やっぱり『やもり通信』

海外生活一区切り。これからは日本の生活メインの内容になりそうだけど、タイトルはやっぱり『やもり通信』・・・で、いいかなっと。

リアルがバーチャルに破れた日

もちろん、そんな多大な期待は全くしていませんでした。

だって「1,000円ぽっきり」なんですから。

 

そんなものすごいアトラクションであるわけがない。

(だって映画1回分より安い)

 

でも、パッとこの写真を目にしたときは「おぉ?」って思ったし、

ikebukuro.keizai.biz

 

「天空のジップライン~大都会の空を疾走しよう!~」

 

・・・なーんてキャッチコピーは、とても魅力的。

 

そんなにすごいスリルが味わえるわけはないとしても、とりあえずビルの屋上でのぶら下がり体験なら面白いだろうし、

逆に「1,000円ぽっきり」なんだから、途中でビビって帰りたくなるくらいのスリリングすぎるレベルでは決してないはず。

 

 と、このアトラクションにfacebook上でちょっと興味を示したら、「一緒に行きませんか?」とコメントしてくれた人もいまして、早速その友人Iさんと、この猛暑の中「池袋サンシャイン60」へと行ってきました。

 Iさんが専用サイトを見つけてくれたので、それに従って行動。

 

 

 まず、サンシャイン60展望台内の専用受付カウンターで配布される「整理券」をもらうべく、10時前から展望台行きエレベーターの前で待つ。(朝10時にここに行くためには家を8時に出なければならない、という埼玉県“奥地”在住者・・・がんばりました)

 

ここが専用受付カウンター

f:id:hiragam:20190802101721j:plain

整理券番号に従っての順番待ちになるようだから、できるだけ早めに行っておこう・・・

という心配はありませんでした。

 

「あれ? 私たち2人だけ??」

 

 その後、「整理券」の提示、「誓約書」へのサイン、安全ベルトの装着方法の説明・・・あ、その前に私物は全部ロッカーに。

f:id:hiragam:20190802101737j:plain

 

 ここで安全ベルトを取り付け、ヘルメットをかぶり、私たちに続く体験希望者の姿を見ないまま、とってもフレンドリーでにこやかなスタッフさんと一緒に屋上へ。

  

 安全上の理由から私物はすべてロッカーに入れたので、屋上のその場からの景色や友人Iさんが滑空している勇姿を写真に収めることもできなかったのですが。

一応、上からの眺めはこんな感じ。

f:id:hiragam:20190802103927j:plain

f:id:hiragam:20190802104517j:plain

ただしこれは、60階の展望台〜体験型アトラクションスペース『スカイ・サーカス』〜 から撮ったものなので、「地上231m」よりはちょっと低い感じです。

 

で、このあと私たちはこの景色の上を滑空❣

 

いや、ここからいったいどこへ??

宣伝ポスターには書いてあったよね。

 

『地上231mの高さのビルの屋上内で18mの距離を滑走し、・・・』

 

目の前に広がる景色を見ながら、思わずスタッフさんに聞きました。

 

「で、どこでやるんですか?」

 

スタッフさんが指さしたのは微妙に上空。私たちの頭の上あたり。

 

そこには・・・1本のロープ。

ロープの両端は、20mほど距離をおいて置かれている2つの盆踊りの櫓(やぐら)、あるいは工事現場の足場のようなものにつながっており・・・。

 

いや、分かっていました。滑空距離は18m。

 

これは、決して長い距離じゃない。

 

まさかビルとビルの間を滑空・・・とか、そんな事を考えていたわけじゃない。

 

だって、だったら「1,000円ぽっきり」のはずがない。

 

 

でも、だったら私は何を期待していたんだろう?

