やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

こんなの、悪くないんじゃない? 


 日付がもう変わっているので、6月28日(金)になっていますね。

 もう随分前から呼びかけられているらしい、6月30日(ムルシィ大統領就任一周年の日)の【ムルシィNO!!】の大規模なデモ
 そのデモを直前に控えた「デモ曜日」とも言える「金曜日」。

 数日前から、万が一の時のためにとりあえずガソリンを満タンにしておこうという車たちが、街のあちこちのスタンドにどわっと押し寄せ、それも、「ガス待ち車」で車線ひとつが占領されるだけならまだしも、火曜日は四方八方から周りの道を全く無視して、とにかくちょっとでも入り込めるスペースを見つけて割り込みながらガソリンスタンド内に侵入しようという車で、シャレにならないくらいの大渋滞になったりもしていましたが・・・


 26日(水)家の近くのムサッダク通りのガソリンスタンド近く。右手に見える椰子の木の向こう側がガソリンスタンドで、ここは十字路の交差点になっているのですが・・・。買い物袋が積まれたカートを押してデリバリー中のスーパーマーケットの店員が周りを車に取り囲まれ動けなくなってます。


 でも、また一方で、今日の日本人学校の下校スクールバスはいつもより15分ほども早く到着。
「タクシーやバスがいつもより少なかった(から渋滞がなかった)」と添乗員のマハムードさん。
想定外の大渋滞に巻き込まれるくらいなら・・・と営業を控えるタクシーなどが増えている、ということ?

 よくわからないけど、なんとなく普段と違うような動きが予想される時はお出かけを控えるのが無難かな・・・と、そんな感じの週末。

 というか、大使館からも「これでもか!」というくらいに『デモ情報』が流れてきているので、この週末は皆さん自宅でゆっくり・・・ということだと思いますが、これからご紹介したいのは今週の月曜日のこと。


 いつものように自宅からタクシーで10分程度のザマーレク地区へ行った時のことです。
道が二股に分かれていて、多くの車が右側の方へ行くのでどうしてもその分岐点がちょっと混み合ってしまう、という場所があります。でも車の流れが止まってしまうほどでもなく、タクシーはそのままゆっくり右方向へ。
と、私が乗っていたタクシーよりも更に左側から右側の道へ入るべく、一台の車がゆっくり曲がって来ました。

 その車に乗っているのは2人の男性。左側からググっと右折しようとするその車は、こちらのタクシーにググっと近づいてきます。近づいた車の大きく開いた窓から助手席の男性がこちらのタクシーに向かって何やら叫んでいます。
「・・・あ、(こっちのタクシーの運転手に)道を聞くつもりだな。」 その動きですぐにピンときました。


 ところが。

 道を聞いてくると思ったその助手席の男性は、「◯◯へはどうやっていくんだ?この方向か?」などと叫ぶ代わりに、1.5Lサイズのペットボトルをぐいっと窓の外に突き出したのです。
 さっきまでキンキンに凍っていたのだろうけど、この陽気でだいぶ氷も溶け、ちょうど飲み頃になった感じのほどよく汗をかいたそのペットボトルを、こちらのタクシーの運転手はむんずとつかみました。

 そして。

 ゴクゴクゴクと、それはそれは美味しそうに飲み、
 そしてまた隣の車へ。

 助手席の男性はそれをまた受け取り、爽やかにタクシーを追い越して行きました。

 そのあまりにもスムーズなやり取りに一瞬あっけにとられましたが、この状況を目撃して、どうしてもそのまま黙っている訳にはいかない気持ちになり

「友達?」
 と、とりあえず知っている単語1語で聞いてみました。

一瞬の間もなく、「いや」 と返ってきた、その予想通りの返事に思わず噴き出すと、


そんな私の予想通りの反応にちょっと満足気にニヤリとしながら、
「マスリー」と、さらに一言。


「マスリー」=「エジプト人」


「それがエジプト人ってものさ」
「俺たちゃ、エジプト人だからな」
そんなことを言いたかったのでしょうか。


 そして、
日本ではたぶんあり得ないだろう光景を目の当たりにして

「ヤバイ・・・私、こういうのキライじゃないし。」と妙に楽しい気分になってしまい・・・。




いろんな“エジプト人気質”というのがあります。

でも、こういうのって私は悪くないな、と思うのですが。



とか言いつつ、
あまりにも度が過ぎた“人懐っこさ”にうんざりする日も、もちろんありますが。



こんな人達も、明日(いや、今日)、そして30日はデモに参加するのかな。
お調子者も、おせっかいも、のんびり屋も、ヘラヘラにやついたヤツも、国を再建するためにデモに参加するのかな。