やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

エジプト大統領選挙の投票日、初日が終わりました。

 「とりあえず5月は様子見だよね、大統領選挙もあることだし。」


 今年に入ってから何度そんな言葉を聞き、自身も何度口にしてきたことか・・・と思うんですが、意外にも、驚くほどあっさりと世紀の大選挙【大統領選挙】の投票初日が終わりました


 今回の大統領選挙。いわゆる「選挙活動」というものは4月30日から始まっていたそうです。


 そういえば、私たちが住んでいるアパートの周りに急に選挙用ポスターらしきものがベタベタ張られだしたのも4月後半でした。(でも4月30日よりも前だったよなー・・・)


家の周りで最もよく目にしたポスター
 
まずアパートの目の前のミダン(Square:小さな公園のようなところ)の周りが埋め尽くされ、
 すぐ横の建設中のビルの柱にもベタベタ
 
そこに停まっているトラクターにも
 
道を挟んだこの家はかなり熱心な支持者らしく自宅の塀もポスターだらけ

 でも学校の塀にまで・・・ってのはやりすぎでしょう。翌日にはかなり剥がされていました。


 で、この人はいったいだれなんだろう?
と思っていたら、立候補者13人の中でもかなりの有力候補《アムル・ムーサ》であることがだいぶ後になってからわかりました。(いえ、分かる人はすぐに分かるんだと思います・・・・)


 アラブ連盟前事務局長で、その前はムバラク政権下で外務大臣を務めたこともあった《アムル・ムーサ》候補。
 “旧体制側の人間”(ムバラク関係者)として彼を嫌う人もいる中、それでも「イスラム一色の政権になると困る」という考えを持つ人たちの一部からは支持を得ている、ということなのだろうと思います。


 
 次によく目にしたポスターは


 こちらはムスリム同胞団(国内最大のイスラム原理主義組織)の元幹部《アブル・フトゥーフ》候補。
 “元幹部”というのがミソで、つまり「今はすでにムスリム同胞団の一員ではない」と堂々と言うことによって、「自分はムスリム(イスラム教徒)だがエジプトがガチガチのイスラム国家になってしまっては困る」というような人たちからの支持を集めている・・・と、このへんの話に詳しい友人から聞きました。
 実際、在外者投票(今回初めて在外者投票というものも行われたそうです)でも、先ほどの《アムル・ムーサ》と、この《アブル・フトゥーフ》が2トップ、という結果が発表されているようです。(本国での投票が行われる5日も前に在外者投票の結果が大々的に発表されるってのもどうかと思うんですけど・・・)

 それにしても、この《アブル・フトゥーフ》候補。
こういう思いっきり印象の違う2種類のポスターを作るってのはやめてほしい。
これ、上のポスターと同一人物に見えますか?

私はつい最近まで別人だと思い込んでいました。

え? オレンジ色の中に書かれている文字(名前)が同じだろう、って??


 そうですね。
   確かに同じです、はい。



 次によく目にしたのは



 たまたま写真に写せたのがポスターではなく横断幕ばかりですが、この人がムスリム同胞団系の候補者《ムハンマド・ムルシー》氏。同胞団傘下の「自由公正党」の党首だそうです。ムスリム同胞団として立てた候補者が選挙管理委員会による資格審査で候補者として失格してしまったので、慌てて立てた候補者・・・らしいのですが、それでもピュアな(?)イスラム教徒たちからの支持は広く集めているそうです。我が家に来てくれているお手伝いさんも「彼に投票する」と迷わず答えていました。


  その他、


 なんか“紳士”って感じもしますが、こちらがムバラク政権下で首相を務めていた《アハマド・シャフィ−ク》候補。
 シャフィーク氏は最初、立候補資格を認められず一度は「失格」となったのですが、その後意義申し立てをしたところそれが通って候補者に返り咲いた・・・という人だそうですが、でもやっぱり彼こそが“旧体制側”という印象が強く、彼を有力候補と見ている人は少ないとか。


 最後に、《ハムディーン・サッバーヒ》候補。

 
 街なかではあまりポスターを見かけることがなかったのですが、在外者投票では上位3位までに入っていた《サッバーヒ》候補。「ナセリスト党」とのことですが、これがどういう政党なのか私にはわかりません。「元人民議会議員」とも書かれていますがそれについてもよく・・・(「私自身がわからない(知らない)」ということです)
 ただ、彼が意外と票を集めるのではないかと書かれいてるものもいくつか目にしましたし、草太が通うCBS(Cairo British School)の事務のお姉さんの机の上に、この人のポスターがドンと置いてあり、彼女は「私はこの人に入れるの。ムスリムであることは大切だけど、でもこの国がイスラムだけの国になってしまっては困るから。」と言っていました。


 と、自分の覚え書きのつもりで、今回の大統領選挙の主な候補者について書いてみました。

 候補者は全部で13人とのことですが(報道によっては12人と書かれているところもあります。なぜ??)他の候補者についてはもうチンプンカンプンです。


 明日(24日)も投票は続き、結果発表は29日(火)。
 今回の投票で過半数の票を獲得する候補者がいなかった場合は、上位2名で6月16,17日に予定されている決選投票で争うことになるそうです。

 たぶん、決選投票までもつれ込むだろう、というのが大方の予想のようです。

 
 さてさて。
 どうなるのでしょう?

 明日、投票日2日目の24日(木)は、草太の学校は今日同様すでに休校が決まっていますが、みどりが通う日本人学校は、今日一日何も大きな動きがなかったことなどから明日は平常通りの授業日となりました。但し、情勢によっては急な休校措置が取られたり早めの帰宅となる可能性もある・・・と、学校側からメールが届いていました。

 でも、多分大丈夫。
 この2日間の投票日は、何事も無く過ぎることでしょう。



参考:
【中東の窓】http://blog.livedoor.jp/abu_mustafa/
【産経ニュース】http://sankei.jp.msn.com/world/news/
【アモーレ塾】 http://bit.ly/JNUUSm
【中東TODAY】http://www.tkfd.or.jp/blog/sasaki/
【H.I.S. エジプト・カイロ支店 旅ブロ】 http://amba.to/K2IMue



<おまけ>
うちの近所は、やっぱり《アムル・ムーサ派》が多い・・・の巻
 アパートの前にこんな車が・・・

 
裏のモスクの前ではこんなムーサのロゴ入りバス発見!
 数日前の午後、アパートの前で草太のスクールバスを待っていたら大音響とともにボボボボボ・・・とやってきた不思議なバイクの列。
 
背負っているのは大きな《アムル・ムーサ》ポスター。
でも、この日は5月20日。 選挙活動期間は4月30日〜5月18日まで って聞きましたけど・・・?