 

よく分からないまま、まず友人Iさんが、あっちの櫓(あるいは工事現場の足場)からこっちの櫓(あるいは足場)へ、シャーっと横移動し、続いて私も。

 

無事対岸(?)に移動し終わった私たちを、「お疲れさまでした〜!」と笑顔で讃えてくれたスタッフのみなさん。

 

あぁ、ごめんなさい。

私は全くスリルを感じることができませんでした。

でも、暑い中、初めての試みであるこの屋上アトラクションを成功させるべく笑顔で頑張るみなさんの姿は、私には眩しく映りました・・・

 

 

 こうして、私たちは地上321mというビルの屋上での滑空アトラクションを終えたのですが、あまりの「あっという間」さに、このまま予定していたそば屋へ直行してランチ・・・という気分にもならず、ついふらふらとこの展望台スペースで繰り広げられているVRのアトラクションのひとつへ。

 

 そう。

 ここ、サンシャイン60の60階にある展望台スペースは、『スカイ・サーカス』と名の付いた体験型展望台5種類のVR(バーチャル・リアリティ)のアトラクションも楽しめるので、こちらは多くの人で賑わっていたのです。

 

  どのVRも1回500円で楽しめるということなので、その時一番待ち時間が少なかった《ウルトラ逆バンジー》やってみることにしました。

 

500円を払ったら、

誓約書にサインすることもなく、

安全ベルトを装着することもなく、

もちろんヘルメットもかぶらず、

ただ、映画館から一部切り取ってきたようなイスに腰掛けて

イスに置いてあったゴーグルを付けてワクワクしながら待っていたら

いきなりこんな体験ができてしまうVR。

www.youtube.com

・・・って、これだけじゃ内容まではほとんど分からなくて申し訳ありませんが、

とにかく一瞬にして、私は上空高く放り出され、そのままぐんぐん空を突き抜け、

あぁ・・・地球があんなにきれいに見える。そして今度は落下。ものすごいスピードで急降下!!

うひゃぁ〜〜〜・・・

 

 

こういう時代なんですね。

 

「1,000円ぽっきり」の天空ジップライン

「ワンコインVR」のウルトラ逆バンジー完敗です。

 

60階のビルの屋上まで行ったのに。

確かにビルの屋上から東京の景色をこの目で見たのに。

そしてほんの18mとはいえ、地上231mという場所でロープぶら下がり体験をしたのに。

そんな全てのリアル

バーチャル・リアリティというテクノロジーの前に一気に色褪せてしまったというこの事実。

 

リアル(現実)よりバーチャル(仮想現実・・・偽物?存在しないもの?)が面白い。

 

そういうこと。

 

この日、サンシャイン60の展望台に来ていた多くの人が選んでいたのはリアル(天空ジップライン)ではなくバーチャル(VR体験)

 

 

そのうち、登山海水浴もリアルではなくバーチャルが好まれるようになっていくのかも。

 だって、バーチャル登山なら超危険なところから絶景を見るのだって容易いし、リアルではなかなかお目にかかれないレアな生物に会えたり、珍しい高山植物を見つけることもできるかもしれない。虫に刺される心配もない。

 

 海水浴だって、沖に出てみたらイルカの群れに遭遇してそのままイルカの背に乗って海洋散歩ができちゃうかも。実際の海だったらいくら塩の浮力があってもいつまでも泳いでいたら疲れるし、陸へ帰るまでの体力は温存しておかなきゃ・・・と常に考えていなきゃだけど、バーチャルならそんな心配もないだろうし。透明度抜群のところでシュノーケリングしていたら、夢中になりすぎて背中が日焼けでヒリヒリ・・・がリアル。海にプカプカ浮きながらいつまでも魚たちを眺めていられて、なんならそのまま海の底へGo! が、バーチャル。

 

 実体験すること(=リアル)の楽しさ、ワクワク感が

 想像をはるかに超えた作られた世界(=バーチャル)を求める気持ちに敵わなくなる日が、きっと来ちゃうんだろうなー

 

 なんだか寂しいけど、これは避けられない現実なんじゃないだろうか。

 

 

 自分の中で「リアル」が「バーチャル」に完敗・・・というリアル体験から、そんなことを考えた8月のとある猛暑の日のお話。