突然ですが、ハンガリーの日本語学習者数って、1,500人ちょっとなんですね。
あれれ? 意外に少なくない?
と思ったのは、今まで身近だった国々が、
インドネシア 87万人、
マレーシア 3万3,000人、
ベトナム 約4万7,000人、
と、たまたま
世界の「日本語学習者数トップ10」に入る国々だったから・・・ということにたった今、気付きました。
でもそんな中、
人口が300万人にも満たないモンゴルでも、日本語学習者が8,000人強なんて数字を見てしまうと、
やっぱり人口1,000万人はいるハンガリーで(あ、2015年7月現在 約990万人だそうです)日本語学習者が1,500人ってのは少ない気がします。
もちろんその国の言語政策事情(中等教育機関で日本語が教えられているか、とか)等、いろいろな要因も絡んでいるのでしょうが、
などと書いていると本題からどんどん逸れてしまいそうなので、タイトルの内容に戻ります。
ブダペストでも将棋が習えます。
日本人学校の学校行事以外でも、百人一首に触れる機会があります。
日本語学習者数がそれほど多くない割には、日本文化(日本と関わりのある様々なこと)と真っ直ぐに向き合って、それをしっかりと学んでいこうという姿勢の人が多いなあ・・・というのがハンガリーに対する私の個人的な印象。
・・・というか、ヨーロッパのこの辺りの人たちって、
日本や日本を取り巻くいろいろなことに対して、
神秘的なものへのあこがれ みたいな想いを強く持っている人が多くないですか?
そして
実益派よりも趣味派多し。
もちろん個人的な印象ですが。
ということで、
週に1回、ブダペスト市内の大学の空き教室を借りて希望者に将棋を教えてくれているラースローさんも、全くのボランティア。
参加者からは一銭ももらっていないようです。
そして、その「場所」を提供してくれているエルテ大学(Eötvös Loránd Tudományegyetem:エトヴェシュ・ロラーンド大学)は、ハンガリーの最高レベルの大学だったりするのですが、これまた『ハンガリーの人々に将棋を教えてあげたい』というラースローさん(←エルテ大学の卒業生、ということではないそうです)に、平日の夕方、日本語学科の空き教室を『無料』で提供してくれているのだとか。
なので、その将棋教室に通う人たち(・・・全くの外部の人、時には学校帰りでランドセルを背負った日本人小学生)が、平日の夕方「こんにちは〜」とか言いながら構内にずんずん入って行っても全くのノーチェック。
【関係者以外立入禁止】などとなっているところも多い日本(建前上?)とは大違いで、守衛さんたちもいつも「よ〜、こんにちは〜」とにこやかに挨拶を返しつつ、私たちを迎え入れてくれます。
エルテ大学Trefortキャンパスの入口(Múzeum krt.4)
門を入ってちょっと進むと左手に見えるB棟
ここの2階に【日本語学科】があります。
掲示板には、『将棋クラブ』の案内のほか、カラオケ屋〈どれみふぁ屋〉のチラシも(笑)
それぞれの実力を見ながら、指導してくださっているラースローさん(奥に座っているボーダーシャツの人)が対戦相手にハンデをつけてくれます。
この『将棋クラブ』、参加は全くの自由。
ふらりと来て、「将棋やりたいです。」と言えばそれでOK.
もちろん駒の基本的な動かし方などは覚えて行かないと、対戦相手の方に迷惑をかけてしまうので、そのへんは常識の範囲内で“初心者歓迎”という感じです。
★日時:毎週木曜日 4:00〜7:30pmごろまで(この時間帯で出入り自由。長期休暇中などは休み)
★場所:ELTE大学教養学部キャンパス B棟 日本語学科の242教室(https://goo.gl/maps/EhZKbApD3iH2)
続いて百人一首。
こちらは、国際交流基金でこの4月から始まった「日本文化コース」のひとつである
『百人一首カルタ 全3回コース』をご紹介。
先月の22日に第1回目が行われたこちらのコース。
すでに定員20名が埋まってしまっているので、これからの参加はできないのですが、
その第1回目の時のようすをちょっとご紹介しましょう。
誰でも自由に日本語の本や雑誌を楽しむことができる国際交流基金の図書館。
その日、机が端に寄せられ、赤いじゅうたんが敷かれると、なんだか妙に「和」な雰囲気に。
お手伝いに来てくださった仏門大学(ブダペスト法門仏教大学)の「百人一首カルタ同好会」の皆さんが紹介され、
まずは、「百人一首カルタ同好会」メンバーによるデモンストレーション。
続いて 「それでは早速、皆さんでやってみましょう。」
と思ったら、約半数の人が「百人一首カルタをするのは初めて」
中には、「日本語の文字を読むのも、ちょっと(怪しい)・・・」という人も。
それでも初心者・経験者をうまく組み合わせて、なんとか “それらしい”格好でスタート。
あっという間に1時間半が過ぎてしまいました。
中には「百人一首カルタ」のコースだということがきちんと把握できておらず、
『NARUTO(ナルト)』か何かのアニメ・カルタを持ってきて「え?こういうのやるんじゃないの・・?」と途方に暮れている雰囲気の参加者もいたとかいなかったとか(笑)
全3回のこのコース。
日本語もおぼつかない人がいたにも関わらず
「じゃ、次回(1ヶ月後)までに、百人一首の歌をできるだけ覚えてきてくださいね。」
とサラッと言ってしまう担当のS先生。
そして、なんとなく、
もしかしたらものすごい勢いで、ほとんどの歌を覚えてきちゃう人もいるのではなかろうか? と思えたりもして。
自分たちよりも年上の人たちとのビシバシとした本気のカルタ(百人一首)を期待してこのコースにやって来た日本人学校の子どもたちにはちょっと物足りなさが残った第1回目だったように見えましたが、
でも、第2回目が開催される5月27日までは、まだ日数があります。
第1回目は元気のいい日本人小学生に押され気味だったハンガリーの大学生さんたちが、次回はどんな勢いで登場するのか、密かに楽しみにしている私です。
【おまけ】
随想《百人一首カルタ大会》〜ドナウの四季(ハンガリー在留邦人の季刊誌)より〜
この随想の筆者であり「ハンガリー百人一首カルタ同好会」の創設者でもあるカール・オルショヤ(Károly Orsolya)さんは、ただいま同志社大学に留学中。日本国内のいろいろな地域で(もちろん近江神宮も含めて)の百人一首の大会に出場したり、テレビ取材を受けたりしながら、現在も日本で百人一首の腕を磨いています。
※ところで・・・
最初のいろいろな国の日本語学習者数の話題の時、
実は、ハンガリーに来る前に住んでいたエジプトをスルーしてしまいました。
というのも、この国の日本語学習者数・・・驚きの少なさで。
なんと898人。
人口9,000万人のエジプトで。
いや、その少なさにびっくりというより、
「この少なさであの存在感っていったいなに??」
と、そっちに驚いてしまったんですが。
いやいや、ここ数年の恒例行事となっている、あの大コスプレ・イベント(こんなのやこんなの)の参加者のほとんどは、つまり日本語学習者とはほぼ無関係・・・ということなんでしょうかね。
やっぱりエジプト、なんだか不思議な国。