やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

<退避帰国日記:1月25日>

〜始まりは「警察の日」〜

 もう今となっては「今さら・・・」という内容ではありますが、

 今回のエジプトでの一連の反政府運動(と一言で括っていいのかはわかりませんが)の始まりは、この1月25日の「警察の日」に行われた『ムバラクNO!』のデモだったと言えると思います。

 もちろん、そのきっかけとしてはお隣の国(実際は隣の隣ですが)チュニジアの1月の「ジャスミン革命」の影響大だったと多くの人が言っており、それは間違いのないことなのだと思いますが。


 で、その「警察の日」っていったい何?
と、私のような在住外国人は思うわけですが、
なんでも聞くところによると、“去年突然できた休日”だとか。

 『いつも私たちを守ってくれている警察官のみなさんに、みんなで感謝しましょう』
ということで作られたらしいけれど、結局
 『安月給で働かされている彼らに注目させ、持ち上げる日』
じゃないか、というような説明をしてくれる人が多かったです。

 そして今回のデモも、この日が「警察の日」だから起こったというわけではなく、やはりたまたまその直前に起こった「ジャスミン革命」の興奮・高揚感がエジプトの人々をこのタイミングで動かした、というのが多くの人の見方のようでした。
 

 いずれにしても我が家にとっては
・子どもたちの学校は休みである。
・よって、私は6時前に起きてお弁当を作る必要がない嬉しい日である。
・でも夫の職場(国際交流基金)は日本の組織なのでエジプトの休日が全て休みとなるわけではなく、この日は普通通り出勤する日である。

 これ以上、別に特別な日ではありませんでした。


 しかし、

 1月25日。
 この日は火曜日で私の週1回のアラビア語のレッスンの日だったのですが、当日の朝、先生である駐在員の奥さま(日本人)から届いたメールには
『今日はこれから不測の事態に備えて避難用スーツケースを作るので、レッスンはお休みさせてください』

 これにはかなり驚きました。

 確かに数日前から
「25日の警察の日に大規模な反政府デモを行おうという呼びかけがネットで広まっている」という話はママ友の間でも出ていて、「不用意に出かけない方がいいかもね。」という雰囲気にはなっていたのですが・・・。


 正直言って、
「避難用スーツケースゥ〜〜〜〜??」
という感じでした。

 が、今思えば、このOさん一家が、私が知るカイロ在住日本人家族の中で最も“危機管理意識”が高かった・・・ということになったわけですよね・・・。


 そんなわけで週1回のアラビア語レッスンもなくなり、この日は子どもたちは家で遊び、私もTwitterでの「デモ進行状況実況Tweet」などをチェックしながら家でおとなしく過ごしていました。

 Twitterでの実況Tweetのほかに、私のケイタイにはもう一つ、ポツリポツリとリアルな情報が入ってきました。
 10:51 おまわりさんがいっぱい!
 16:39 かなり荒れてます! まだもうちょっと外には出たくないなあ。
 18:09 こうじさん(職場の次長)とクルマで帰宅中。

 今回のデモの「舞台」となったタハリール広場と目と鼻の先にオフィスで仕事をしている夫からのケイタイ・メッセージ。
結局この日は、いつも使っている地下鉄の入り口まで歩いて行くことができず、次長に送っていただいてなんとか帰宅。
 この段階で「明日の午前中は自宅待機になったから」とのこと。

 職場周辺は、本当に想像以上のすごさになっていたようでした。

 既にご覧になった方も多いかと思いますが、職場の窓からはこんな風景が見えたそうです。
http://bit.ly/gYtGQu
(「むらログ」より)

 
 とりあえず、夜には広場に集まっていた人たちは強制退去させられたそうですが、いつまた突発的に何かが起こらないとも限らない・・・そんな緊張感をちょっと残したまま、25日は過ぎていきました。

 が、この時はまだもちろん、家族そろって国外退避なんてことになろうとは夢にも思っていませんでした。(少なくとも私は)