海外生活で面倒くさいことの一つ・・・「病院」。
いや、病気や怪我の治療をしてくれたり、予防接種をしてくれたり・・・という、ありがたいところを「面倒くさい」などと言ってはいけないですが。
でも、言葉の壁があると、それがまず面倒くさい。
有料・無料、いろいろな形で通訳さんがいてくれるところもあるようですが、それでも慣れない土地(国)の慣れない医療事情の中での体調不良・・・心細くもなるものです。
我が家の場合は、村上家史上最大の「病院にお世話になりました率(※)」だったハノイのファミリーメディカルプラクティスに日本人の医療通訳さんがいてくれて、本当にありがたかったのを覚えています。
(※)当時1歳10ヵ月だった草太、ハノイ到着数日後から下痢・嘔吐。母乳すら受け付けなくなり入院、点滴。みどり(4歳2か月)も似たような症状で半日くらい点滴したし。いや、あれは大変だった。
そして、いつもため息が出るのが医療費の高さ。
日本国内だと保険証の提示で3割負担とか、子どもだと病院に行っても医療費の自己負担額ゼロとか・・・。そういう感覚に慣れていると、海外の病院で治療後に請求される金額にボーゼンとすることも少なくありません。
もちろんこの金額は「その国の公的な保険制度」に加入していないから。
なので、日本に所属機関がある場合は、そこの「共済会」等を通じて、後日、支払った金額の全額あるいは一部が戻ってくるような形になり、(全く個人での留学などというものでない限り)実質的な負担はそう多くはないのですが・・・・それでも医療費請求のための書類を整えるのが結構面倒くさかったりもするわけで(すみません💦)
それに、日本でも保険適応外とされる予防接種の金額も、なぜか海外の方が高い場合が多い気がします(※※)。
もちろんこれは国によっても違うでしょうし、その国で“どんな病院”を選ぶかにもよるでしょう。地元の人が行くローカル病院と、現地語を理解しない“外国人”のために英語が話せる医師を雇ったり、通訳を常駐させたりしている病院とではかかる費用が違っても当然かもしれません。そして、今まで住んだ国では、どこも「外国人用」の病院の方が設備も整っていて、清潔なイメージがあり、・・・それゆえかかる費用も高額だったと記憶しています。
(※※)ハンガリーで「特に子どもたちは必須!!」と言われていたクーランチ(ダニ媒介性脳炎)の予防接種は子ども2人で3万円以上しましたが、病院によってはもっと(かなり)安いとも聞いたことがあります。あ、でもカイロで受けた黄熱病の予防接種は一人1,000円しなかった。日本だと一万円以上するそうですが。このへんも「お国事情」ですかね?
と、それほど病院にお世話になることは多くない我が家でさえ、その国での医療事情はそれなりに気になるところなのですが、
さて。
カナダ。🍁
先週ちょっと右足のふくらはぎに痛みを感じたので、「こちらの医療事情偵察のいい機会」と、病院に行ってみることにしました。
「偵察」とは大袈裟な・・・という感じかもしれませんが、
「まずはホームドクターに診てもらう」とか
「医療費にはお金がかからない」とか、
ちょっと今までのパターンとは違うようなことが耳に入ってきていたので、
そして、ふくらはぎの痛みも全然深刻なレベルではなかったので、
今回はまさに「偵察・視察」。
で、結論から言うと、
タダでした。無料。
外国人の私でも。
「ホームドクター制」についても、いわゆる“かかりつけ医”のようなものを持っていない場合は
【ウォーク・イン】(Walk-in clinic/Walk-in Doctor)というところへ行けばよい、とのことなので、家から行きやすい場所にある【ウォーク・イン】を検索。
電話をしたら「今日の午後◯時にどうぞ。」とのこと。(予約も実は不要らしい)
持ち物は、この「ヘルスカード」(👈日本で言うところの保険証。これがとにかく大事らしい) と「写真付きID」(身分証明カード)
エドモントン生活が始まってすぐに市役所の出張所に行って発行手続きを取った「ヘルスカード」。家族に一人1枚ずつ発行されたけど、Personal Health Numberは家族4人とも同じ。
時間通りに行ったら、ほぼ時間通りに診察室に入れ、お医者さんに症状を説明。
「OK。じゃ、Ultrasoundのテストをしましょう。これを受付に出してね」と1枚の紙を渡してくれたアラブ系の先生。
「その検査の結果を持って、2〜3日後にまた来てください。」
