org/wiki/47RONINより)
そっかー・・・
やっぱり、これってハンガリーに来たばかりの私たちが見るべくして見た映画だったんだー・・・
なんて思ったりもした、話題豊富なハリウッド映画のお話でした。