受付に行って、その紙を見せると、もう1枚別の紙を手渡され、
「じゃ、この予約センターに電話してUltrasoundの検査を受けて来てね。検査はこのリストの中のどこででも受けられるから。」
どうやら自分で検査の予約をするらしい。
しかもここではなくて別の場所で。
以上で、その日の【ウォーク・イン】はおしまい。
翌日、リストの中の病院(検査場所?)の一つを予約して、再度出かけたのですが、
もともと軽い症状だった右ふくらはぎの痛みは、さらに良くなってきており・・・
普通だったら、こんなんで絶対病院なんか行かない、というレベル。
でも、予約しちゃったし・・・
今回の一番の目的は「偵察・視察」と自分に言い聞かせて、こちらへ
小奇麗な建物、入り口を入ってすぐのところにある受付は中級ホテルのフロントのようで。
ここで「ヘルスカード」と「写真付きID」を見せ、【ウォーク・イン】でもらった『要Ultrasound』と書かれた紙を渡す。
廊下の両側に小さな小部屋がたくさんあって、その中のひとつに案内されると
あら・・・なんだか見たことあるような機械。
ここで「Ultrasound(超音波)テスト」というのが、「エコー」であることに気づく・・・。
足の付根のあたりから、ふくらはぎの実際の痛みが(まだちょっと)あるところまで、とても丁寧に見てくれて
「OK. 終わりました。結果は今日中にクリニックの方に届きますよ。」
そして、最初の受付のところへ戻り・・・
さて、お会計、とか・・・??
このあと名前呼ばれたりするんだろうか?
などと思いながらほかの人の様子を見ていると、
みんな、検査室から出てくるとそのまままっすぐ出入り口へ。受付のお姉さんに軽く挨拶などをするけれど、基本、皆さんそのままご帰宅。
ふむ。検査をしても、やっぱりお金を払ってる人はいない。
その後、「検査結果」受け取りに再び【ウォーク・イン】に行った時も、
「特に問題はありませんね。」と、あっさり言われて、それでおしまい。
診察室を出て、受付の前を通る時に、一応
「検査結果、もらえました。」と言ってみたら、
「そう? よかったわね。」と(いう感じのことを)言われ、
たぶん、日本だったら必ずここで言われるだろう「お大事に」に相当するようなニュアンスで
「グッデイ」(Have a good day.)と言われたので、ここでも支払い不要を確信し、帰路につきました。
帰宅後。
「ホントに無料(ただ)だった。いや〜、ありがたいねえ〜!」と、少々興奮気味に報告する私に
「ま、その分、しっかり払ってますからね。」と冷静な夫。
確かに、それ1枚で医療費がタダになるという魔法のような(?)「ヘルスカード」を、それこそなんの理由もなくタダでもらっているはずがありません。
期間限定居住ファミリーである我が家の場合は、
日本から送金されるお金(つまり夫の給料)の25%、つまり1/4がこの国の税金として収められる・・・というシステムになっているそうです。
給料という形でなくても、海外から送金された金額の1/4は税金として差し引かれる。
10万円を日本の親から送ってもらったら、手元に届くのは(自分で使える金額は)7万5000円になる。
そういうことらしいです。
(・・・が、これがどんな場合であっても100%例外なく適応されるものかどうかなど、詳細はわかりません。すみません。)
そうして支払ったお金の一部が、今回のような形で医療費に充てられているのだとしたら、
「もう遠慮しないでじゃんじゃん(病院に)行っちゃっていいと思うよ。」と夫。
とは言っても、このように無料で受けられるサービスになっているからこそのデメリットも実はあるようです。
まあ、なんでもいい事づくし、ってことにはならないものでしょうけど。
今回、そういう「無料であるがゆえの不便さ」などを感じることもなく、スムーズにこの国の医療事情を(チラッと)「体験」できた私はラッキーだったということでしょう。
ということで、今後、もし「無料で受けられるサービスだからこそのデメリット」を体験する機会があったら、その時はまたご報告・・・ いやいや、でもそういう機会はないのが一番。
やっぱりどこにいても「健康第一」、ということで。
【おまけ】
エジプトでの黄熱病予防接種についてご興味のある方はどうぞ(6年以上前のものですが)
http://d.hatena.ne.jp/hiragam/20111204/1323044892